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ワークライフバランスとは?企業がなぜ取り組むのかメリットと事例と共に解説

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少子高齢化、人材不足、過労死など仕事に関わる社会問題の解決のために、政府主導の取り組みが本格的に始まっています。

なかでも重視される「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」は、今や多くの企業において求められる考え方です。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大したことにより、より早急なワークライフバランスの改善施策が必要になったのではないでしょうか。

今回は、ワークライフバランスとは何か、なぜ注目されるのか、といった基本から実際に取り組んでいる企業の成功事例まで、詳しく紹介していきます。

ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、「仕事」と「仕事以外の私生活」をひとりひとりが望む形でバランスをとることを指します。バランスというと、ワークとライフのバランスを同じくらいに揃えることだと認識しがちですが、内閣府サイトによれば「老若男女問わず誰もが、個人のライフスタイルの希望を実現できる」バランスを意味する言葉です。

そもそも「ワークライフバランス」のはじまりは、1980年代のイギリスでおきた女性解放革命の頃であり、同年後半にアメリカで初期の施策が開始したと言われています。

女性の社会進出により共働き世帯が一般的になってきた頃、アメリカでは産業構造の変化が起こり、人材確保が急務となっていました。そこで働きたい女性と働き手が欲しい企業とでニーズが合い、企業は女性のために仕事と家庭の両立支援策を講じるようになります。これが、アメリカ企業から自然発生的にはじまった「ワークファミリーバランス」とよばれる取り組みです。

その後、独身者や男性にも対象が拡大した「ワークファミリーバランス」は「ワークライフバランス」へと変化し、フレックスタイム制やテレワークなど、より効果的な施策とするための制度が生まれていきました。

政府が制定したワークライフバランス憲章

政府が推し進めるワークライフバランスには、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」とよばれる基本的な取り決めがあります。

本憲章は、仕事と生活を両立しにくい状況を打開するための方針として策定されました。日本の社会経済構造が変化する一方で、人々の「働き方」に関する意識や取り巻く環境が追い付いていないという状況があります。

ここでは、憲章で策定されている目指すべき3つの社会像を詳しく見ていきます。

①就労による経済的自立が可能な社会

「就労による経済的自立が可能な社会」とは、これからの世代を担う若者が経済的に自立できる働き方ができ、結婚や子育てなどのライフプランの実現のために生活基盤を確保できる社会のことです。

②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」とは、働く人々の健康が保たれ、家族や友人などと充実した時間を過ごしたり、自己啓発・地域活動への参加のための時間を持てる社会のことです。

③多様な働き方・生き方が選択できる社会

「多様な働き方・生き方が選択できる社会」とは、老若男女問わず誰もが自身の働き方や生き方に挑戦でき、子育てや介護など個人のライフステージに応じた多様な働き方と公正な処遇が確保されている社会のことです。

参照:仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章|「仕事と生活の調和」推進サイト

なぜ今ワークライフバランスが注目されるのか

2019年に働き方改革関連法が制定されたことで、企業はフレックスタイム制や短時間勤務制度などの具体的な施策へ乗り出し始めています。

では、なぜ今ワークライフバランスの施策の必要性が高まっているのでしょうか。ここでは、ワークライフバランスに注目が集まる理由を、大きく3つの理由に分けて見ていきます。

人手不足の深刻化

一つ目の理由は、「人材不足」です。

少子高齢化問題は年々、その深刻さを増しています。労働力の大半を担っていた世代の高齢化と出生数の減少が重なり、企業側にとって人材確保は急務です。

人手が足りないために一部の社員に大きな負荷がかかってしまい、社員のワークライフバランスが崩れてしまうことも少なくありません。

そのため、近年では人材定着のためのリテンションマネジメントを始める企業も増えています。また、女性や高齢者などの人材を多様な職種で生かす雇用も重視されています。そうした動きに伴って、ワークライフバランスを保つ施策の重要性が高まっているのです。

共働き世帯の増加と女性の労働参加

二つ目は、「共働き世帯の増加」と「女性の社会進出」です。

総務省の「男女共同参画白書(2020)」を見ると、共働き世帯数が年々増加していることがわかります。さらに、1997年を境に専業主婦世帯数を上回ったのち、2012年には専業主婦世帯と共働き世帯とで大きな差が生じ始めています。

出典:男女共同参画白書(2020)

現状、共働き世帯の大部分で、妻がパートタイムで働いています。

かつての「夫が働き、妻は専業主婦として家庭を守る」という形から共働きが一般的になり、その移り変わりに応じた支援策などが必要になったことが理由の一つであるといえます。

賃金の減少・夫の賃金の低さ

また、「賃金の減少」や「夫の賃金の低さ」も理由だと考えられています。

専業主婦世帯と比べ、賃金の減少の影響をうけやすい共働き世帯。その負担を軽減するためにも、比較的、貯蓄率の高い共働きを選択する世帯が増えている可能性もあるといわれています。

