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組織開発

現代人が身につけるべき「レジリエンス」とは?企業が組織強化のためにできること

組織開発

2021/01/25


困難な状況や変化の激しい状況でも乗り越えていく力として、「レジリエンス」が注目されています。個人のレジリエンスの向上は、適応能力や自己肯定感を高め、強い組織をつくります。技術発展により変革を続けるビジネスシーンでは、重要な能力といえます。

ここでは、レジリエンスとは具体的にどんな力なのか、ビジネスでレジリエンスの向上を必要とする人の状況について解説しつつ、組織力強化のために企業ができることについてご紹介します。

レジリエンスの意味は?

レジリエンスとは、日常で起きる困難やストレスに対して、心が折れずに精神的に回復できる力のことをいいます。「精神的回復力」「復元力」「耐久力」と訳されることもありますが、そのまま「レジリエンス」で使われるのが一般的です。

レジリエンス(resilience)は、「跳ね返り」「とび返り」「弾力」「弾性」という意味であり、ストレス(stress:物理的な圧力、重圧)の対義語として使われていました。それが心理学の分野でも利用されるようになり、近年ではレジリエンスとは「何があっても折れない心」「さまざまな環境に適用する力」として、個人の生き方だけでなく組織論や危機管理能力としても注目されています。

レジリエンスと似た意味を持つストレス耐性やハーディネスの違い

レジリエンスに似た言葉に、「ストレス耐性」と「ハーディネス」があります。

ストレス耐性は、外からのストレスに対して、個人が精神的に耐えられる程度を表すものです。つまり、どれくらいストレスを許容できる容量があるか、受け皿の大きさを意味します。また、「ハーディネス(hardiness)」は、ストレスを跳ね返す個人的な特性を表す言葉です。

レジリエンスはこれらの言葉の概念をふくみ、困難な状況下でも受け止めたり、跳ね返したり、適応していく力や考え方としてとして捉えられています。

さらに、「メンタルヘルス」もレジリエンスと通じる部分がある言葉です。メンタルヘルスは、うつ病などの精神的疾患や不調を予防する目的で用いられます。最近では、社内にメンタルヘルスクリニックを設けるなど社員のメンタルヘルス対策に乗り出す企業も増えています。レジリエンスは、メンタルヘルスに含まれる考えともいえるでしょう。

レジリエンスを高めることで得られる4つの効果

近年、企業がレジリエンスに注目しているのは、レジリエンスの向上が業務上に大きな影響をもたらすからです。代表的な効果をみていきましょう。

①変化への適用力を高める

働き方改革により、近年では就労形態の変化が進んでいます。時短やリモートワークの普及で、働くチャンスが増える人がいる一方で、残業制限による会議時間の短縮や、業務フローの改善など、新しいスタイルへ適用する必要性が高まっています。

とくに、新型コロナウイルス対策によるリモートワークの普及は、多くの人にこれまでのコミュニケーションスタイルを強制的に見直す機会になりました。従来は、顔を合わせて「ちょっとした相談」ができる空間が用意されていたのが、リモートワークではその空間や時間作りから取り組まなくてはなりません。

このような新しい事態をマイナスと捉えず、前向きに取り組んでいく姿勢こそがレジリエンスから生まれるものです。

②自己肯定力を高める

変化が激しい環境は、おのずと未来の見通しも不安定になります。革新的な技術が登場する一方で、10年後に自分の仕事はあるのか? 会社の業績変化でおなじように稼いでいけるのか? など、今は順調に働いている人でも将来への不安は尽きません。

そうした状況に対して、これまで培った経験やスキルをもとに、現実的な目標を立てて、やっていけるという自己肯定力を育むのがレジリエンスといえます。

③ストレスに立ち向かう力を養う

うつ病等の精神疾患を抱え医療機関にかかる人数は、平成14年の258万人から平成29年には419万人へと増加しています。働き盛りの年代にとって、ストレスを起因として発症するうつ病や適応障害は、すでに身近な病気となっています。

