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組織開発

大手企業も導入している!ピープルアナリティクスについて解説

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データに基づいて人事や組織の課題を洗い出し、解決に役立てるのが、ピープルアナリティクスという技術です。既に大手を含めた導入企業で成果が確認され、注目を集めています。そこで、この記事ではピープルアナリティクスの効果や、実施に必要なポイントなどを紹介します。ぜひ、自社で導入する際の参考にしてみてください。

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ピープルアナリティクスとは

ピープルアナリティクスとは、人や組織に関するさまざまなデータを収集・解析し、課題解決や成果に結びつける技術のことです。「HR アナリティクス」や「タレントアナリティクス」などの名前で呼ばれることもあります。現代では多くの企業が、顧客管理システムの「CRM」や営業支援システムの「SFA」のように、さまざまなビジネス手法やそれを実践するためのシステムを導入しています。同様の技術として、従業員に関するデータを分析し、採用活動や人材育成、組織力の強化に役立てよう、という考えがピープルアナリティクスの基本です。

ピープルアナリティクスで活用されるデータは、従業員それぞれの人事上の基本データ、そしてウェアラブルデバイスを用いた行動データなどです。このようなデータをAIや機械学習によって解析することで、現状からの改善策が導き出されます。これを実施すると、適正な人材の登用、最適な人員配置、業績の向上、離職の予防などが可能です。また、データの分析によって、これまで人間だけでは見つけられなかった傾向も発見・分析できるようになりました。あらゆる人事戦略を勘や経験ではなく客観的なデータに基づいて行うことで、公正な計画を効率よく、迅速に進めることが可能です。

ピープルアナリティクスが注目される背景

ピープルアナリティクスが広く注目されるようになったきっかけは、映画『マネーボール』だといわれています。これはプロ野球チームでの実話を2011年に映画化したもので、弱小チームが統計学を駆使して効率的なスカウトを行った結果、リーグ最高成績をたたき出した、という内容です。勘ではなくデータをもとに人的資源を分析し、その結果成功した実例がある、として話題になりました。

いち早く目をつけ、既に成果をあげた大手企業としては、Googleや日立製作所などがあります。採用や評価などの人事業務、組織力の強化といった社内施策は、人の手によって実施されるケースがほとんどです。これに感情的な要素が入ると、どうしても意思決定にゆがみが生じやすくなります。しかし、AIやビッグデータが活用できるようになった現代では、データから客観的に現状や将来予測を把握できるようになりました。このようなデータの活用事例として真っ先に注目を集めたのが、このピープルアナリティクスなのです。

ピープルアナリティクスの効果

ここまで、ピープルアナリティクスの概要を紹介してきました。そのようなピープルアナリティクスですが、導入による実際の効果はどのようなものなのでしょうか。採用活動、人材育成、そして組織力強化の3つの場面ごとに、具体的な効果を紹介します。

経験や価値観に頼らない!精度の高い採用活動

従来、採用活動は人事部の経験や価値観によって行われるのが一般的でした。言い換えれば、人事部の主観がすべてを左右しているということです。これでは、どうしても感情的なバイアスがかかってしまいます。一方、ピープルアナリティクスを用いた採用活動は、まず自社で活躍している人材とはどのようなタイプであるのか分析する、という点が特徴です。そのうえで応募者のデータと照合させ、どのくらい活躍してもらえるか、適合度を数値から客観的に判断します。こうすることで、経験や価値観だけで採用する場合に比べて、より精度の高い採用活動が可能です。

もちろん、人材のマッチングだけではなく、1人の人材を採用するために現在かかっているコストやステップごとの選考通過率など、割り出せるデータは多岐にわたっています。そのため、選考期間と内定承諾率の関係など、仮説の立て方次第であらゆる相関関係をはじき出すことが可能です。

