感染症の拡大をきっかけに、健康に対する意識が変わった人も少なくないでしょう。個人だけでなく企業においても、従業員の健康を考えた、さまざまな対策がとられています。
健康管理に関する企業の取り組みの1つとして、健康経営®が挙げられます。特に、健康経営優良法人やホワイト500は認定されると、従業員の定着率向上や社外からのイメージアップなどにつながる制度です。そのため、従業員の健康が守られるだけでなく、企業側にもメリットがある取り組みといえるでしょう。
この記事では、ホワイト500の概要やブライト500との違い、認定基準やメリットなどを詳しく解説します。
※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
ホワイト500とは?
ホワイト500とは、経済産業省が2016年に創設した認定制度「健康経営優良法人」のうち、大きな規模の企業や医療法人が対象の大規模法人部門で、上位500法人を指す通称のことです。
従来は、大規模法人部門の総称をホワイト500としていましたが、健康経営優良法人2020(2019年度選出の健康経営優良法人)以降は、大規模法人部門中、健康経営度調査結果の上位500法人のみがホワイト500として認定されることになりました。
ホワイト500に認定された企業には、健康経営の普及に貢献する役割が求められます。なぜなら、健康経営に関する施策を実施することで、「企業の利益率にプラスの影響をもたらす」「各種健康診断の受診率アップや、健康状態の改善につながる」といった効果が認められているからです。
出典:「健康経営優良法人認定制度」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin.html)(2024年5月5日に利用)
出典:「「健康経営優良法人2024」認定法人が決定しました!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240311004/20240311004.html)(2024年5月21日に利用)
出典:「健康経営の推進について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf)(2024年5月21日に利用)
ブライト500とは
「ブライト500」は、2021年度から、新たに加わった顕彰制度です。健康経営優良法人の中小規模法人部門の中で、「健康経営優良法人の中でもすぐれた企業」かつ「地域において健康経営の発信を行なっている企業」がブライト500に認定されます。
ブライト500を獲得した中小規模法人には、「自社の健康課題に応じた継続的な取り組みの実施」「地域における健康経営拡大のための事例発信」など、いくつかの役割が求められています。
出典:「「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230821001/20230821001.html)(2024年5月21日に利用)
出典:「健康経営の推進について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf)(2024年5月21日に利用)
ホワイト500の対象となるには
経済産業省によると、ホワイト500の対象となるには、以下の条件に当てはまっていなければなりません。企業規模がホワイト500の条件に満たない場合は、ブライト500が対象となります。
「会社法上の会社等」または「士業法人」の場合
業種
|
大規模法人部門
|
中小規模法人部門
|
従業員数
|
従業員数
|
資本金の額または出資の総額
|
卸売業
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
1億円以下 |
小売業
|
51人以上 |
1人以上50人以下 |
5千万円以下 |
サービス業
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
5千万円以下 |
製造業その他
|
301人以上 |
1人以上300人以下 |
3億円以下 |
※中小企業部門は、「従業員数」「資本金の額または出資金額」のどちらかが該当すれば申請可能。
「会社法上の会社等」「士業法人」以外の場合
法人分類
|
大規模法人部門
|
中小規模法人部門
|
従業員数
|
従業員数
|
特定非営利活動法人
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
医療法人、社会福祉法人
健康保険組合等保険者
|
101人以上 |
1人以上50人以下 |
社団法人、財団法人 商工会議所・商工会
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
公法人、特殊法人
|
301人以上
|
1人以上300人以下 |
法人分類
|
業種
|
大規模法人部門
|
中小規模法人部門
|
従業員数
|
従業員数
|
その他、国内法に 基づく法人
|
卸売業
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
小売業
|
101人以上 |
1人以上50人以下 |
医療法人・サービス業
|
101人以上 |
1人以上100人以下 |
製造業その他
|
301人以上
|
1人以上300人以下 |