教育費の増加

さらに、「教育費の支出」は年々増加し、大きな負担となっています。

バブル崩壊後に家計の支出総計は減ったものの、少子化による子供の総数の減少を考慮すると、一人当たり年間教育費はおよそ50年で約16倍まで増加しています。

出典:子どもの減少と相反する 一人あたり教育費の増加

教育費負担に関する意識調査では、教育関連の費用が経済的負担の上位に位置しており、子育ての不安要因の7割が「経済的負担の増加」であるという結果が出ています。

働き方・ライフスタイルの多様化

2019施行の働き方改革が推進されたことにより、個人の人生観やライフステージに合った働き方を選択できる社会への変革が求められるようになりました。

しかし、短時間勤務や育児休暇など制度の需要が高まる一方、大企業では少しずつ整備が進むものの、なかなか全ての企業で環境が整ってはいない状況でした。

今回のコロナウイルス感染拡大は、柔軟な働き方を選択できるようにしようと多くの企業が制度の見直しを始めたきっかけとなったということができるでしょう。

従業員側のメリット

ここで、ワークライフバランスのための施策を実施したとき、従業員が受けられるメリットは何かを見ていきます。自社社員はどれだけのメリットを受けられているかチェックしてみましょう。

①健康維持

ワークライフバランス施策の多くは、従業員の健康を守ることに繋がるでしょう。次々と重なる仕事に追われ、十分な休息をとれなければ、健康に害が及ぶのは目に見えています。働く上で、心身の健康は基本であり守らなければいけないものです。 

従業員自身ではマネジメントしにくい仕事と生活のバランスを、企業側から積極的に守ってもらえることで、安心感も芽生えます。

②プライベートの充実

また、ワークライフバランス施策は従業員のプライベート充実にも繋がります。

企業によって異なりますが、スキルアップ休暇の取得や育児休暇の取得といった種類の異なる休暇制度の利用によって、仕事とプライベートの切り替えがしやすくなるといった効果も期待できます。

③労働生産性の向上

①②のように、心身の健康が向上することによって、副次的に労働生産性の向上も見込めるでしょう。

多くの従業員にとって、自身の労働生産性を上げることは課題となっています。やみくもに仕事に打ち込むのも一つの手ですが、仕事とは全く異なる性質をもつ時間を過ごすことで、新しいアイディアが浮かぶことや効率的な方法が見つかることもあります。

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企業側のメリット

では一方で、ワークライフバランスの施策を実施する企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

①従業員エンゲージメント向上による離職率の低下

慢性的な人手不足により、企業にとって、今いる社員の定着や新たな人材の確保は優先順位の高いことだといえます。

そうした状況のため、企業ならではのワークライフバランス施策を実施することが求められています。リテンションマネジメントの観点からも、ワークライフバランスを意識した施策を行うことは大きな意味を持っているでしょう。

②企業売上の向上

なかには、ワークライフバランスの改善が従業員の生活を豊かにする反面、売上自体に良くない影響を与えかねないのではないかと考える企業もいるかもしれません。

しかし、厚生労働省の調査によると、ワークライフバランスの改善において実績を出している企業の方が、売上高の水準が高いことがわかっています。

一般に、国や自治体はワークライフバランスの改善に適切な配慮を行っている企業をモデルケースとして認定や表彰を行っています。そこで、表彰の有無で売上高を比べると、確かに二者には差が生じていることが見えてきます。

「売上高の増加」で比べると、表彰された企業が52.6%、されていない企業が49.3%。また、「売上高の減少」で比べると、表彰された企業が34.4%、されていない企業が49.3%という結果が出ています。

③企業イメージUPと雇用の増加

ワークライフバランスに配慮した制度を整えることで、長期的に見て企業のイメージが向上し、雇用の増加を見込むことができます。

例えば、女性・男性問わず育児のための制度を充実させれば、仕事と育児を両立したいという希望を持って職探しをしている人々にとって、条件の良い会社として選ばれやすくなります。さらに、利用しやすい制度が増えることで、有効的な利用につながり、社風にも良い影響を与えてくれるでしょう。

ワークライフバランス実現のための施策

ここまで、ワークライフバランスの概要や、施策を行うことで得られるメリットなどを解説してきました。ここからは、実際に企業が整備していくべき施策とは何なのか、成功事例とともに挙げていきます。

残業時間の削減

ワークライフバランスにおける「ワーク」のバランスを調整するために出来るのが、残業時間の削減です。

2021年4月より中小企業にも「時間外労働の上限規制」が適用されます。政府主導の動きとは別に、企業独自でできる残業時間の削減方法を検討してみるのも良いかもしれません。まずは現状の残業時間がどれだけ多いのか確認してみましょう。

