
福利厚生は、従業員が自社で働き続けるために重要な支援策です。しかし、福利厚生の充実を自社内だけでしようと思うと、コストがかさんでしまいます。
そこで便利なのが、福利厚生のアウトソーシング。代行サービスを利用することで、費用や人材のコストを最小限に抑えられ、なおかつ従業員にとっても選択肢を増やすことができます。
この福利厚生のアウトソーシングについて、これから導入を考えている担当者の方に向けて、わかりやすく解説します。
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目次
アウトソーシングの近年の傾向と種類
近年、求職者が仕事を探す際に、「福利厚生の充実」は重要なポイントとして見られるようになっています。人材確保の面から見ても、福利厚生に力を入れることは企業にとって大切なこと。
では、具体的に今の時代に求められているアウトソーシングの近年の傾向と種類について見ていきましょう!
福利厚生の傾向について
経団連の2019年度福利厚生費調査結果によれば、従業員1人あたりの現金給与総額547,336円に対し、法定外福利費は24,125円となっています。その法定外福利費の内訳としては、以下の表の通り。
参照:2019年度福利厚生費調査結果の概要|日本経済団体連合会
この項目にある「福利厚生代行」とは、福利厚生アウトソーシングにかける費用のことです。年々削減されていく法定外福利費全体に対して、福利厚生代行費の割合は安定的に1.1~1.3%を占めていることから、アウトソーシングを利用する企業が増えていることがわかります。
また、医療・健康にかける割合も増えています。これは健康診断や人間ドック、スポーツジムの充実など医療・健康の福利厚生に力を入れる経営戦略が伺えます。
なお、福利厚生の変遷や最新のトレンドについては、こちらの記事で解説しています。
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2種類に分類されるアウトソーシングサービス
福利厚生アウトソーシングには「パッケージプラン」「カフェテリアプラン」の2種類があります。
パッケージプラン
企業側が従業員1人あたりの費用を定額制で仕払うことで、パッケージのサービスを使えるようになるシステムです。従業員は、Web上で選択できるパッケージ内のサービスから自由に会員価格で利用することができます。
従業員1人あたりの数百円の費用から利用できるので、規模が小さい企業でも始めやすい特徴があります。
しかし、あらかじめ用意されたパッケージになっているため、自社独自の福利厚生を用意することができないため、長く利用すると飽きがくる可能性もあります。
カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)
企業が従業員に補助金(ポイント)を支給し、従業員はそのポイントの範囲内で、提携されている福利厚生のサービスを利用するシステムです。サービスのメニューは企業ごとにカスタマイズでき、従業員は自由に選択できます。
パッケージプラント違い、自社独自のメニューをカスタマイズできるので、より従業員ニーズにあったプランを構築できます。一方で、ポイントの有効期限があり、使いきれない場合は無駄になることも。また、課税・非課税のメニューが混在しているので、注意が必要です。
アウトソーシングを利用するメリット・デメリット
では、福利厚生アウトソーシングを利用すると、企業にとってはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
人件費などのコスト削減につながる
福利厚生をすべて自社内で運営しようとすると、制度の整備や日々の運用、問い合わせ対応などで、担当部署の業務負担の増加につながってしまいます。福利厚生サービスを提供する企業にアウトソーシングすることで、一定の企業負担はありますが、ランニングコストは自社運営よりも低くなることが見込めます。
中小企業でも充実した福利厚生の提供が可能
コストの面から考えて、自社で福利厚生サービスを充実させるのは中小企業には難しいことでした。ですが、アウトソーシングを利用すれば大企業にも劣らない充実したサービスを提供することができるようになります。
従業員満足度の向上につながる
福利厚生をアウトソーシングすることにより、提供できるサービスの幅が広がります。従業員のニーズに合わず利用率が下がっているような制度は見直しを図り、アウトソーシングを活用してより質が高くニーズに合ったサービスを提供することで、従業員一人ひとりの満足度が高まります。これにより企業への信頼感も向上し、離職率の低下にもつながると言えるでしょう。
デメリット
サービスを利用されなくてもコストが発生する
たとえ従業員が福利厚生サービスを使わなかった場合でも、毎月企業の契約金額は発生してしまいます。そのため、従業員のニーズに合わせて積極的に利用したくなるようなサービスを選択する必要があります。
