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おかんのコト

行政が取り組む働き方改革とは?四條畷市のチャレンジ【WLVカンファレンスレポート】

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11月26日(火)、グランフロント大阪ナレッジシアター(大阪府)にて開催された「WORK LIFE VALUE CONFERENCE (ワーク・ライフ・バリュー カンファレンス / 通称 WLV カンファレンス )」。

基調講演「働き方改革は成功だったのか」では、大阪府四條畷市長・東 修平氏に代わり、副市長・林有理氏が民間企業で働いていた目線を合わせつつ、四條畷市がチャレンジしている働き方改革について、お話いただきました。今回はその様子をお届けします!
 

大阪府四條畷市・副市長林 有理氏
1980年、大阪府島本町生まれ。
元リクルート/スーモマガジン編集長。退職後、リノベーションまちづくり分野で推進協議会事務局や事例紹介サイトの立ち上げ、講師や研究活動に従事。
平成29年10月1日、四條畷市と民間サービス会社が連携して実施した全国公募により、四條畷市初の女性副市長に就任。2歳の娘の子育てに奮闘しながら、働き方改革を柱とした前例主義に縛られない「日本一前向きな市役所」をめざし、組織改革に取り組む。

 

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民間企業から行政に移ったからこそ見えた課題とチャレンジ

沢木:林さんは民間企業から行政にキャリアチェンジ、2017年に着任されたましたよね。会社員と公務員、どのような違いや変化がありましたか?

私は、新卒で入社したリクルートの住まい事業(現SUUMO)を10年勤めた後に独立し、プロジェクトマネジメントや研究者など5枚の名刺(肩書)を持って、主に地方のまちづくりや住宅産業の分野をベースに2年ほど活動していました。出産を機に、しばらく「子育て」に専念しようと当時の仕事を手離した頃、テレビで東市長が民間から副市長を公募するニュースを見て、パブリックセクターに関するプロジェクトに関われたらという思いから応募しました。

民間から入ってまず痛感したのは、よく言われることですが、スピード感の違いでしょうか。何かを「やるぞ」と一念発起してから事業スタートまで、1年、いや、多くはそれ以上かかることが常です。それをどれくらい市民の皆さんが求めているスピードに近づけられるか。それが私の着任した当時、最も悩んだことです。

沢木:行政では、一般企業のような「離職・転職」という考え方がほぼ無いように思います。それでも行政ならではの組織作り、改革は必要ですよね。

あくまでも個人的な感想ですが、「ワークライフバランス」的に話すと、公務員は「ワーク・ワーク・ワーク」と「ワーク・ライフ・ライフ」型、2つにはっきり分かれているように思います。どの組織でもいろんな働き方があるものですが、その差が他の組織よりも濃いのかなと。

「ワーク・ワーク・ワーク」は、まさに公僕というか、市民の皆様や仕事に身を捧げる意識が強い方が多く、本市では管理職や上層部に典型的です。一方「ワーク・ライフ・ライフ」の方は、ボランティア活動や地域活動に積極的に参加されるなど、キャリア一辺倒の考えをされない方です。

どちらが良い悪いという話ではありませんが、そのように二分化されていると、若手にとってのロールモデルが少なく、モチベーションに影響します。特に子育てや介護との両立を考えた際に、上層部に「ワーク・ワーク・ワーク」的な方が揃っていると、キャリアとの両立がしづらいと諦めてしまう。多様な働き方を認め、推進していくのが、現在の本市の組織課題ではないかと思っています。

沢木:行政では、一般企業のような「離職・転職」という考え方がほぼ無いように思います。だからこそ、市政側も職員の離職問題に対して危機感も芽生えず、職員へ投資するという観点を持たれる機会が少ないのではありませんか?

