嘱託社員とは?派遣社員/契約社員との違い、給与体系や待遇、契約時の注意点など

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    企業や組織における雇用形態には、正社員といった無期で労働契約を交わすものもあれば、パートやアルバイトなどといった契約期間を設けている有期雇用があります。有期雇用の一つとして「嘱託社員」という雇用形態もありますが、実際にどのような契約形態なのか、詳しいことを知らないという方もいることでしょう。

    そこで、この記事では「嘱託社員」について詳しく解説します。

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    嘱託社員とは?

    「嘱託社員」とは、契約期間を定めている、いわゆる有期で契約している労働者であり、非正規雇用に該当する者です。ただし、嘱託社員は法律で定められた明確な定義はないため、働き方については企業によって異なる場合があるようです。

    また、医療業界においては嘱託医、弁護士では嘱託弁護士など、高い専門性をもつ分野において臨時雇用するケースがあるようです。

    嘱託社員と派遣社員/契約社員との違い

    嘱託社員と派遣社員の大きな違いは、雇用主が異なるという点です。派遣社員は、派遣会社と契約を結び派遣先の会社へと赴きます。それに対して嘱託社員の雇用主は、実際に就業をする会社です。

    そのため、契約内容においては、それぞれの雇用主によって異なります。採用側の目線から見た際に、退職後の再雇用の嘱託社員は採用活動の手間が生じず、派遣会社への手数料などが発生しません。採用に関する経費を抑えられる点が、利点ともいえるでしょう。

    つづいて、契約社員との違いも含めてみていきましょう。法律での嘱託社員の定義がないため、嘱託社員と契約社員の違いは会社によって異なるのが現状です。あくまでも非正社員の雇用形態の一つであることを前提に、通常の契約社員と異なった契約を結びたい場合に用いられます。

    契約社員はフルタイムでの勤務、嘱託社員は短時間勤務や非常勤勤務であることが多い傾向です。ただし、嘱託社員はパートタイムのような短時間勤務だけをするわけではなく、フルタイムとして勤務する場合もあります。そのため、契約社員とパートタイムの間に位置する立ち位置と捉えられることがあるようです。

    実際の運用では、定年後の再雇用社員を「嘱託社員」として、その枠の中で出勤日数や労働時間を調整し契約することがあるようです。

    嘱託勤務での給与体系や待遇

    1.給与

    法律での規定を特に定めていないため、嘱託社員は会社との有期雇用契約の内容にのっとります。給与面においては、一般的に 嘱託社員は正社員に比べ勤務日数や労働時間が短く、職務内容が限定的です。

    ただし、嘱託社員でも特別な技能や資格を求められての雇用という場合もあります。具体的には、嘱託医師や嘱託弁護士など専門的な国家資格を要するものを指します。時給制・月給制といった給与体系や、ボーナスの有無など、雇用契約を結ぶ事業者によって大きく異なります。

    ここで一つ注意しておきたいのは、2020年4月から導入された「同一労働同一賃金」(※中小企業の適用は2021年4月から)のことです。これは国が推進する施策であり、「同一企業(団体)内での正規雇用労働者と非正規雇用労働者を公平に扱い、給与面で不合理な待遇差の解消する」という主旨のもの。嘱託社員の給与を決める際には、この「同一労働同一賃金」の制度に抵触しないよう注意が必要です。

    出典:「同一労働同一賃金特集ページ」(厚生労働省)( https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html )(2024年4月30日に利用)

    2.社会保険

    嘱託社員も他の労働者同様に、勤務日数などの、加入条件を満たした場合、必ず社会保険に加入させる必要があります。具体的には以下の内容を、満たした場合に社会保険適用が認められます。

    1)1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること

    2)1ヶ月あたりの所定賃金が88,000円以上であること

    3)学生でないこと(※休学中の学生、大学の夜間部に通う学生、高等学校の定時制課程に通う学生、卒業見込証明書を有しながら卒業前に就職し卒業後も継続して同じ企業または団体勤務予定の学生は除外)

    4)被保険者数101人以上の会社団体に就業している

    なお、2024年10月から、被保険者数51人以上の企業団体で就業する短時間労働者の社会保険加入が義務化されるので、上記の4)の箇所の項目が変更されます。

    (参照:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大( https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html )」『日本年金機構』、記事更新日:2024/01/24、参照日:20204/04/8)

