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男性の育児休暇を促進させるには?現状や企業の取り組み事項を解説!

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近年、政府でも男性にも育児休暇を取得できるよう、制度の改正などを図ったり、プロジェクトを立ち上げたりしていますが、実際のところ取得に至らないケースがあります。やはり、これからのことやワークライフバランスを保つ意味でも男性の育児休暇を取得すること大切なことです。

今回は男性の育児休暇の現状やメリットのほかにも、企業の担当者が男性の育児休暇を促すときにやっておきたいことや知っておきたいことについて解説をしていきます。

育児休暇の概要

育児休暇とは、未就学の子どもがいる従業員の養育を目的とした休暇のことを指します。2017年に改正された育児・介護休業法において、企業側(事業主)の努力義務として「育児目的休暇の設置」が課されていますが、詳細内容や名称の決定および運用については企業に委ねられています。そのため、企業ごとに育児休暇に関する内容が異なっているのが現状といえるでしょう。

また、育児休暇と混同しやすい育児休業は、あくまでも国が法律で定めている労働者の権利であること、子どもが1歳未満(最長で2歳未満)などといった取得条件を設けています。企業側は育児休業と併用しながら有意義な育児休暇の取得を進めるよう促すことが必要です。

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男性の育児休暇取得に関する現状

男性の育児休暇の希望者が多いが、実際の取得率が低い

公益財団法人日本生産性本部が実施した「新入社員 秋の意識調査(2017年)」の調査においては、「子供が生まれたときには育休を取得したい 」という声が79.5%という数値でした。男性も育児休暇を取得したいという思いを抱いている層が多いということがわかります。

参照:男性の育児休業取得促進 研修資料

一方で、厚生労働省の2020年度雇用均等基本調査によると、男性の育児休業における取得率は12.65%という数値でした。下記のグラフでもわかるように、前年度より前と比べると数値が上がってきていますが、2020年なって初めて2桁台に到達できた状態であり、まだ低い数値です。つまり、これらの数値でもわかるとおり、理想と現実が乖離していることがうかがわれます。

参照:令和2年度雇用均等基本調査|厚生労働省

人材不足による仕事の属人化で育児休暇の取得がしづらい

子どもが小さいから育児休暇を取得したいという男性従業員もいますが、人材不足による属人化となっている場合に申請ができないというケースもあります。

初めての育児だからこそ家族と一緒にいたい、上の子どものお世話をしたい……という思いがあっても自分が置かれている立場を考えて育児休暇を取得できる雰囲気でなかったという声も挙がっているそうです。

企業側は育児休暇を取得しやすくするよう、ほかのメンバーでも回せる仕組みづくりや人材配置を考える必要性があります。

育児休暇のロールモデルが少ない

前にも男性従業員の育児休暇の取得率が低いことを述べましたが、その原因の一つとなるのが育児休暇を経験した先輩従業員がない、または少ないということが挙げられます。

育児休暇をしたくても周りに取得したという情報がほとんどなく、自分が先人を切って取得しにくい現状があります。育児休暇に踏み込めないという思いになるかもしれません。

アンコンシャス・バイアスの風潮が残っている

以前と比べて女性の社会進出が進んでいるものの、いまだに「男性は仕事、女性は子育て」という「アンコンシャス・ハイアス(=無意識の思い込み、偏見)」が払拭できない風潮が残っています。

職場によっては男性の育休取得に前向きでないケースもあるようです。育休取得を子どもの健やかな成長のためという軸で捉えるよう、何らかの働きかけが必要になるでしょう。

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2022~23年に施行される育児関連の休業・休暇制度の内容

子どもに関する休業・休暇に関する制度はこれまで何度も改正を重ねていますが、2021年6月に男性が育休を取得しやすくなることを目的とした「育児・介護休業法」の改正が成立されました。

2022年4月~2023年4月に順次施行する流れとなります。主な概要(※ここでは男性向けの内容をピックアップ)については以下5つです。

男性従業員に育休の取得の確認を義務化(2022年4月~)

男性従業員が育休を取得できない理由として、職場の雰囲気という声が挙がっています。そのような状況を減らすべく、企業側は育休を取得対象となる男性従業員に対して、取得の有無を個別に確認することが義務化されます。

出産して8週間に育児休暇を取得しやすくし、分割で取得可能(2022年4月~)

