ビジネスシーンにおいて、欠かせないスキルともいえる電話応対。音声だけのやり取りになるので、表情や相手の風貌などの視覚的な情報がなく、互いの様子を伺うことが難しくなります。さまざまな不安から電話応対が苦手な方も多いのではないでしょうか。
とくに、慣れない間は「緊張するからできるだけ電話を取りたくない」と感じてしまいがちです。今回は、電話応対への苦手意識を克服するためのコツや、好印象につなげるための方法をご紹介します。
電話応対の心構え
まず、電話応対をする際の基本となる心構えを2点紹介します。
- 3コール以内に電話をとる
- 手元に紙とペンを準備しておく
上記の心構えは、職場で必要となる・ならないに関わらず、社会人スキルとして大切なものなので、覚えておきましょう。
3コール以内に電話をとる
お客様や取引先、また社内の人間からの電話があった際には、3コール以内に電話を取るように心がけましょう。絶対的なルールとまではいきませんが、一般的には、3コール内に取れることがベストとされています。電話に出られないからといって大きなトラブルになる可能性は低いですが、「待たせる会社」というネガティブなイメージを抱かれかねません。
もし、待たせてしまった場合は、電話の初めに「大変お待たせいたしました」と一言伝えてから要件を伺いましょう。ビジネスマナーとして普段から習慣づけておくとよいかもしれません。
手元に紙とペンを準備しておく
電話応対をする際には、メモをとる準備が不可欠です。電話を取り次ぐときや伝言を預かるときには、正確に情報を得て伝えなければなりません。
メモを用意していないと、電話が終わるころには最初に伺った相手の名前や要件を忘れてしまっている可能性もあります。その点、メモを残しておくと振り返って確認できるので安心です。落ち着いて情報をキャッチするために、手元に紙とペンを用意して、いつでもメモを取れる状態にしておきましょう。
ビジネス電話応対の基本マナー
実際に電話応対をする前に、基本のマナーを押さえておきましょう。いざとなると忘れがちな部分も多いため、実践をする前にそれぞれのマナーに注意しながらシュミレーションをしてみるのもよいかもしれません。
正しい敬称・敬語を使う
まずビジネスシーンの電話応対では、正しい敬称・敬語を使うことが求められます。
会社の代表として電話に対応するため、不適切な言葉遣いで相手に不信感を与えないようにしましょう。普段の生活では使うことが少ないため、はじめは慣れないかもしれませんが、電話応対の際は特に意識をすることが大切です。
敬称
「敬称」とは、相手や第三者に対して尊敬の気持ちを込めて使う呼び方です。間違えやすいのが、社長、部長、課長などの役職に「さん」や「様」を付けてしまうことです。もともと役職には敬意が含まれているため、役職には敬称をつけず二重敬語になることは防ぎましょう。以下の対応表を参考にしてみてください。
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社外向け
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自分
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わたし/わたくし/わたくしたち |
相手
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○○様/そちら様/みなさま |
自社
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当社 |
相手の会社
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御社 |
社内の同僚
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○○(敬称なし) |
社内の上司
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○○(敬称なし)/部長(役職)の○○ |
敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)
電話応対で使う敬語は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つです。
「丁寧語」は、相手に敬意を表す話し方です。丁寧語は日常使いするケースもあるので、比較的使いやすいでしょう。
「謙譲語」は、相手を持ち上げて自分を下げる言い回しで敬意を示す話し方です。必要以上に相手を持ち上げるというよりは、自分を下げて話すのがポイントです。
「尊敬語」は、目上の人に対して敬意を示す話し方です。取引先などは目上の人にあたるため、ビジネスの場ではよく使われる話し方です。
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尊敬語
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謙譲語