    3.有給休暇

    有給休暇について、労働基準法第39条で以下のように定められています。

    “使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。”出典:「労働基準法 第三十九条」(e-Gov法令検索) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049 )(2024年4月19日利用)

    これは日本国内で働いている方が対象です。勤務先の職種やその就業形態などを問わず、すべての労働者の方に適用されます。

    出典:「年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf)(2024年4月19日に利用)

    4.解雇

    嘱託社員は有期雇用契約の労働者です。雇用契約期間中は、労働契約法第17条1項にのっとり、やむをえない理由がない限り解雇できません。やむをえず解雇を検討する際には、慎重に就業規約や労働契約の内容を確認のうえ、慎重に妥当性を検討する必要性があります。

    出典:「平成十九年法律第百二十八号労働契約法 第十七条」(e-Gov法令検索) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000128)(2024年4月19日に利用)

    5.任期

    定年退職後の再雇用となる場合、65歳までの雇用継続がされる制度を設けて運用している事業所もあるようです。65歳までの雇用を安定的に継続できない事情が雇用主側にありそうな場合、契約内容の更新についての注意事項をあらかじめ設けておくことをオススメします。

    嘱託社員として働くメリット

    労働者側のメリット

    定年後の再雇用の場合、以下の内容が労働者側と雇用側のメリットとして挙げられます。

    • これまでの実力や経験を発揮しやすい
    • 自分が望んだ働き方ができる場合がある
    • 再雇用のため、求職活動を行う手間を省ける
    • これまでの実績を評価されたうえで、定年後も継続して活躍できる

    雇用側のメリット

    定年後の再雇用の場合、企業文化をすでに理解しており、人間関係も構築済みのため即戦力になる人材を確保できます。毎年一定数の定年退職者が出る労働者の多い組織では、有期雇用のため、労働者の数を調整しやすい点もメリットの一つといえるでしょう。

    • 即戦力になりやすい
    • 研修コストがカットされるので人件費を抑えられる
    • 求人募集の手間がなくなる

    契約前に気をつけるべきこと

    嘱託社員がどのような条件で雇用されるかは、各企業によって差があります。そのため雇用主側が労働基準法にのっとり、労働条件を定める必要があります。

    新たに嘱託社員の枠を設ける場合には、導入の意図を明確にし、運用面で契約社員とどのように違うのかなどを意識して契約締結をするとよいでしょう。再雇用で留意すべき点としては下記のとおりです。

    • 希望者に対して70歳までの雇用機会を与える
    • 労働条件は、正社員と同じでなくてもよい
    • 正社員と比較して不合理な条件を提示するのは避ける

    多くの場合で嘱託社員は定年後に再雇用する場合、65歳までの雇用が義務付けられていましたが、2021(令和3)年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行に伴い、70歳になるまで継続して就業できるようすることが企業側の努力義務となりました。

    勤務時間や勤務日数など労働条件は、正社員と同一である必要はありません。ただし、正社員と比較して、不合理な条件を提示することを避けるよう対策をしなくてはなりません。互いが納得できる適切な評価と、条件を提示することを忘れてはなりません。

    嘱託社員も正社員と同様に企業団体に貢献している場合、正社員と同一の賞与を支給をしなくてはならないという点も知っておきましょう。

    出典:「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html)(2024年4月19日に利用)

    出典:「「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要➀」(厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf)(2024年4月10日に利用)

    嘱託社員に安心して活躍してもらうために

    正社員から嘱託社員に雇用形態が変更になることで、労働日数や労働時間をはじめとする労働条件によって給与面など変化する点がいくつかあります。対象となる嘱託社員が新たな契約条件と正社員と同等に対応することを十分に理解したうえで安心して就業できるようしっかりと説明を行うことが大切です。

    契約社員と比べ、働き方や契約内容が多岐にわたる嘱託社員は、これまで積み上げたスキルも備わっており、即戦力として活躍が見込まれている点でも企業のこれからの発展にも良い影響を与える可能性があります。

    「働き方改革」という言葉が浸透し、多様性が求められている昨今。新たな労働の形を模索する方法として、嘱託社員の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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