出産直後に男性が育児休暇を取得しやすくする仕組みを作り、2回に分けて取得できるようにする運びとなります。業務の都合などで長い間の育児休暇の取得ができないという従業員には繁忙期を避け、分割取得できるようになることでしょう。

育休中でも条件付きで就業可能(2022年10月~)

労使合意をし、生後8週間であれば、育休を取得する半分の日数を上限に、仕事をすることができます。コロナ禍でリモートワーク(=在宅ワーク)が普及している状況なので、育休を取得しながら仕事がしやすくなっています。これから子育ての費用が多くなる家庭にとっては、育休中でも収入を得られることは何かと助かるかもしれません。

なお、改正後の育休中の収入は、従来どおり休業給付金がハローワークから支給。支給額については、育児休業開始から6カ月までは賃金の67%それ以降は50%です。健康保険料および厚生年金保険料などの社会保険料が免除され、実際の支給額は収入の8割程度となります。

育休を申請する期限を2週間前に変更(2022年10月~)

改正前の育休の申請期限は取得日の1カ月前としていましたが、改正後は2週間前までのリミットとなります。

大企業では男性育休の取得率を公表が義務化される(2023年4月~)

従業員1001人以上が在籍する大企業では、男性の育休取得率の公表が義務となります。これは男性の育休を取得しやすい雰囲気にするための対策でもあり、企業側にも男性の育休を促すことになるでしょう。

企業側が男性の育休申請を断るとどうなる?

男性従業員が育休申請をしているのにもかかわらず、企業側が申請を認めなかった場合、育児休業法違法となるので注意が必要です。

また、企業側の上長が、育休を申請希望している男性従業員に対し、故意に仕事量を減らすまたは増やす、降格させるなどの不当な対応をすることは、マタニティハラスメント(通称:マタハラ)扱いとなります。

では、実際に企業側が男性従業員の育休申請を受け入れない場合、どのような処分を受けることになるのでしょうか。詳細は次のとおりです。

罰金対象になる

企業側が、厚生労働大臣から要請を無視して報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした際、20万円以下の罰金が科されることなります(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第66条)。

企業名が公表されることがある

厚生労働大臣から法違反の指摘があっても、事業主が従わなかった場合、企業名が公表されます(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第56条の2)。企業の担当者は、十分注意しなくてはなりません。

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男性向けの育児休暇制度

育児関連の休暇制度は、休暇として付与されるものあれば、給付金などで支給されるものがあります。日本の男性の育児休暇制度は、以下の制度で運用しているので詳細を解説していきましょう。

育児休業給付金

育児休業給付金とは、従業員が育児休業を取得しているときに申請する流れで支給される給付金です。育児休業中の従業員は平日9時~17時までの勤務といった通常のワークスタイルで就業していないため、基本的に企業側も育児休業前と同じ賃金で支給に至りません。

つまり、育児休業中の従業員の賃金が減少することになります。なかには育児休業中に賃金が減って困るという場合もあるので、そのような人たちが安心して育児休業中の生活を過ごせるよう、国が育児休業給付金制度を設けています。

ただし、育児休業給付金の支給対象にはいくつかの条件があり、以下の条件を満たしていないと、支給には至りません。

<育児休業給付金の条件>

・1歳未満の子供がいること
・雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
・育児休業中の就業日数が毎月10日以下であること
・育児休業開始前1カ月あたり賃金が8割以上の支払いでないこと
・育児休業前の2年間でひと月あたり11日以上働いた月の実績が12カ月以上であること
(※育児休業を取得前に転職した場合も1年以上のブランクがなければ該当)

また、雇用形態がパートや契約社員などといった有期雇用の従業員の場合、ひと月当たりの就業日数などがそれぞれ異なっているので、条件に満たしていないケースも発生するかもしれません。後で「実は該当していなかった」という事態が起きないよう、企業の担当者は育児休業制度の内容と申請の流れなどの理解を深めることが必要となります。

パパ・ママ育休プラス

パパ・ママ育休プラスとは、共働き夫婦同時に育児休業を取得することで、子どもが1歳2カ月になるまで育児休業を延長できる制度です。制度が制定された目的として挙げられるのが、父親の育児休業の取得を促し夫婦が協力しながら育児をすることが挙げられます。