そうですね。「職員への投資」という観点は少ないように思います。今、それも変えようとしています。組織の根幹は「人」ですから、真っ先に手をつけなければいけません。

まず、採用する人材の基準を変えています。これまでは、地域のことがわかっている「地の人」で、奉仕精神があり、法律や国からの通達に沿って事務を実直に遂行できる人を優先的に採用する風土がありました。

しかし約20年前に、国と地域の役割が明確化され、自分たちの地域は自ら経営するようにと方針が変わりました。これまでのように国は解決策を示してくれない。いかに現場から課題を見つけ、独自の打ち手を出せるか。挑戦力や創造力がこれからの公務員、特に地方自治の現場には必要だと思っています。

なので、採用の評価項目を、チャレンジ精神や行動力に重点を置き直しました。これに合う方は、本市でキャリアを積んだら転職してしまう可能性も高い。それでも、今の本市には冒険ができる人を入れて組織風土を変えていく必要があると判断しました。

採用の方法も変えています。WEB面接を自治体で初めてスタートし、全国から応募がありました。今日、私をここに送ってくれた秘書は、熊本から来てくれています。挑戦力や創造力を重視して採用していますが、まだまだ今の業務の8割以上はルーティンの事務仕事です。新たに入庁したメンバーがもっと地域課題の解決に時間を避けるようにすることが、私の課題だと考えています。

沢木:そのような人材を採用されている中で、オンボーディングや、活躍してもらうため場作り、また、居続けることがベストかは別として、残っていただき最適なパフォーマンスを発揮し続けてもらうために、どのような取り組みをされているのでしょうか?

着任してまだ2年ですので、日々、試行錯誤している最中です。強いて言えば、型にはめられがちだった公務員の個性が活きるよう、それぞれの長所に目を向けて配置を柔軟に変えていくこと、そして、職員の心理的安全性をいかに担保するかを重視しています。

本市では、事務方は約2〜3年で事務系部署の中で転々とし、技術職はずっと同じ部署にいる傾向が強かったんです。でも、子どもや高齢者・障がい者への福祉事業、産業振興や空き家、都市整備やごみ・下水事業など、市が対応すべき課題は複雑で、横断的な対応が必要です。事務や技術職に関わらず、いろんな部署での視点が大事にするため、できる限りこれまでの考えに捉われた配置はせずにいようと思っています。

また、人を動かすには、その評価を明確なもの(例えば数値など)にすることも大切です。そのため、賞与査定のやり方も変えました。これまでは市長・副市長が人事と決めていた賞与を、皆で議論して決めるようにしました。例えば、課長級のMVPは部長会議の中で、各部長が自身の部の誰がMVPにふさわしいかをプレゼンし、議論しあった上で決めています。

上級者は自分のメンバーをきちんと見ていないとプレゼンできませんし、組織として褒める人(目指す人)の像が共有されていきます。また、自分の担当部署以外の職員の良いところも知ることで、部署を超えた人材育成の目をもつことも狙いです。評価される側の職員にとっても、上長が自分をきちんと見てくれるのは心理的安全性の確保に役立ちますし、さらに組織を横断して見守る目があれば、より心の安定につながります。

今は、この仕組みをどのように維持し続けるかを検討していますが、職員の心理的安全性の確保は、仕事の効率アップにつながることも分かりました。ある課では、残業時間が半年で2割も削減できています。私がこれからフォーカスし取り組むのは、課単位の最小チームでの心理的安全性をいかに確立し、組織として包括していくかです。

働き方改革のモデルをつくるためのトライアルを実施

沢木:市役所という組織において、2年間でそんなに変化が生まれるものなのですか?

非常に難しいです。うちは、本庁舎に約300人ほど、そして、外部、例えば保育所や保健センターなどを含めると計600人ほどが職員として働いています。これだけの規模をすぐに変えることはできません。でも、変化は生み出したい。ですので、私は一番身近な部長職の13人との意思疎通を大事に、コミュニケーションの量で質をカバーするつもりでやってきました。

並行して、市長が宣言された「働き方改革先進都市」を念頭に、現場も一緒に動かしています。課長級の意識改革研修を半年続けるとともに、庁内から4課を選び「働き方改革」モデル課としました。管理職だけでなく一職員レベルから働き方を見直したことで、たくさんの経験が蓄積され、その成功・失敗を庁内で共有しています。組織の上下からしっかりと足並みを揃えることを目指しています。まだ成功!とまでは言えませんが、一歩ずつ小さな歩みを重ねています。

沢木:ある意味、民間企業と同じでミドルマネジメントといかに意思疎通し、一般のメンバーには別のアプローチをしていくことですね。実際にトライアルでは具体的にどのような取り組みをされ、どんなモデルを作られたのでしょうか?