まず上記の図で、ホワイト500やブライト500の申請条件を満たしているか確認しましょう。条件をクリアしていたら、次に認定基準をチェックします。ホワイト500の基準を満たすには、大きく分けて5つの認定基準をクリアしなければなりません。具体的には、後述の「ホワイト500認定基準」で解説していますので、ご覧ください。
出典:「部門の区分」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_shinseikubun.pdf)をもとに株式会社OKANが作成(2024年5月5日に利用)
健康経営の考え方
健康経営において、特にすぐれた取り組みを実施している企業が認定されるホワイト500。そもそも健康経営とは、1980年代にアメリカの経営心理学者ロバート・H・ローゼン氏によって提唱された「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という概念です。
経済産業省では、健康経営とは、従業員の健康保持や増進の取り組みが、将来的に企業の収益性などを高める投資であるという考えのもと、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することと定めています。
従業員の健康を促進するために労働環境の改善を行なうことで、パフォーマンスの最大化が期待できます。従業員の力を最大限に発揮できれば、生産性も向上するであろうというのが、健康経営の根本的な考え方といえるでしょう。
出典:「健康経営」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html)(2024年5月5日に利用)
健康経営の助成金
健康経営には、施策を行うことで受け取れる助成金があります。従業員の健康維持や、改善を目的として労働環境を整えるには経費がかかります。よって、企業が施策に活かせるような助成金が設けられているのです。
働き方改革や心身の健康施策などに対するものなど、支給される助成金の種類はさまざまです。
健康経営が求められる背景には何があるのか
昨今、健康経営という考え方が広まりをみせているのは、なぜでしょうか。その理由は大きく分けて2つあるといえます。
ブラック企業という存在
1つ目は、ブラック企業の存在です。従業員に無理を強いるかたちで業務を行い、利益をあげている企業をブラック企業とよびます。
日本では長年終身雇用であったという背景から、従業員は就職した企業で身を粉にして働くという傾向にありました。そのような働き方を強いるブラック企業では、従業員のメンタルヘルスが悪化し、判断力が低下します。その結果、生産性が著しく落ちたり、離職率も高くなり、とても健全な経営体勢とはいえません。
長時間のサービス残業
2つ目は古くから日本の企業で行われてきた、長時間のサービス残業です。
本来の終業時間外に従業員にタダ働きをさせることは、こちらも健全な経営体勢とはいえません。さらに長時間となると、従業員の休息時間が減ってしまうため、肉体的・精神的疲労が蓄積していきます。その結果、従業員のパフォーマンスが低下してしまうのです。
健康経営優良法人(ホワイト500)に選ばれるメリット
健康優良法人制度のホワイト500という称号を獲得できれば「人を大切にする」というイメージがもたれるのは想像しやすいのではないでしょうか。またこの認定を得ることで、従業員の健康に対する意識はさらに強まるでしょう。その結果、健康課題による退職者が減り、人材が定着しやすくなります。
ここからは、企業側と従業員・担当者側の2つの目線からみたメリットをお伝えします。
【企業側メリット①】企業のイメージ向上
健康優良法人認定を受ければ、人を大事にする企業というイメージがつきます。その結果、より多くの人材を採用することができる可能性が高まります。人材確保が困難になってきている昨今、企業の採用戦略としてのメリットもあるのです。
【企業側メリット②】採用アピールポイントが増える
近年、「ブラック企業」という言葉を耳にすることが多くなりました。残業時間、休日出勤、ハラスメントの有無がないか、賃金や業務内容といった基本的な内容に加えて、企業の労働環境にも求職者は強い関心をもっています。そうした中で、健康経営優良法人の認定を受けることは、採用のアピールポイントが増えるという点で大きなメリットになるでしょう。
【従業員・担当者側メリット①】管理部や総務部の評価につながる
健康経営の効果は、数値化がむずかしく、中長期的に取り組まなければなりません。しかし、ホワイト500に選定されれば、健康経営の施策を担当する管理部や総務部にとって、明確な評価になるでしょう。部署のモチベーションアップにも繋がります。
【従業員・担当者側メリット②】従業員の健康維持
ホワイト500を取得できれば、長期的な「従業員の健康維持」を見込むことができます。大規模法人部門中、健康経営度調査結果の上位500法人のみが選ばれるため、国内で健康経営に取り組む企業のお手本といえます。つまり、継続して従業員が健康でいられる土壌を作れるということです。
【従業員・担当者側メリット③】生産性の向上
健康をサポートしてくれる企業の従業員は、心身ともに健康になるだけでなく、従来より質の高いパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか。社員ひとりひとりの満足度が高い状態で業務が行われれば、おのずと職場の雰囲気が良くなり、社員全体の生産性が向上することが期待できます。従業員の健康状態と生産性とは、関係性が強いといえるでしょう。
健康経営優良法人(ホワイト500)の認定基準5つ