従業員の手続きが複雑になり利用率が下がる
自社で運用していた福利厚生からアウトソーシングに移行する場合、利用のための手続きが変わったり、申請が増えたりといった従業員の手間が増えてしまうことがあります。それにより利用率が下がる可能性があります。
従業員への周知を丁寧に行うことで、従業員の理解を得て「いいサービスがあるから使ってみたい」と思ってもらうことが大切です。
ニーズからかけ離れてしまわないよう注意が必要
パッケージプランのようにあらかじめ提供企業から用意された福利厚生サービスを利用する場合、利用可能なエリアが少なかったり、サービスの内容が限られていたりと従業員のニーズからかけ離れてしまい従業員満足度の向上どころか不満が高まってしまうことも考えられます。
福利厚生利用率が上がらない場合は、まず改めて従業員のニーズを見極めることが重要。より従業員の選択の自由度が高いカフェテリアプランを導入するなど、ニーズに沿ったサービスが提供できるよう検討していく必要があります。
アウトソーシングサービスの選び方
福利厚生のアウトソーシングサービスを提供している企業はたくさんあります。実際に導入する場合、自社に合ったサービスを選ぶためには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
ここでは、選定する際のポイントをいくつかご紹介します。
従業員のニーズに合ったサービスがあるか
従業員のニーズに合っているかは重要なポイントです。
導入前に、自社の従業員がどういったニーズを持っているのかを把握してから、アウトソーシング提供企業(アウトソーサー)を選ぶとよいでしょう。提携する施設や協力企業の数が多いところであれば、よりサービス内容が充実しており、従業員のニーズを細かく満たすことができると考えられます。
使いやすい仕組みになっているか
前述のデメリットでも述べたように、従業員が利用するための手続きが手間になってしまうと、福利厚生の利用率が下がる可能性があります。サービスの利用率や継続率などもあらかじめ確認しておき、従業員に「使ってもらえる」サービスを選定しましょう。
登録されている会員数
福利厚生アウトソーシングサービスに登録されている会員数は、多い方が割引率は上がるもの。またそれだけたくさんの人が「利用したい」と思うサービスがそろっているということ。
つまり、会員数の多いサービスを選ぶことで、より低コストかつ質の高いサービスを利用できる可能性が高くなると考えられます。
導入・運用までのフォローがあるか
自社で福利厚生の制度を整備するよりは、手軽に導入できるのがアウトソーシング。ですが、新しいシステムを導入する際にはどうしても手間がかかるもの。導入から運用を始めるまでのフォローをしてくれるサポート体制の整った提供企業であれば、導入時における担当者のコストを削減することができ、業務効率化を図ることができます。
また、福利厚生のアウトソーシングは導入するだけでなく、運用開始してからがとても大事になってきます。サービスをうまく活用して多くの従業員に利用してもらうためには、導入後の運用についてもしっかりとサポートしてくれる企業を選定する必要があります。
分析機能があるか
導入後、従業員からどのくらい利用されているのか、どういったメニューが望まれているのかといったことを分析する機能があれば、従業員ニーズにあった改善を行えます。
導入後のサポート体制と同様に、こうした分析機能があるかどうかをチェックすることも、より低コストで質の高いサービス提供を実現させるためには大切なポイントとなっています。
5ステップで導入!取り組むべきポイント
福利厚生アウトソーシングの導入にあたっては、基本的には以下の5ステップが必要です。
①導入目的の確認
まず何よりも肝心なのは、「なぜ福利厚生アウトソーシングを導入するのか」という目的をもつことです。コスト削減のためなのか、従業員の満足度向上のためなのか、新規人材採用のために福利厚生の強化を図るのか。自社における導入目的を明確にし、福利厚生アウトソーシングによって解決したい課題をしっかりと持っておきましょう。
②現状の確認
導入の目的を明確にしたら、次は現状の確認です。現在、自社の福利厚生サービスはどのような利用率・利用状況なのか、コストはどれくらいかかっているのか、利用の方法はどういった流れなのか、従業員の満足度や不満点はどういったところにあるのか。現状を改めて確認しておくことで、どんなサービスを選べば導入目的を達成できるのかが見えてきます。
③サービス選定
前述の選定ポイントをもとに、アウトソーシング先の候補を絞りサービス選定を行います。自社の企業規模や従業員のニーズ、導入前後のフォロー体制などを検討し、利用率やコストなどのシミュレーションを行いながら、導入目的達成のためにしっかりとマッチしたサービスを選びましょう。
④アウトソーシング契約の締結・サービス開始
