
多くの企業で、総務部や人事部の社員が給与計算を担当しているでしょう。
給与は、基本給は毎月同じ額を支給していても、残業代や各種手当などは変動があります。
また、雇用契約や就業規則、給与規程の理解はもちろん、支給額から控除する社会保険料(雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)や税金(所得税、住民税)などの知識も必要です。
大変な業務であるものの、従業員の労働の対価である給与計算でミスは許されません。もし、ミスや遅れがあれば従業員からの信用を失ってしまう重要な業務だからです。
多くの会社では給与計算ソフトを使用して計算をするので、複雑な計算や料率を隅々まで覚える必要はありません。給与計算担当者に任命されたら、まずは給与計算の基本的な計算方法や抑えておきたいポイントを理解することが大切です。
給与計算する前の準備や基本的な給与計算の方法について確認していきましょう。
給与計算をする前の準備
給与計算をする前の準備として、就業規則や給与規程、従業員情報、勤怠管理方法を確認しておく必要があります。
就業規則、給与規程
就業規則とは、従業員の労働条件を定めたものです。給与についてもこの就業規則の中で定められていますが、多くの場合は給与規程を別途設けています。
就業規則や給与規程には、給与計算に必要な以下の項目が記載されています。
・労働について(始業時間、終業時間、休憩時間、休日など)
・給与について(決定方法、計算方法、支払方法、締め日、支払日、昇給など)
・退職について(届け出方法、手続きなど)
これらの内容が理解できていないと給与計算はできないので、就業規則や給与規程をよく読んで内容を理解しておくことが大切です。
従業員情報
給与計算をするためには、従業員情報が必要です。勤続年数や役職などによって基本給が決まります。また、家族の人数や年齢によって家族手当の額が変動したり、所得控除額が変わります。転勤や転居によって、通勤手当が変わることもあるでしょう。
従業員情報は従業員が多い会社ほど毎月のように更新が必要になりますので、給与計算するにあたっては必ずチェックする必要があります。
勤怠管理方法
給与計算をするには、会社がどのように勤怠管理を行っているかを理解することも大切です。従業員の残業代やアルバイトの給与を計算するには、労働時間の計算が必要になるからです。
給与計算をするためのデータを得るために、出勤簿やタイムカードなど、会社がどのような方法で勤怠管理をしているかを確認するようにしましょう。
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給与計算の方法
では実際の給与計算の方法について確認していきましょう。従業員に支給する給与は以下の算式で計算することになります。
給与支給額(基本給・残業代)ー給与控除額(社会保険料・税金)=差引支給額
では、給与支給額、給与控除額それぞれについて詳しく確認していきましょう。
給与支給額の計算
給与支給額には基本給や役職手当などのように固定されているものと、残業代や休日手当などのように変動があるものがあります。
固定されているものは昇進や降格などがなければ、新たに計算し直す必要はありません。しかし、変動があるものについては、残業時間などに基づいて計算する必要があります。
残業代や休日手当などの計算式は以下の通りです。
時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金(月給÷1か月の平均所定労働時間)×割増率
なお、1時間あたりの賃金や割増率については労働基準法に定められており、正しく理解しておくことも大切です。
参考:http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0139/1618/2013327144331.pdf
給与控除額の計算
給与支給額の計算だけでなく、給与控除額の計算も必要です。給与控除額には以下のようなものがあります。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・介護保険料
・所得税
・住民税
健康保険料と厚生年金保険料は会社と従業員で折半することになっているので、標準報酬月額に保険料率を掛けた金額の半分が従業員負担額になります。
なお、標準報酬月額とは毎月の給料などの月額を区切りのよい幅で区分したもので、健康保健は50区分、厚生年金保険は31区分に分かれています。
介護保険料も健康保険料や厚生年金保険料と同じように計算しますが、年齢が40歳以上65歳未満の従業員に限られます。
雇用保険料は会社と従業員双方で負担するもので、従業員負担分を給与支給額から控除します。従業員負担分の計算は賃金に保険料率を掛けて計算します。
参考:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000159618.pdf
そして、所得税と住民税は従業員の所得にかかる税金ですが、会社が給与から控除し(源泉徴収)、授業員の代わりに会社が税務署や市町村に納付します。
所得税は給与所得の源泉徴収税額に基づいて給与支給額から控除する金額を計算しますが、住民税は各市町村からの税額が通知されるため、計算する必要はありません。
参考:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2016/data/01-07.pdf
いかがでしたか?給与計算は慣れない用語も多く、最初は難しく感じるかと思います。大枠の仕組みを理解し、先輩社員に聞きながら少しずつスキルを上げていきましょう。
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