ホワイト500は、健康経営認定基準を満たした企業の中から、上位500社が選ばれます。優良な健康経営を行っていると認定されるには、以下5つの基準を満たさなければなりません。
“1.経営理念(経営者の自覚)
2.組織体制
3.制度・施策実行
4.評価・改善
5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)”出典:「健康経営の推進について」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/240328kenkoukeieigaiyou.pdf)(2024年5月12日に引用)
具体的な取り組み内容を正確に把握するには、経済産業省が提示している認定要件をチェックしたり、セミナーに参加したりするとよいでしょう。
情報開示の促進
2023年度には、健康経営度調査に情報開示の促進に関する評価対象や設問が追加されました。内容を見てみると、特定検診の実施率や、労働安全衛生の開示が盛り込まれています。健康経営の質を向上させる狙いがあるようです。
出典:「「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230821001/20230821001.html)(2024年5月22日に利用)
社会課題への対応を評価
2023年度から新たに、個別事情に応じた働き方への取り組みが評価されました。子育てや介護、女性ならではの健康課題などが引き起こす、従業員の心身の負担軽減を目指しているといえます。企業が柔軟なワークスタイルを取り入れていくことで、組織の活力アップや生産性の向上につながることが期待できるでしょう。
出典:「「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230821001/20230821001.html)(2024年5月22日に利用)
評価項目「食生活の改善」に向けた取り組み
企業の福利厚生の中で、住宅手当や人間ドッグ、独自の休暇制度など、さまざまなものがありますが、その中でも人気で満足度が高いのはヘルスケアサポートです。特に食事はだれもが摂るものなので、企業からの補助があるとうれしいですよね。
は、食の福利厚生サービスとして注目を集めています。専用の冷蔵庫や自動販売機を設置することで、美味しいお惣菜をいつでも1品100円(税込)※で食べることができる全国対応の置き型社食®︎サービスです。
提供するお惣菜は、管理栄養士が監修※し、製造パートナー企業と開発した商品や、調達パートナー企業と選定した商品です。主食・主菜・副菜をバランスよく摂るためのラインナップを基本に、定番商品・季節商品を組み合わせて毎月約20種類の商品をご提供しています。
※レシピ等の内容や商品の選定の監督・指示を行うこと。
食のサポートだけにとどまらず、「健康経営」「従業員の満足度向上」「社内コミュニケーション活性化」「オフィス環境改善」「女性活躍支援」「人材定着」「新卒・中途採用促進」など、企業が抱えている多くの課題を解決する新しいアプローチのツールとして業種・規模問わず多くの企業で活用されています。
※100円(税込)は想定利用価格です。
※「置き型社食®︎」は株式会社OKANの登録商標です。
大規模法人部門の申請スケジュール
2024年の申請スケジュールは、以下の通りでした。
- 申請期間:令和5年8月21日(月)~令和5年10月13日(金)17時まで
- 認定時期:令和6年3月頃(予定)
出典:「「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230821001/20230821001.html)(2024年5月21日に利用)
大規模法人部門の認定企業
経済産業省のデータによると、「健康経営優良法人2024」の「大規模法人部門」認定数は、2988法人でした。「健康経営優良法人2023」における「大規模法人部門」の認定数は、2676法人であったため、1年で312法人の増加があったことになります。
認定数が増えている点に着目すると、健康経営への注目度は高まっており、また今後も注目されていくことが予想されます。
出典:「「健康経営優良法人2023」認定法人が決定しました!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230308002/20230308002.html)(2024年5月21日に利用)
出典:「「健康経営優良法人2024」認定法人が決定しました!」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240311004/20240311004.html)(2024年5月21日に利用)
継続が必要な健康経営だから続けやすいサービスを選ぼう
世間の健康への意識が高まり、健康経営優良法人の取得に向けて、さまざまな企業が動き出しています。その中でも、上位500社に与えられるホワイト500は獲得困難な称号になっていくことが予想されます。
ホワイト500の認定基準は数が多く、獲得は簡単ではありませんが、健康を大切にしている企業としてイメージアップにつながるメリットがあります。人材確保や顧客獲得においても、競合他社と比べて優位に立てるでしょう。
従業員の健康意識を高める中長期的な施策を打つために、手軽に導入できる食のサービス「オフィスおかん」で、健康経営の第一歩をスタートしてみてはいかがでしょうか。