この制度は、2010年制定された制度であり、下記の条件を満たした場合、育児休業の対象となる子の年齢が、1歳から1歳2か月にまで延長されます。

<パパ・ママ育休プラスの条件>

・夫婦ともに育児休業を取得していること
・配偶者(またはパートナー)が子どもが1歳を迎えるまでに育児休業を取得していること
・ 従業員の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日より前であること
・パパ・ママ育休プラス制度を利用する従業員の育児休業開始予定日が、配偶者が取得した育児休業開始の初日以降であること

参考までに、パパ・ママ育休プラスを活用パターンと留意点については、下記の図に記しています。

参照:東京都 家庭と仕事の両立支援ポータルサイト

パパ休暇

パパ休暇とは、妻の産後8週間以内に育児休業をした場合、特別な理由がなくても父親が育休を2回取得できる制度です。

例えば、妻の出産直後に1回目の育児休業を取得し、子どもの生後1年以内に再度育児休暇を取得することが可能。産後のバタバタしている時期に夫が2回に分けて育休を取得するのは、妻にとって助かる制度といえるでしょう。

特に2人目や3人目の場合、上の子どものお世話をパパ休暇を取得する夫に託すこともできるので、妻の負担を軽減するメリットもあります。従業員がパパ休暇を子どもを出生した直後に取得できるよう、企業の担当者は手際よく手続きを進めましょう。

<パパ休暇の取得条件>

・子どもを出生してから8週間以内に育児休業を取得している
・子どもを出生してから8週間以内に育児休業が終了している

参照:東京都 家庭と仕事の両立支援ポータルサイト

両立支援等助成金出⽣時両⽴⽀援コース(⼦育てパパ⽀援助成⾦)

両立支援等助成金出⽣時両⽴⽀援コースとは、男性従業員が育児休業および育児を目的とした休暇を取得した男性従業員が生じた場合、企業の事業主に支給される助成金です。

助成金の明細については、育児休業の取得日数や企業の規模、初産の有無によって異なります。この助成金の支給を確立させたいなら、企業側が男性従業員が育児休業を取得しやすい雰囲気を作ることが必要になるかもしれません。

参考:事業主の方への給付金のご案内

男性が育児休暇を取得するために企業ができること

前にも述べたとおり、男性従業員の育児休暇の取得についてはまだ浸透していないのが現状です。こちらでは、企業が男性従業員の育児休暇取得をつなげるために企業ができることをまとめてみました。

管理職の意識改革を行う

男性が育児休暇を取得しやすくするには、まずは管理職(またはマネージメント層)に対し意識改革をすることが必要です。

例えば、男性の育児休暇を事例を取り上げつつ、取得するメリットや大切さ(ワークライフバランスを充実させるなど)を管理職に発信することで理解を高めるきっかけになるでしょう。

経営層からのメッセージを発信する場をつくる

男性が育児休暇を取得するには、発言一つで従業員の心を動かす経営層の理解が必要です。

企業の担当者は育児休暇を取得するメリットや必要性について経営層が納得できるよう、育児休暇の仕組みや制度について理解し、説明できるようにしておきましょう。このやり取りが上手くいくと経営層が育児休暇を取得する必要性や大切さを定期的に発信してもらえるかもしれません。

業務のワークシェアを積極的に採り入れる

チーム内でシェアできる業務を増やせば増やすほど、チームの人材育成にもなり、個々のステップアップにもつながるでしょう。そして、男性従業員もスムーズに育児休暇を取得できるようになります。企業の担当者は、社内で業務のワークシェアをするよう、常日頃からメールやチャットで働きかけると良いかもしれません。

残業時間をセーブさせる

男性が育児休暇を十分に取得できなかった理由の一つとして残業時間が多かったという声が挙がっています。企業の担当者は、従業員の残業時間をチェックし、もし残業時間が多い従業員がいた場合、動向をチェックしましょう。

育児休暇を取得する男性従業員の残業時間が多い場合、対象の従業員の上長にセーブさせるよう働きかける必要があります。

自社の実績と社員のニーズをリサーチやアンケートを行う

前にも述べていますが、育児休業の詳細や制度については、企業独自で設けることが可能です。過去から遡って自社の育児休業がどのようになっているかをリサーチし、もし手厚い育児休業制度といえなかった場合、社員のニーズをリサーチし、柔軟な働き方の制度を確立させましょう。