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研修の利用率から分析!科学的根拠による人材育成

従業員の育成やキャリアプランの形成にも、ピープルアナリティクスは効果を発揮します。ピープルアナリティクスでは従業員の昇格スピードや昇給率、社内の研修制度の活用率などから、従業員の成長度合いの測定が可能です。従業員へのアンケート結果やその回答状況を分析すれば、従業員の描くキャリアプランの中に自社は入っているのか、といった従業員の感情や思考に関わる部分もデータ化することができます。実際の成長データと感情データを比較することで、適性と本人の希望の双方を考慮した判断ができるので、異動配置などに役立ちます。

複数の従業員のデータをまとめて確認すれば、研修の利用率や満足度の数値化も可能です。全体的なトレーニングを行う際もデータの裏付けという根拠があるので、より一層効果が期待できます。育成事例とその結果をまとめていけば、長期的な人材育成への応用もできるでしょう。

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退職率が課題把握のヒント?データに基づく組織力強化

まず、従業員の満足度や幸福度、ロイヤリティといった感情データと、特定の層における早期退職率や離職率、欠勤率といった行動データを数値化して比較します。すると、自社の現状や課題が一目瞭然です。退職に関わるデータは特に重要で、「従業員が所属組織に求めているものの、現状では自社に欠けている要素」が形となって見えてきます。そのため、効果的な対抗策を打ち出しやすいのです。組織に不足しているものを多角的に導き出し、それを解決することによって、高いパフォーマンスを誇る組織を作ることができます。

これまでは、何か策を思い浮かべても、その結果は実践するまで未知数でした。そのため、特にハイリスクハイリターンな策となると、二の足を踏んでしまう組織も出てきます。しかし、ピープルアナリティクスであれば、最初からある程度データによる裏付けがあります。そのため、恐れることなくチャレンジすることが可能です。

ピープルアナリティクスの注意点

以上のように、ピープルアナリティクスを使えば、人間が主観的に判断するより正確な結果が出てきます。しかし、それはあくまで正しく使った場合です。データを扱うのは人であり、またデータの対象も人という数値化しづらいものである以上、使い方には十分に注意する必要があります。主な注意点は、以下の2点です。

データを活用できる人材が必要

データの収集を行っても、なんとなく傾向だけを掴んで終わってしまうようでは、ピープルアナリティクスで成功を収めたとは言いがたいです。それでは、最終的な判断は依然として変わらず、勘や経験頼みとなってしまいます。また、分析方法が適切でない場合は、ピープルアナリティクスによって誤った判断を下してしまう可能性も否定できません。

ピープルアナリティクスでは組織内の人間を主な調査対象とするので、マーケティングなどの分野と比べてデータの絶対数が少なくなる傾向があります。そのため、データの適切な収集と分析が調査結果の精度を大きく左右します。どの分野でも重要なことですが、ピープルアナリティクスではなおさら顕著です。以上から、仮説に対して欲しいデータを手に入れるためには、分析手法やAIへの理解が深く、データを活用できる人材が必要となります。システムの制御面では、人間の判断が重要なのです。

目的を明確にする

人事に関するデータは他の分野と比べて収集頻度が限られるので、蓄積しにくいのが特徴です。また、評価基準などは企業の成長や動向によって変化するため、継続的なデータとなるとさらに蓄積が難しくなります。別の分野のデータと組み合わせれば人事施策に結びつけられる量にはなるものの、やみくもに集めたデータでは意味がありません。

ピープルアナリティクスで重要なことは、集めたデータで何がしたいのか、目的を明確にすることです。そのうえで、アウトプットに有効なデータはどのようなものか、絶えず試行錯誤することが必要となります。すでにあるデータの中に有効なものがなければ、新しいモデルケースに使える代替データを探す柔軟性も大切です。

ピープルアナリティクスに必要なもの

ピープルアナリティクスにも、効果的な結果を出すためには注意点があることを紹介しました。ならば、分析結果の精度を上げるためには、どういったデータが必要なのか、また、データ以外に必要なものはなんでしょうか。合わせて3点該当するので、それぞれ紹介します。