モデル課での研修では、各課の課題の洗い出しや整理など、働き方改革のコンサルをされているワーク・ライフ・バランス社さんのご協力を得て、約半年で10回ほどの研修を行いました。その結果、課ごとに違う業務内容ではあるものの、属人化を防ぐマニュアル整備や、各人の忙しさの見える化、組織内での積極的な声がけなど、地道なことを一つづつ重ねていくことになりました。目立つ改革ではなく、そういう小さなことの積み重ねが結果を生んでいます。

例えば、子ども政策課では大きな成果をあげました。実は、この取組みを始めるためモデル課として子ども政策課を選んだ時には、課長は「絶対に嫌」と。よくわからん外からきた人間が、また仕事を増やそうとしているように思ったんだと思います。確かに、当時の子ども政策課は業務の量に課がパンクしているように見えました。しかし、そんな課だからこそ、働き方を見直してもらわないといけない。ここで成果がでなければ、意味がない。なんとかお願いしてトライアルしてもらいました。

結果的に、子ども政策課は10以上の事業が新しく増えたものの、残業時間は2割も削減できました。やったことは実は大きなことじゃないんです。まず課としての課題がしっかり見えるようになるまできちんと立ち止まって時間を割いた。そして、そこが見えると解決策が自ずと出てくる。メンバーの意識も揃いだす。メンバーのスケジュールに対する温度感や、進め方に合うことを地道に実施していきました。

沢木:確かに企業経営においても課題を明確に特定し、共通認識を持って優先順位を付け、そこから適切にゴールセットして進めるのが一般です。しかし今回の課題というのは、そこに属されている皆さんからそれぞれ出てきた形でしょうか?それとも引き出すために取り組まれたことはありますか?

後から振り返って考えると、職員の「心理的安全性」というのが、実は、課の本質課題を引き出す上で大切だったんだなと感じています。子ども政策課は10人弱のメンバーで、市内15の幼稚園・保育施設と連携しながら、子育て政策の推進を担っています。膨大なルーティンワークに加え、保育無償化の実施や計画立案など、現代の子育て政策は目まぐるしく進化しており、それについていかなければならない。実はとてもハードな現場です。

正直なところ、トライアルを始めてしばらくはあまり結果も出ず、課長も失敗したんじゃないかと思ったようです。共有会議をしたり、朝メール(出社時に1日の過ごし方を書き出して共有する)や、夜メール(退社時に1日を振り返り共有する)を送ったり、さらにカエル会議(メンバー全員で合意を取りながら、チームがなりたい姿を議論する会議)やワイガヤ会議(立場を気にせず自由なテーマで気軽に話し合う会議)を行っても効果は見られなかったのです。

それでも、課長はトライアルしたからには半年は続けると約束していたこともあり、なぜダメで、何が原因なのかをみんなで徹底的に話し合いました。そうして「上の人間の顔色を見て何も言わない」など、より原始的な課題が出てきました。それを聞いた私は「遂に出てきたな」と。課長から相談を受ける中で、私が前職の時にマネジメントの一環として活用していたマインドマップを使った自己開示法を薦めたりもしました。

それは、かつて私がマネジメントで悩んだ時に編み出したもので、中心に書いた自分の名前から自由にマインドマップを描き、メンバー全員の前で発表しあうものです。その人らしさが最もよく出る自己開示で、定期的にやると個々人の成長や変化もよく分かるのでおすすめです。

沢木:心理的安全性のための相互理解ですね。

そうです。課長の話を聞いて、業務以外の理解をまず深めないと、そもそもの課題すら見えないのではと思いまして。実際にマインドマップをやってみて、泣き出してしまう人もいたらしいのですが、「こんなことを考えていた」とか「こんな夢があって」だったらみんなで応援しよう、などいい形になったようです。

こうした一連の体験を通じて、この考え方の裏にはこういう想いがあったんだとか相互理解が深まりました。たった数名のチームで、長く隣り合っていたけれど、知らないことがたくさんあったんですよ。

こうした相互理解があってはじめて、本当の課題が引き出せます。そうでないと、上辺の議論に終始してしまう。課長の号令で動いたは良いけど、上手くできずに終わってしまったり、負のスパイラルに入ってしまいます。こうしたことに気づいたのがキーポイントだったと課長からは聞いています。

行政では初めてのアセスメントツール導入

沢木:ここで、林副市長と同じく民間から行政に行かれた方からの質問です。「民間よりも多様な価値観を持っている人が多い中で、同じベクトルに向けさせるリーダーシップの難しさがあると思いますが、どのようなコミュニケーションや方法をとらえて、向かう先を示されていますか?」