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丁寧語
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する
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なさる |
いたす/させていただく |
します |
言う
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おっしゃる |
申す/申し上げる |
言います |
来る
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お越しになる |
伺う/参る |
来ます |
知っている
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ご存知 |
存じ上げております |
知っています |
見る
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ご覧になる |
拝見する |
拝見する |
聞く
|
お聞きになる |
伺う/拝聴する |
見ます |
いる
|
いらっしゃる |
おる |
います |
よく使うフレーズ
電話応対中によく使うフレーズもあります。以下の表のような言葉は、普段は日常的な言い回しで問題ありませんが、電話応対の場合は違う言い方をします。
日常的な言い回し
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電話応対で使う言い回し
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わかりました |
承知いたしました |
すみません |
申し訳ございません |
しばらくお待ちください |
少々お待ちください |
どうでしょうか |
いかがでしょうか |
いいですか |
よろしいでしょうか |
大丈夫ですか、構いませんか |
差支えないでしょうか |
そうです |
さようでございます |
その通りです |
おっしゃる通りです |
居ません |
席を外しております |
伝えておきます |
申し伝えます |
会社名と自分の名前を名乗る
電話がつながった際は、必ず会社名と自分の名前を名乗ることも基本のビジネスマナーです。
自分から名乗らなかった場合、相手に名前を確認させる手間をかけてしまいます。また、名乗らなかったことで相手に悪い印象を与えてしまいます。以下の例を参考に、必ず自分から名乗ることを心がけましょう。
例)「お世話になっております。○○(会社名)の□□(自分の名前)と申します。」
復唱して確認する
他の人に取り継ぐときや、折り返しの電話をするとき、伝言を受け取った場合は担当者の名前や、先方の電話番号、伝言内容を復唱して確認します。
また、自分の名前を名乗って承ったことをお伝えします。そうすることで、万が一後から対応漏れがあった時に役に立ちます。
取り次ぐ際は保留にする
電話応対中に隣にいる人と話す場合でも、電話相手を待たせるのであれば保留にします。保留時間は、30秒が目安です。それ以上かかりそうであれば、そのままお待ちいただくか、折り返しの電話をかけるかの、どちらを希望するかを電話相手に伺いましょう。
うっかり先方にこちらの会話内容が聞こえてしまえば、少なくとも相手は不快感を抱きます。勝手を知らない電話を使う際には、事前に保留にする方法と保留を解除する方法を確認しておきましょう。
相手が切ってから切る、または丁寧に切る
一般的には、相手が受話器を切った音が聞こえてから、こちらが受話器を置きます。
電話を切るときは、受話器をそのまま置くのではなく、手でそっとフックを押さえてから受話器を戻しましょう。相手にガチャッという音が聞こえてしまうと、「怒っているのかな」と不安に感じたり、悪い印象を持たれてしまいます。
電話応対で使うクッション言葉
顔が見えない状態で行う電話応対やメール、チャットコミュニケーションなどで活用されているのが、クッション言葉です。
「クッション言葉」は、伝えにくいことを言う際にクッションの役割をしてくれる言葉になります。クッション言葉を上手く使えれば、きつい印象にならず、相手への配慮や思いやりの気持ちを伝えられます。ここでは電話応対で使えるクッション言葉を紹介します。
何かを尋ねたり、申し出る場合
何かを尋ねたり、申し出る場合は、以下のような言葉がよく使われています。
- 差し支えなければ
- お伺いしたいことがあるのですが
- 失礼ですが
- ご迷惑でなければ
断る場合
相手の意見をお断りする場面では、以下のような言葉が使われます。
- 申し訳ありませんが
- ご意向に添えず恐縮ですが
- あいにくですが
- せっかくですが
- 心苦しいのですが
お願いをする場合
電話応対している相手に対してお願いをしたい場合は、以下のような言葉が使われています。
- 恐れ入りますが
- お忙しいところ申し訳ありませんが
- お手数おかけいたしますが
- ご面倒でなければ
- ご都合がよろしければ
電話応対を好印象にする方法