各種データ

ピープルアナリティクスで主に必要とされるデータには、以下の4つがあります。まずは、もっとも基本的なものである人事データです。年齢、性別、勤怠情報や人事考課といった情報が該当します。次に挙げられるのは、インターネットやメールの使用状況、パソコンの使用記録などのデジタルデータです。これは業務効率化や従業員のパフォーマンスの向上に役立てられます。ただし、メール関連など個人情報にあたるものもあるので、プライバシーに配慮して収集することが大切です。

そのほか、少し特殊なものとして、施設データと行動データがあります。施設データに当てはまるのは、企業の光熱水料や、会議室に代表される施設の利用状況などです。無駄な会議の削減など、労働環境の改善に役立てられます。行動データとは、ウェアラブル端末を利用して従業員の位置情報や健康状態などを計測したデータのことです。これを分析することで、モチベーションやメンタルヘルスの改善に活用できます。

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行動科学の知識と統計学

人についての行動やモチベーションを分析するものとして、心理学や社会学、労働経済学といった行動科学の分野に該当する学問が役立ちます。これら行動科学における理論や研究手法に精通していると、より精密な仮説の構築や、適切な分析をすることが可能です。例えば、応用心理学の1つに、産業・組織心理学という分野があります。産業・組織心理学では、価値観と従業員満足度の関係性などといった研究テーマがあり、ピープルアナリティクスにはもってこいです。

また、適切な分析には統計学の知識も欠かせません。統計学の知見があれば、適切な調査方法を打ち出すことができます。以上を組み合わせることができれば、データの中から必要な項目を抜き出し、さらに最適な分析手法をとれるので、少ない労力で本当に必要な情報にたどり着くことが可能です。多変量解析や機械学習の知識、統計に関する各種プログラミングスキルもあればなお良いでしょう。

分析手法

集めたデータは、4つの手法を使って分析します。記述的分析は、データからわかる情報を要約して可視化し、状況の把握や対策の構築を行う、最も基本的な方法です。診断的分析では、記述的分析によって判明した状況に対して、さらに原因の究明を行います。残りの手法は、ときには人工知能も使用する、さらに高度なものです。予測的分析は人工知能などを利用し、データから予測を行います。これにより、将来的なリスクの発生などを事前に確認することが可能です。処方的分析では、予測的分析によって把握した将来的な状況に対して、どのタイミングでどういった対応をとるかを判断します。

ピープルアナリティクスでは、これら4つの分析方法を組み合わせて、データに合わせて最適な分析を行っています。そのため、さまざまな状況把握や効率的な意思決定が可能となるのです。

ピープルアナリティクスの実施手順

ピープルアナリティクスの実施手順として一般的なものに、問題設定、仮説設定、データ取得、分析、検証の5つのステップをたどる方法があります。問題設定は、解決すべき課題は何かを認識する、ピープルアナリティクスのスタートラインとなる作業です。既に顕在化している問題であればなお良いですが、社内の口コミなどでも問題ありません。次の仮説設定では、設定した問題に対して、問題の原因や、解決するための方法を考えます。先に紹介した行動科学の知識があれば、適切な仮説の構築に至るまでがより効率的です。

仮説ができれば、次はデータ取得に移ります。問題設定と仮説設定に深く関係したデータを収集することになりますが、正解にたどり着くのは容易ではありません。有効なデータだと判断するためには、試行錯誤も必要です。このようにして取得したデータは、分析手法に基づいて分析し、その結果に基づいて仮説の検証を行います。検証の結果によっては、別の分析が必要になったり、ときには仮説の誤りが判明したりする場合もないわけではありません。設定した仮設で問題が解決でき、さらにそれが正しいと確認できるまで、検証結果をもとに、視点を変えて以上の実施手順を繰り返すことになります。このようにして、着実に手順を踏んで初めて、信頼に値する分析結果が得られるのです。

今後の動向も注視しておこう

ピープルアナリティクスを使えば、客観的なデータを使って従業員や組織の問題を解決することができます。しかし、その歴史は浅く、まだまだ未知数である点が多いです。そのため、分析対象となるデータや分析の技術も、今後急速に発展していくことが予想されます。紹介した内容をもとに導入を進める場合も、今後の動向には常に気を配っておきましょう。

Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部

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