これはすごく難しいですね。うちの中にも確かにいろんな価値観の方がいます。民間企業では、会社の方針として決めたことに一斉に向かっていけますが、行政ではそのハードルが高い…。

市民の安全を守っている職員もいれば、財政負担の軽減を目標にしている職員もいます。業務においての考え方も違いますし、極端なほどに幅広い。

ただ、そこはやっぱり市長ですよね。市長が何を作りたいか、どのような世界にしたいのかだと思います。そこが分かりにくいときは、とにかく説明して言語化してもらい、若い人に伝わっていなければ伝えてくださいと、お願いしています。実際に東市長は、そのあたりをすごく丁寧にされていますね。

あとは、行政としては初の「モチベーションクラウド」を導入しています。3ヶ月ごとに、その課がどういう状態であるかをいろんな側面から測るものです。上司への信頼が低くなっているとか如実にでてきますので、現状把握に役立ちます。それを使って、組織マネジメントの仕方を部長を交えて話し合ったり。メンバーのモチベーションが違う方向に向いているのではとか、人事で解決できることはないかなど色々話します。でも正直なところ、まだまだやれることは多く、決して足りてはいないと思っています。

沢木:明確なリーダーシップ、ビジョンを語ること、一方で一人ひとりのモチベーションや価値観を相互理解すること、アセスメントツールを使いながら対話ベースの対応をされているのですね。これらは民間企業での経験をかなり応用されている印象を受けますが、何かリクルート流で応用できたことはあったりしますか?

先にお話した、人事評価を上長会議で行うのは、リクルートのやり方です。かつて、私はプレゼンする側で、うちのメンバーはここが素晴らしいとか、今回はこれを頑張ったとか、評価を勝ち取る役割でした。

そのために常にメンバーに目を配り、他部署のメンバーも同僚マネージャー達と評価しあいながら育成視点で組織的に考える。これが私やメンバーの心理的安全性につながると感じたことから、行政現場に取り入れました。ただし、賞与対象なのでまだ着任して4回しか会議していません。真価はこれからです。

林副市長の目指す四條畷市の働き方とは

沢木:最後に、現状上手くできている部分と、一方でしきりにまだまだとお話されている部分がありましたが、これから「働き方」という観点で見たときに四條畷市がチャレンジしていきたいことや、取り組みたいこと、あるいは課題として感じられれていることをお聞かせいただけますか?

私の考えになりますが、四條畷市という地域の満足度、満足数を上げることが至上命題だと思っています。

もちろん住んでいる方だけでなく、来られる方、働いている方もすべてですし、その中に600名の職員も含まれている。これが私の考えていることです。その彼らがどのように自分の人生と、その職について誇りを持ち、満足できるか。

公務員は市民の皆様からバッシングを受けることが多いです。民間の皆さんの想像以上だと思います。こうしたことを少しでも減らすため、未然に防ぐ体制をつくれるか。情報の理解不足や、体制・政策の不備などで現場はお叱りを受けることになります。その総合的な調査をし、まずは現場の職員の負担を外していくことだと考えています。

また、公務員のキャリアプランを広い視野で考えてもらいたくて、30代前後のメンバーには研修を受けていただくことも計画しています。その層が幸せで、市やまちへの想いが強くなれば、自ずと市民の皆さんの生活に還元されていくのではと思っています。

民間企業で働いているときは、精一杯働いているのに更に効率化やスピードを求められると、会社の働き方改革に反発したこともありました。副市長という立場で視野が変わったこともあり、今その重要性を深く理解しています。ただし、民間でイチ社員として実務を担っていたときの現場目線も忘れずに、働き方改革を進めていきたいと思っています。

WLV カンファレンスとは?
従業員個々人が、仕事内容だけではなく、健康、家庭との両立、自分らしい生活など、あらゆる価値観である「ワーク・ライフ・バリュー(WLV)」。
WLV カンファレンスでは、「働く人のライフスタイルを豊かにする」ことに率先して取り組んでいる企業の経営者、総務・労務・人事担当者から、その考えや取り組みを共有すると共に、 参加する経営者と総務・労務・人事担当者が「自社のWORK LIFE VALUEの活動」について考え、企業や担当者の明日からのアクションが少しでも変化することを目指しています。
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Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部

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