サービスの選定ができたら、アウトソーサーとの契約を締結し、サービスを開始していきます。従業員にサービスの内容や利用方法についての周知を行い、うまく活用してもらえるように情報提供をします。
⑤サービスの定期的な見直し
従業員が福利厚生に求めるものは時代とともに移り変わっていきます。サービス運用開始後も利用状況の確認を行い、提供するサービスの見直しを定期的に行うことも重要となってきます。
初めに定めた目的に対する効果などを測定し、思うような効果が上がっていなければ原因を分析してサービス内容に反映させます。こうした見直しを定期的に行っていくことで、福利厚生が無駄遣いとなってしまう事態を防げます。
フォローアップとして利用状況の分析を行ってくれる提供企業もありますので、そうした機能を活用してよりよい福利厚生サービスを提供できるよう心がけましょう。
人気のアウトソーシングサービスをご紹介
ここまでは、福利厚生アウトソーシングについて企業のメリットやデメリット、導入にあたってのポイントなどを解説してきました。これらを踏まえて、人気のアウトソーシングサービスをご紹介します。
オフィスおかん|置くだけ社食でいつでも健康的なお惣菜を
株式会社OKANが提供する「オフィスおかん」は、食の福利厚生サービスの中でも新しいものとして注目を集めています。オフィスに冷蔵庫や専用の自動販売機を設置し、管理栄養士が監修した健康的なお惣菜をいつでも1品100円で食べることができる、全国対応の置くだけ社食サービスです。
食のサポートだけでなく、健康経営や社内コミュニケーションの活性化など、企業が抱える多くの課題を解決する新しいアプローチのツールとして、2,500社以上から活用されています。また、外出せずにいつでも車内で食事を食べて感染リスクを抑えるという目的のため、新型コロナウイルスの流行下において導入する企業が増えています。
提供企業:株式会社OKAN
会員数:導入企業2,500社以上(2021年2月現在)
料金:月54,600円(税抜)~
URL:https://office.okan.jp/
CLOUDMEAL|自由に食事をえらべるバーチャル社員食堂
株式会社ダイナプティコの運営する「CLOUDMEAL」は、600以上のレストランのメニューから自由に食事をえらび、指定の場所まで配達してもらえるバーチャル社員食堂サービス。月額固定費は無料で、発生する費用は注文した食事の分だけ。配達のタイミングは、レストランの営業時間に応じてランチだけでなく朝食や夕食にも対応可能です。
1食あたり500円から利用できてそれぞれ自由に食事を選べるため、高い従業員満足度を得られます。支払いはその都度ではなく、月末にまとめて清算なので煩雑な業務がなく気軽に導入できますよ。
提供企業:株式会社ダイナプティコ
会員数:記載なし
料金:1食あたり500円~(企業と社員の負担割合は柔軟に設定可能)
URL:https://www.cloudmeal.io/start/
ベネフィットステーション|140万件以上の豊富なサービスが魅力
株式会社ベネフィット・ワンが提供する「ベネフィット・ステーション」は、全国47都道府県で使える140万件以上の豊富なサービスを有しています。人生のあらゆるシーンで使える割引優待サービスにより、多様化する従業員のニーズに対応し、健康と生活をサポートします。
担当者用のWEBページからサービスの利用状況を確認することができるため、定期的な見直しに役立つのもメリットであると言えるでしょう。
提供企業:株式会社ベネフィット・ワン
会員数:導入企業12,300社、法人会員957万人、カフェテリアプラン会員85万人(2021年2月現在)
料金:1人あたり月1,000円~(別途入会金が必要となります)
URL:https://bs-service.benefit-one.co.jp/
福利厚生倶楽部|導入実績No.1!契約社の7割以上が中小企業
日本で初めて福利厚生のアウトソーシングサービスを事業化した株式会社リロクラブが運営する「福利厚生倶楽部」。導入実績はNo.1を誇り、低コストで顧客満足度の高いサービスを提供しています。
契約社の77.8%が従業員数100名未満の中小企業であるのも大きな特徴。「中小企業にも大企業並みの福利厚生を」をモットーに幅広いニーズに対応する福利厚生サービスが用意されています。
提供企業:株式会社リロクラブ
会員数:契約社数12,600社以上、会員数735万人以上(2021年2月現在)
料金:従業員1人あたり月550円~(別途入会金が必要となります)
URL:https://www.reloclub.jp/fukuri/fukurikouseiclub/
えらべる倶楽部|グループ会社の強みを生かした旅行メニューが充実
JTBベネフィット株式会社が運営する「えらべる倶楽部」。旅行業界の最大手企業である株式会社JTBが100%出資している子会社によるサービスというだけあって、旅行メニューの充実や受付可能店舗を全国1,000店舗とするなど、グループ会社独自の強みを生かしたサービスが提供されています。