また、男性の育児休暇の取得が普通に運用されるようにするには、育休取得経験者や取得予定者からアンケートを取るのも良いでしょう。アンケートの回答で育休取得に関する改善したいという声があれば、それを明確にし、まとめておきます。リアルな声を改善点として洗い出し公表することは、男性従業員が育休取得するには何をしたら良いか考える機会になるでしょう。

促進のための社内プロジェクトチームをつくる

男性が育児休暇を取得しやすくするには、少人数でアクションしても難しい場合があります。このような状況を変えるには、社内で育児休暇の取得を促すことを目的としたプロジェクトチームを立ち上げるのも一つの手です。

厚生労働省でもイクメンプロジェクトという名称でサイトを開設しているので、企業の育児休暇取得の情報などがチェックできます。また、YouTubeチャンネルにもイクメンプロジェクト事務局の動画がアップしているので、育児休暇を取得を促すヒントになるかもしれません。

育休取得者の声を公開する

育休取得した男性の声は参考になる要素が多いものです。積水ハウス株式会社では、IKUKYU.PJTという特設ホームページを設け、男性育休に関する情報を掲載しています。これからの男性育休の参考なるので、企業担当者はホームページをチェックし、社内で共有してみても良いでしょう。

男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)

参照:育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト

イクメンプロジェクトとは、2010年度に発足した男性の育児休業取得を促す目的としたプロジェクトとして位置づけられています。このプロジェクトのねらいは以下の2つです。

・男性の育児休業の取得や育児短時間勤務の利用を促すことで、職場内の業務改善および見直しを行い、ワークライフバランスを実現させる
・男性が育児にしたいという希望を実現させることで育児休業の取得を実現させる
・女性が出産育児を経ても働き続ける割合を高めるとともに出生率をアップさせる

毎年、イクメンプロジェクトでは男性従業員の育児および仕事の両立をサポートし、業務改善を取り組む企業を表彰する「イクメン企業アワード」を行っています。企業の男性の育児休業の取り組みについて高い評価を得られれば表彰されることもあるので、企業のブランド力アップにもつながっています。

男性の育児休業の取り組みで何らかの対策をしたい、改善したいという企業の担当者はイクメンプロジェクトのページをチェックすると何らかのヒントが得られるかもしれません。

男性が育児休暇を取得するメリット

今日、日本でも男性が育児休暇を取得する流れになっていますが、男性が育児休暇を取るとどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットについて次のとおりです。

視野が広がる

育児休暇を取得した男性のなかには、子育てを通じて視野が広がったという声が挙がっています。これまで意識していなかった自分が住んでいる地域のことや待機児童、教育、医療の現状などを知るきっかけにもなるでしょう。

日頃のニュースも自分の趣味やビジネスだけでなく、世の中全体のことに関心を向けられるので、発想力や企画力がアップする見込みもあるかもしれません。

パートナーと二人で子育てをしようという意識が芽生える

男性の育児休暇はパートナー(配偶者)の子育ての様子をリアルタイムで見たり、知ったりする機会でもあります。そんな日々奮闘しているパートナーの様子を見て、一緒に自分も子育てに歩み寄りたいという意識が芽生えることでしょう。

子どもの「○○できた」という成長に立ち会え、モチベーションアップになる

育児休暇を取得すると、子どもの寝返りができた、一人で立つことができた……などの子どもの嬉しい成長をリアルタイムで見ることができます。

子どもがすくすく育っていることが実感できると「仕事も頑張ろう」というモチベーションアップにもつながることでしょう。

自己啓発を通じてキャリアアップができる

男性の育児休暇は、子育てや家事、会社との連絡のやり取りがルーティンとなっていますが、すき間時間を有効活用して育児休暇の取得後に活かせる勉強をするのも良いでしょう。

資格取得にチャレンジするのもキャリアアップにつながるかもしれません。コロナ禍によってオンラインで受講できる講座も豊富です。企業の担当者は育児休暇の過ごし方に関する相談を受けたら、自己啓発や資格取得について触れてみても良いかもしれません。

男性の育児休暇を定着させるには、ワークライフバランスを整えよう!

男性従業員が安心して育児休暇の取得を定着させるには、企業側が自社や日本の育児休暇の現状を理解し、それを改善することが必要不可欠といえるでしょう。

そして、育児休暇は育児休業と異なり、自社が従業員のニーズに応えて設けられる制度です。企業側の主体的で前向きな姿勢で育児休暇の取り組みを行えば、従業員個々のワークライフバランスが整うことでしょう。

執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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