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産業医とは?役割や設置要件を把握し、従業員の健康を守る医師を選ぼう!

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2021/08/30


健康管理を経営的な視点でとらえ、戦略的に実践する「健康経営」の考え方は日本全国に広がっており、顕彰制度も設けられています。従業員の健康管理は、結果的に企業にとって生産性や業績向上、イメージアップにもつながるものです。

この健康管理でキーパーソンが企業の「産業医」です。この記事では、産業医の必要性や役割、依頼できる業務などを解説していきます。選任する際のポイントについても解説していますので、参考にしてみてください。

産業医とは?

産業医は、かかりつけ医などの医師とは異なり、企業に雇用され専門的な立場から指導や助言を行い、労働者の健康管理等を行います。従業員数が50人を超える事業所ごとに必ず設置しなければなりません。

また、産業医は投薬や点滴などの医療行為はできません。医療法において、医療行為を行う場所は病院や診療所、もしくは患者の自宅等でなければならないとされています。事業所はここに該当しないため、医療行為を行ってはならないとされています。

産業医の基準

産業医は、国家資格である医師免許を持っていることが基本です。そこに加えて、以下のいずれかの条件を満たしていることが条件となります。

(1)厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
(2)産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
(4)大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

専属・嘱託では勤務形態や費用が異なる

産業医には専属産業医と嘱託産業医の2種類があります。産業医としての業務は同じですが、常勤・非常勤という勤務形態の差や、費用の相場はそれぞれで異なります。

50人以上の従業員がいる事業所では産業医の選任が義務となっていますが、その従業員数によって選任しなければならない産業医の種類は異なります。常時使用する従業員が50~999人の場合嘱託(非常勤)産業医でもよいとされています。

従業員数1000人以上、もしくは健康に悪影響を及ぼす環境下における業務(重量物の取扱い等重激な業務や、深夜業を含む業務など)に従事する従業員数が常時500人以上いる場合は専属産業医を選任する必要があります。また、従業員数が3000人を超える事業場については、専属産業医を2人選任しなければなりません。

産業医の選任義務一覧

事業所の従業員数 1~49人 50~999人 1000~3000人 3001人~
産業医の選任義務 選任義務なし 選任義務あり
※嘱託産業医でも可
選任義務あり
※専属産業医
選任義務あり
※専属産業医2人以上

専属産業医

専属産業医とは、企業に常駐する産業医のことです。週3~4日ほど勤務が多く、複数の事業所で兼任していることもあります。

費用の相場は、一般的に「300~400万円 × 1週間あたりの勤務日数」と言われています。たとえば週1日勤務であれば300~400万円、週4日勤務であれば1200~1600万円あたりが目安となります。

嘱託産業医

嘱託産業医とは、月1回~数回ほど企業を訪問する産業医のことです。企業から所定の情報を記した必要書類を毎月提出すれば、訪問日数は2カ月に1回~数回と頻度を落とすことも可能です。

公益社団法人日本橋医師会が行った集計によれば、費用の相場は以下の通りです。事業所に努める従業員の数が多くなると、その分面談などの業務も増えるため、産業医に支払う費用も高くなる傾向があります。

従業員数 標準報酬月額
50人未満 7万5000円~
50~199人 10万円~
200~399人 15万円~
400~599人 20万円~
600~999人 25万円~

また、専属・嘱託ともに費用相場は地域により差があります。自社の従業員数や産業医に求める業務の内容などによっても変わってきますので、産業医を選任する際は、これらを考慮した上で検討しましょう。

産業看護師(企業看護師)とは?