提供企業:JTBベネフィット株式会社
会員数:契約社数約2,184社、会員数約469万人(2020年10月現在)
料金:要問合せ
URL:https://www.elavel-club.com/mbs/?after=y
WELBOX|従業員だけでなく内定者向けサービスも
イーウェル株式会社の運営する「WELBOX」では、全国33,000の提携宿泊施設や32の独自施設や、グルメ・フィットネス・人間ドックなど、さまざまな提携サービスでの割引を利用することができます。東急不動産ホールディングスグループが親会社なので、会員制のリゾートホテルや東急ハーヴェストクラブなども利用可能に。
利用可能なサービスはスマートフォンのアプリでも検索ができて便利。また、従業員だけでなく内定者向けのサービスも用意されているので、新規人材採用へのアピールにも役立ちます。
提供企業:株式会社イーウェル
会員数:380万人以上(2019年4月現在)
料金:要問合せ
URL:https://www.ewel.co.jp/category/service/welbox/p737/
ライフサポート倶楽部|低コストで幅広い年代のニーズに対応
リソルライフサポート株式会社の運営する「ライフサポート倶楽部」。幅広い年代のライフイベントに対応したサービスを取りそろえており、冠婚葬祭や出産・育児、住宅購入、介護に関するサービスも用意されています。オフィスで簡易採血を行い、看護師等がその場で説明を行うことで定期的な健康チェックができる「オフィスde健康チェックプラス」というサービスも。
旅行やレジャーのサービスも豊富で、リソルホールディングスグループが運営するゴルフ場やリゾート施設も利用できるのが特徴です。
提供企業:リソルライフサポート株式会社
会員数:契約社数2,000社以上(2021年2月現在)
料金:従業員1人あたり月350円~
URL:https://w7.lifesc.com/
セラヴィリゾート泉郷|費用対満足度No.1!会員制リゾート施設
「セラヴィリゾート泉郷」は、全国にあるリゾート施設を利用できる福利厚生サービス。費用対満足度が高い福利厚生サービスとして2019・2020年No.1に輝いており、さまざまなニーズに応えられる豊富な施設と高いサービスレベルが強みとなっています。
提供企業:株式会社セラヴィリゾート泉郷
会員数:契約団体430団体以上
料金:年額10万円(税抜)~
URL:https://ils.izumigo.co.jp/
ネスカフェアンバサダー|コーヒー代だけでコーヒーマシンを導入
「ネスカフェアンバサダー」は、ネスレ日本株式会社が提供するサービス。コーヒーの定期購入を契約すると、職場でネスレのコーヒーマシンを無料で利用することができます。
通常、コーヒーマシンの導入には本体購入費用がかかりますが、ネスカフェアンバサダーならその費用がゼロになるため、コーヒー代のみで導入ができるように。マシンは全4種類の中から選べて、コーヒーは安値で定期購入が可能です。お菓子や軽食も注文できるコースもありますよ。
提供企業:ネスレ日本株式会社
会員数:記載なし
料金:コーヒー1杯20円相当~
URL:https://shop.nestle.jp/front/contents/ambassador/amb/
CaSy|忙しい従業員も満足の家事代行サービス
株式会社CaSy(カジー)の提供する「CaSy」は、キャストがお料理代行やお掃除代行、ハウスクリーニングなど住宅内清掃全般を代行するサービスです。業界最安値水準で質の高い家事代行サービスが受けられます。仕事が忙しくて家事が疎かになりがち、という従業員の困りごとに応えることができますよ。
「法人向け福利厚生プログラム」なら、企業の負担割合や利用回数によってプランを選択可能。2021年2月現在、対応エリアはまだ限られていますが、今後拡大していく予定となっています。
提供企業:株式会社CaSy
会員数:9万人以上(2020年6月現在)
料金:プラン料金については要問合せ(代行サービスは1時間2,475円(税込)~)
URL:https://casy.co.jp/
自社に合ったプランを見つけて取り入れよう
多様化するニーズに合わせた福利厚生制度を整えるのは、自社内だけではなかなか難しいもの。ですが、福利厚生の提供を専門としている企業にアウトソーシングすれば、とても豊富なサービスを提供することができ、さまざまな年代の従業員が抱えるニーズに細かく対応していくことができます。
従業員満足度の向上だけでなく、手間や費用といったコスト削減も可能な福利厚生のアウトソーシングサービス。自社の課題に合うプランを見つけて、取り入れてみてはいかがでしょうか。
従業員の感染リスクを下げたい
コンビニ弁当以外の選択肢を提供したい
出社が必要な社員の従業員満足度をあげたい
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