電話応対は、非対面のコミュニケーションとなるため、「音声」が重要です。電話応対で好印象を感じてもらうポイントは、以下の3つです。
上記の3つのポイントが1つでも欠けると、好印象にはなりません。以下では、好印象を持たれる電話応対のポイントについて詳しくお伝えします。
1.自分の声に意識を向ける
まずは電話応対をする際の声が適切であるかチェックしましょう。自分の声をチェックするポイントは、「音量」「トーン」「抑揚・雰囲気」の3つが適切かどうか確認します。それぞれのポイントを以下にまとめたので、確認してみてください。
音量
声の大きさによって、相手に与える印象はまったく違うものになります。声が小さければ、相手は不親切や自信がなさそうだと感じ、声が大きいと威圧感や不快感を感じるでしょう。適切な音量は、「通話相手がきちんと聞き取れる音量」です。
緊張したり恥ずかしがったりすると小声になりがちで、相手に伝わってしまいます。伝え漏れや聞き漏れのないような言葉のキャッチボールができるように、慣れないうちは自分が思っているより大きめに話すとよいでしょう。
また、相手の声が聞こえにくい場合もあります。その時は、遠慮せず「申し訳ございません、少しお電話が遠いようで」などと意思表示をしましょう。
トーン
電話応対の場合は、普段の会話よりも1トーン高めで話すとよいでしょう。1トーン上がると相手に明るい印象を与えられ、不快感を感じにくくなります。笑顔を見せることができない分、声のトーンで明るさを演出できるとよいですよね。
とはいえ会話の内容に合わせてトーンを下げる必要もあります。お詫びをする時などには高いトーンが好まれるとは限りません。会話の内容に合わせて、声のトーンも変えていきましょう。
抑揚・雰囲気
電話応対をする際には、落ち着いた穏やかな雰囲気を心がけます。電話だと相手の姿が見えず不安ですが、目の前の人に話している感覚でリラックスして話すと良いでしょう。さらに、抑揚をつけることで、会話がいきいきとします。
例えば、以前お会いしたことのある方からの電話では、「ご無沙汰しております!」と少し抑揚をつけるとグッと距離感が縮まり、相手に好印象を持っていただけるかもしれません。
2.相づちのバリエーションを増やす
顔が見えない分、電話応対では相槌が円滑なコミュニケーションの鍵となります。普段より多く相槌を打つことで、相手にちゃんと話を聞いてくれていると安心感を与えられます。
しかし、同じ相槌を繰り返すばかりでは、定型文のようなマニュアル通りの返答といった印象になりかねません。例えば相手の話を聞く際には、「はい」と言い続けるのではなく、「ええ」「さようでございますか」「おっしゃる通りです」とバリエーション豊かな相槌を打つようにしましょう。
3.鏡を目の前に置く
好感を持てる電話応対では、明るい雰囲気などが大切だとお伝えしてきました。明るい雰囲気で話す場合は、意識的に笑顔でいることがよいとされています。
場合によっては、普段の電話応対のときから目の前に鏡を置いておきましょう。そうすることで、常に笑顔で電話できているかをチェックできます。笑顔が苦手という方は、口角をあげるだけでも声のトーンが上がると言われています。
おすすめ電話代行サービス
以下では、電話応対を外部に委託する際に参考となる、電話代行サービスを紹介します。
近年では、規模の大小問わず電話応対をアウトソースする企業が増えています。外部のリソースを活用しつつ、自社で使いやすいサービスを見つけてみてください。
ネット申し込みで今日から使える!|Fondesk
Fondeskは、4500以上のオフィスで利用されている、業務効率化に有効な電話代行サービスです。電話を代行したのち、受電内容が使用中のチャットツールに通知されるため、受電漏れを防いだり集中力を保ったまま作業することができるのが特徴です。
料金体系は、月額1万円(税別)と従量料金制となっており非常にシンプル。最短で申し込み当日から使えるため、手軽で試しやすいサービスとなっています。
(参照:fondesk「シンプルで使いやすい電話サービス(https://www.fondesk.jp/)」、『Fondesk』、参照日:2024/05/14)
士業に特化したプランも展開!|ビジネスアシスト
ビジネスアシストは、8200社に導入されている企業のカラーにあわせた対応が特徴の電話代行サービスです。ITベンチャー企業から専門の対応が求められる弁護士事務所まで、多種多様な業種への対応を得意としています。
同社ではオペレーターのチーム制を採用しており、日々の知識を蓄積・共有したり、マニュアルのアップデートに繋げています。秘書検定を取得している正社員が多数在籍しているため、高クオリティの電話対応が期待できます。
(参照:株式会社ビジネスアシスト「高品質の電話代行・電話秘書・電話受付代行サービスならビジネスアシスト(https://www.biz-assist.co.jp/)」、『ビジネスアシスト』、参照日:2024/5/14)
好印象な電話応対で企業のイメージアップを
電話応対をはじめとした顧客対応は、企業の印象に大きく影響します。一次受付である電話窓口は、とくに丁寧な対応が求められます。本記事を参考に、基本を身に付けた心地の良い電話応対を意識しましょう。