雇入時健康診断とは?実施内容や注意点、費用負担について徹底解説!

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    労働安全衛生規則第43条において、新たな人材を採用した際に、健康診断が義務付けられていることをご存じでしょうか。これを「雇入時健康診断」といいます。

    この記事では、雇入時健康診断で企業の担当者が把握しておくべきルールや注意ポイントを整理しました。ぜひ参考にしてみてください。

    出典:「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf)(2024年5月7日に利用)

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    雇入時健康診断は雇用者の義務

    雇入時健康診断は、労働安全衛生規則の第43条において、以下のように雇用側の義務として示されています。

    “事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。”出典:「労働安全衛生規則」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032_20240401_505M60000100022)(2024年5月7日に利用)

    例外として、入社までの3ヶ月以内に健康診断を受けており、その結果を書面で提出できれば、指定の項目に相当するものについては雇入時健康診断として代替することも可能です。

    いずれにしても、入社前の健康診断は法により受けることが決まっています。企業の担当者は確実に把握し、入社する社員がスムーズに受診完了できるよう準備を進めておきましょう。

    雇入時健康診断の注意ポイント

    ここでは、企業の義務となっている雇入時健康診断の該当期間、対象となる社員、定期健診の時期と重なった場合の対応方法について解説します。細かい部分ですが、疑問点になりやすいポイントなので事前に確認しておきましょう。

    雇入時とはいつのこと?

    雇入時健康診断が必要となるいわゆる「雇入時」は、一般的に採用の直前から直後の期間のことを指します。採用がまだ決定していない、あるいは応募や選考中の期間は基本的に含まれないので注意しましょう。

    具体的な実施期間に厳密な決まりはありません。前述したように、労働安全衛生規則第43条では「入社までの3ヶ月以内に健康診断を受けており、その結果を書面で提出できれば、指定の項目に相当するものについては雇入時健康診断として代替することも可能」としています。この記載に基づくのであれば、入社3ヶ月以内に実施するのが望ましいでしょう。

    雇入時健康診断を適した時期に実施するには、人事・労務担当者の管理が重要になります。通常業務に必要以上の影響が出ないよう、スケジュールやアナウンス時期を調整しておけるのが理想です。

    出典:「労働安全衛生規則」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032_20240401_505M60000100022)(2024年5月7日に利用)

    雇入時健康診断の対象者は?

    雇入時健診の対象者は、正社員だけとは限りません。労働安全衛生規則第43条では、対象者は「常時使用する労働者」と記載があります。契約社員、パートやアルバイトも「常時使用」に当てはまることがあるので、一概に正社員だけに当てはまるものではないといえるでしょう。

    ちなみに定期健康診断の対象者も「常時使用する労働者」です。通常労働者の1週間の所定労働時間の4分3以上を満たし、かつ期間の定めのない契約により使用される、あるいは一年以上の雇用契約予定がある従業員は、雇用形態に限らず健診の実施が必要となっています。

    出典:「労働安全衛生規則」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032_20240401_505M60000100022)(2024年5月7日に利用)

    出典:「Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか?」(東京労働局)(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/roudouanzeneisei/q16.html)(2024年5月7日に利用)

    雇入時健康診断と定期健診が重なる場合はどうする?

    入社時期によっては、雇入時健康診断と企業の全社員向けに行う定期健康診断が重なる場合もあるでしょう。その場合は、片方は省略しても問題ありません。ただし健診する項目については、労働安全衛生規則の第43条で定められた雇入時健康診断の11項目を満たす必要があります。

    健康診断は、意外と時間がとられてしまうものです。細かな項目を確認し、省略できる箇所を把握しておくと効率的でしょう。

    出典:「労働安全衛生規則」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032_20240401_505M60000100022)(2024年5月7日に利用)

    雇入時健康診断の項目と内容

    前述したように、雇入時健康診断の検査項目については労働安全衛生規則で定められています。全部で11項目あり、内容は以下の通りです。

    1.既往歴と業務歴の調査
    2.自覚症状と他覚症状についての検査
    3.身長・体重・腹囲測定と視力・聴力の検査
    4.胸部エックス線検査
    5.血圧測定
    6.貧血検査
    7.肝機能検査
    8.血中脂質検査
    9.血糖検査
    10.尿検査
    11.心電図検査

    問診や身長・体重測定、視力検査、血液検査など、誰もが一度は受けたことがある基本的な項目がほとんどです。入社時の健康診断だからといって、特別気を張る必要はないといえるでしょう。また、雇入時健康診断は労働者の健康管理に役立てることを目的としたものです。企業側は、診断結果を採用時の判断材料にできないことを覚えておいてください。

    ちなみに定期健診の場合は呼吸器系を調べる「喀痰(かくたん)検査」が追加されます。雇入時健康診断と定期健康診断の内容は実は1項目しか変わらないのです。

    出典:「労働安全衛生規則」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032_20240401_505M60000100022)(2024年5月7日に利用)

    出典:「採用選考時に配慮すべき事項 と 就職差別につながるおそれのある質問」(厚生労働省)(https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/001193870.pdf)(2024年5月7日に利用)

    雇入時健康診断の費用負担について

    雇入時健康診断の費用を企業が負担するか、社員に負担してもらうかで迷う方もいるかもしれません。厚生労働省によると、雇入時健康診断を含む健康診断の実施が企業に義務付けられている以上、企業が負担すべきものとして定めていました。

    ただし、労働者側が企業が指定する場所での実施を希望せず、自分で選んだ医療機関で診断する場合は、自己負担になる可能性もあります。どちらを希望するか、企業と労働者の間で話し合ってから決めると良いでしょう。

    出典:「健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/1.html)(2024年5月7日に利用)

    雇入時健康診断を円滑に実施し、企業としての義務を果たそう

    企業の義務となっている雇入時健康診断は、人事や総務担当の必須業務のひとつです。できれば従業員の通常業務への影響を最小限に抑え、コストや時間、工数を押さえてスムーズに済ませたいところですよね。

    そのためには、まず雇入時健康診断の詳細を知ることが大切です。この記事を参考に雇入時健康診断のルールや注意点を把握し、円滑に進めていきましょう。

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