仕事上のストレスだけでなく、やりがいを感じられない、他者とのつながりが薄い、逆にSNS等で他人の言動が気になるなど、多くの要因が精神的ストレスの原因になります。

レジリエンスの向上は、こうしたストレスから心身を守り、働き続けられるようになる効果が期待できます。

④強い組織を作る

変化する状態やプレッシャーの強い状況において、止まらずに行動することが成果につながります。市場の求めるニーズにあわせ競合よりも早くサービスをリリースさせる、部門の再編成により新しいチーム体制をつくる、このような目標をやり遂げるには高い意欲や良好なメンタルが必要です。

レジリエンスの高い社員が多いほど、組織は安定し、また変革していけます。

参照:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

レジリエンスを持つ人の特徴

これまで、多くの研究でレジリエンスを構成する要素について考察が進められてきました。レジリエンスの要素は決まった定義は確立されておらず、また関係する要因にも、個人差があるといわれています。
そのなかで、以下の3つの心理的特性が、レジリエンスを持つ人の特徴として挙げられています。

1. 肯定的な未来志向:未来に対して、将来の夢や目標など前向きな見通しを持つ傾向のことを指します。
2. 感情の調整:心の状態や喜怒哀楽など心理的な動きを自己でコントロールしようとする働きを意味します。
3. 興味・関心の多様性:多様な事柄に興味・関心をもち、能動的に外側と関わっていこうとする力を指します。

レジリエンスの高い人は、強いストレスや困難な状況に陥ったときでも、自分の感情を見つめることができます。どうすればネガティブな感情に飲まれず、状況に適した行動や発言に写せるのか感情をコントロールします。変化に対して、前向きな目標を持ちモチベーション高く働けます。さらには、多様な人とのつながりにより、自分の世界を広げ安定的なものとします。

参照:『レジリエンスから見た生涯学習』早稲田大学 小塩真司 P4 

レジリエンスが必要な人の特徴

では、どのような状況の人に、レジリエンスの向上が求められるでしょうか。ビジネスのシーンで当てはまるものをご紹介します。

意思決定が求められる中間管理職

多方面から意見を聞き、組織にとって最適な決断を下す中間管理職は、強いレジリエンスが求められるポジションです。部長や課長という明らかな役職付きでなくても、チームリーダーや指導するメンバーがいるなど、意思決定に責任を追う時点で、調整や判断といったプレッシャーが生じます。

とくに現場との距離が近く、かつ働き方の最適化を任されるプレイイングマネージャーは、より強いストレスを感じています。そのため、部下やチームメイトの不満を受け止め、困難な状況でもポジティブな思考に切り替える力が求められます。

顧客の感情を受け止める仕事

カスタマーポートや接客業、それから看護師や介護士といった、いわゆる感情労働の比重が高い職種でも長く働きつづけるにはレジリエンスが重要です。感情労働では相手に対して怒りを抱いたり、理不尽な要求を付きつけられたりしても、自己の感情を抑制しなければいけません。そのため非常に大きな精神的負担を抱えます。

レジリエンスの向上は、こうしたストレスの強い職種で働く際に役立ちます。自分の感情を認識し、そのうえで他者を理解しようと努めること。そして、目の前で問題になっている事柄について解決しようと行動すること。「悲しい」「大変」などネガティブな感情だけに留まらず、仕事の課題解決にフォーカスできるのがレジリエンスの高い人といえます。

一人で作業する時間が多い在宅ワーカー

多様な働き方の広がり、また直近はコロナ禍をきっかけに在宅勤務者が増えています。、在宅勤務では、私生活との切り替えがうまくいかなかったり、外部からの刺激がすくないために、自己成長しにくいことも。
レジリエンスの高い人は、興味関心を持ち、わからない分野について能動的に質問をします。また、上司との面談を通じ、仕事で求められている役割を理解しながら、キャリアの目標に向かってスキルアップしようと努めます。もちろん、企業は個人のレジリエンスだけに頼らず、社員のやる気を引き出すため、日頃のフィードバックや1on1面談など施策が求められます。