事例 | カルビー株式会社

・在宅勤務の取組
・ノー残業デーの設置
・自動座席割り当てシステム「オフィスダーツ」 など

カルビー株式会社のトップメッセージでは、「長く働くことが良いことではない。短時間に効率よく働いて、成果を出すこと。」が掲げられています。「社無い文化」とよばれるカルチャー醸成もユニークです。

個人の成長は会社の成長と結びつくという考え方から、在宅勤務制度やノー残業デーなどワークライフバランスに貢献する取り組みを行っています。

有給休暇取得の促進

働き方改革の影響で有給取得率が改善しつつある日本。2019年には過去最高の56.3%を記録しましたが、政府が目標とする70%にはまだまだ程遠い数字です。

しかし、企業の中には有給休暇をいかにして社員に利用してもらうか、工夫を凝らしている会社もあります。自社らしい工夫が有給休暇取得率を向上させる近道かもしれません。

事例|六花亭製菓株式会社

・年間有給休暇取得が遅れている職場への具体的なアプローチ
・社内旅行として、一人最大年間 20 万円まで補助
・自己研鑽につながる公休利用法 など

20年以上連続で有給休暇消化率100%という驚異的な数字をもつ六花亭製菓株式会社

1300人を超える従業員数ながら、「従業員一人ひとりが心も体も健康でなければ美味しいお菓子は作れない」というモットーを掲げ、全従業員の有給取得を達成しています。ただ取得させるだけではなく、従業員の積極的な自分磨きの場作りを提供しています。

仕事と育児・介護の両立支援

仕事との両立が難しいといわれる育児と介護は、離職の大きな原因にもなっています。この職場で働き続けたい、そうした想いをもちながら仕事を辞めるしかない人も多くいます。

人材確保の観点からも重要な育児・介護の両立支援を行うことで、多様な人材の確保につながることが期待できます。

事例|東日本旅客鉄道株式会社

・3歳までの子を持つすべての社員が
日中時間帯の6時間勤務が可能
・小学校3年までの子がいる社員が月4日の育児・介護休日を取得可能
※「介護」を理由としても取得可能。
・事業所内保育所での24時間保育日の設定

東日本旅客鉄道株式会社では、男女共同参画を3つの基本の考え方があり、その一つとして「仕事と育児・介護の両立支援」があります。

職業柄、不規則な勤務形態ということもあり、社員それぞれの事情に応じて利用できるような制度が用意されています。介護休職や短時間・短日数勤務制度といった基本的なものから、事業所内保育所でおむつ・ミルクの用意や洗濯代行を行うなど手厚い制度までさまざまです。

多様な正社員の導入

正社員と非正規雇用者の二極化を緩和するために求められる、職務、勤務地、労働時間を限定した「多様な正社員」制度の実現。

育児、介護、その他の事情から転勤が厳しい場合は勤務地を限定する「勤務限定社員」、金融やITなど専門的な知識が求められる職務における「職務限定社員」、家庭と仕事の両立のため兆時間労働が難しい場合の「勤務時間限定社員」などが挙げられます。

事例|株式会社ニトリホールディングス

・エリア限定総合職制度
・ホームタウン制度
・社員群転換制度

株式会社ニトリホールディングスでは、エリア限定総合職とよばれる「勤務地限定正社員」をはじめとする多様な働き方を提供しています。

育児・介護・配偶者の仕事の都合等の理由から転居ができない総合職社員に適用される制度で、これは契約社員、パート社員のステップアップとしても活用が進んでいる制度です。

結果として、これらの施策により離職率の低下、女性活躍に大きく影響を与えることに繋がっています。

多様化する価値観に合わせた働き方を

ここまで、ワークライフバランスについての解説から、さまざまな企業の事例まで実践までの具体的な内容を紹介してきました。

時代の変化と多様なニーズの登場により、企業に求められる制度も異なります。また、所属する社員の悩みの種類によっても、整備すべき制度の性質は異なるでしょう。

だからこそ今、自社社員がどのようなニーズを持っているのかを知り、社員が心地よく働くことができるような制度設計をしていく必要があるのではないでしょうか。

株式会社OKANのWLV

株式会社OKANには、ワークライフバランスならぬ「ワークライフバリュー(WLV)」という考え方があります。

多様な働き方が可能になったことにより、企業と個人とで求めるものにズレが生じてしまうケースも。そこで、社員ひとりひとりが考えるバランスに着目し、「バランスを正す」のではなく、仕事と生活に関わる個人が大切にしたいと思う価値観を重視する、という考え方が生まれました。

ワークライフバリューについて、もっと詳しく知りたいという方はこちらの記事もご覧ください。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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