入社したばかりの新入社員や若年層

新入社員や若年層のなかには、自分の感情を見つめたり、現在陥っている困難に対して周りに助けを求める力が弱い人がいます。助けをもとめず、解決策が見つからないと我慢や自分の頑張りに頼ってしまいます。
こうした我慢は、一見ストレス耐性の強い行動に思えますが、一度心が折れてしまえば燃え尽き症候群のようになってしまいます。そのため、レジリエンスの向上で自己の感情を肯定していく訓練が必要です。

レジリエンスの強い組織にするために企業ができること

個人がレジリエンスを向上させると、集中力アップや課題解決型アプローチの促進など、組織にとってプラスの効果が期待できます。

レジリエンスは後天的に身に着け、個人が伸ばしていける能力です。アメリカ心理学会(APA)では、「レジリエンスを築く10方法(10 ways to build resilience)として以下のポイントを紹介しています。

・人とのつながりをつくる:Make connections
・危機を乗り越えられない問題と見るのをやめる:Avoid seeing crises as insurmountable problems
・変化は生きることの一部であると受け入れる:Accept that change is a part of living
・目標にむかって行動する:Move toward your goals
・不利な状況であっても、決断し行動する:Take decisive actions
・自己発見の機会を探す:Look for opportunities for self-discovery
・自分を肯定的に見る力を養う:Nurture a positive view of yourself
・物事の見通しを立てておく:Keep things in perspective
・希望に満ちた展望を持ち続ける:Maintain a hopeful outlook
・心と身体をケアする:Take care of yourself

ここで挙げられている要素から、レジリエンスとは物事の見方を意識的に変えたり、楽観的思考を持ち続けたりする方法のひとつであるとわかります。また、単純に前向きになるだけではなく、前向きでいられるように、自分をケアすることの大切さを説いています。

参照:The Road to Resilience|アメリカ心理学会(APA)

レジリエンス研修

社員が逆境や困難を乗り越え、成長の糧にする力を養うためのレジリエンス研修も近年では登場しています。レジリエンス研修では、主に「感情のコントロール」「自尊感情」「自己効力感」「楽観性」「人間関係構築」の部分を高めるための知識や方法を学びます。

こうした研修では、自社の課題にあわせて研修内容がカスタマイズできるものを選びましょう。中堅社員むけの離職防止やストレスアップを狙いとするのか、それとも新入社員向けに実施するのかで、注力する部分が変わります。

また研修後に効果を測定することも重要です。社内アンケートを実施し、研修の感想を聞くほか、研修前に課題としていた事柄に対して、どれだけ変化があったのかを確認しましょう。

災害レジリエンス

不測の事態で回復する力は、組織に属する個人だけでなく、組織全体にも求められています。災害レジリエンスとは、自然災害やテロ等の社会システムが大規模な危機に直面した際、システムとしての被害を最小化させ迅速に普及させる力と考えられています。地震や台風、疫病といった、いつおこるかわからない危機に備え企業が体制を整えることは、経済の競争力を高めることにつながります。

災害レジリエンスでは、建物や情報通信網といった「ハード」、指示系統や役割分担などの「ソフト」、および人的・行動能力に関わる「スキル」の3点に基づき、組織の危機管理能力を整備することが需要です。

有事に備えたハードの増強や、連絡網の整備、オペレーションマニュアルの構築が組織の災害レジリエンスを向上させます。

参照:組織のレジリエンスを高める : 富士通総研

レジリエンスは知識と訓練で向上する

困難な状況でも、心が折れずに前を向けるレジリエンスは、「強い人」だけが持つ能力ではありません。感情の捉え方や、物事との向き合い方を学ぶことにより、個人は自らのレジリエンスを高めることができます。

レジリエンスの強い人材が揃った組織は、変化の激しいマーケットでも、問題に立ち向かい新しい解決策を生み出すことができます。それは、やがて市場での競争優位性につながっていくでしょう。

個人の能力を高める研修のほか、日頃から有事に備えハードやソフトの整備を行うことが、組織全体のレジリエンス向上につながっていきます。

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Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部

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