産業看護師(企業看護師)は、企業に属する看護師のことです。従業員の病気やケガに対する応急処置や、健康診断の補助、健康相談などを、産業医との連携を図りながら行います。従業員の健康管理やメンタルヘルス対策も、産業看護師の大切な職務です。

産業医の基本的な役割

企業における産業医の基本的な役割としては、「健康管理」「過重労働管理」「メンタルヘルス対策」の3つがあります。

働き方改革においても、労働安全衛生法の改正により産業医・産業保健機能が強化されました。企業には産業医への情報提供や、長時間労働者に対する医師からの面接指導が義務付けられ、産業医が従業員の健康管理について適切な指導が行えるような仕組みづくりがなされています。

従業員の健康管理

従業員の健康管理は、産業医の大切な役割です。ストレスチェックや健康診断結果、面談の内容などに基づき、就業制限や治療が必要な従業員がいないかどうかをチェックしたり、従業員への健康相談を行ったりします。

また、衛生委員会への出席や、従業員に対する衛生講話、職場環境の安全性をチェックする職場巡視なども行い、健康に働き続けられる職場づくりのために努めます。

長時間労働(過重労働)者への面談

長時間労働は健康リスクが高く、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が高まると言われています。アラートが出ている労働者に対して面談を実施し、勤務状況・疲労蓄積状況などをチェックして指導を行っていきます。

企業はその結果をもとに労働時間の短縮や就業場所の変更、一定期間休職させるなどの事後措置を実施することで、長時間労働の削減や健康リスクを低減させていくことができるでしょう。

メンタルヘルス不調の予防

従業員のメンタル面でのケアも、産業医に求められる役割です。従業員への健康相談対応や過重労働管理をはじめ、ストレスチェックや休職者への職場復帰支援、メンタルヘルスについての教育などさまざまな角度から、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための対策を行います。

産業医が行う業務例

では、先述した産業医の役割を果たすために、どのような業務を行っているのか見ていきましょう。具体的には、下記の7つが基本業務として挙げられます。

①健康診断結果チェックと就労判定

産業医は、従業員の健康診断結果をチェックして、必要に応じて面接指導を実施します。合わせてストレスチェックの結果や面談の内容から、就業制限や治療が必要な従業員がいないかどうかの就労判定も行います。また、健康診断の結果をもとに企業が作成する「定期健康診断結果報告書」の確認も業務の1つとなっています。

②ストレスチェックに基づく面接指導

ストレスチェック制度は、従業員のストレスレベルを把握し、メンタルヘルス不調を予防するための施策です。産業医はその結果をもとに、高ストレス者への面接指導などを行います。なおストレスチェックは、2015年以降、一定規模以上の事業所において年1回の実施が義務付けられています。

③衛生委員会への出席と衛生講話

衛生委員会は、従業員が50人以上の事業所では必ず設置しなければなりません。衛生委員会への出席も産業医の大切な業務の1つで、従業員の健康・安全を守るための意見を積極的に出すことが求められています。また、従業員に対する衛生講話を行うことも業務の1つとして、定期的に行うべきとされています。

④職場巡視

産業医は従業員を個別に指導するだけでなく、職場環境を全体的に見て「健康的に働き続けられる職場かどうか」を確認します。働くことによって従業員の健康状態が悪化するようなことがないよう、医学的な視点からの職場巡視を行います。

⑤休職者や復職希望者への面談

メンタルヘルス不調などにより休職を希望する従業員や、職場復帰を希望する従業員との面談も業務の1つです。復職希望者への面談では病状の回復度合いなどを判断し、復帰できるかどうかの判断も行います。

⑥長時間労働者への面接指導

働き方改革に伴う労働安全衛生法の改正により、長時間労働者に対する面接指導が義務化されました。産業医は該当者との面談を行い、心身の状況を把握したうえで本人に対する指導を実施します。企業はその結果を踏まえて、職場環境の改善など事後措置を講じます。

⑦健康相談・医療機関の紹介

健康診断やストレスチェックの結果などをもとにしながら、従業員の健康相談への対応を行います。病気やケガ、メンタルヘルスの不調など、従業員それぞれが抱える状況に合わせて助言をしたり、医療機関の紹介を行うこともあります。

そのほかに依頼できること

こうした基本的な業務以外にも、企業の健康経営のために産業医へ依頼できることはいくつかあります。たとえば、下記のようなことが挙げられます。

メンタルヘルス不調への対策

従業員の健康を守るためには、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための対策も必要です。

メンタルヘルス不調への対策として、従業員自身でのセルフケアや上司・同僚による相談対応だけでなく、産業医による専門的な立場からのサポートを依頼することもできます。

休職~復職をスムーズにする仕組みづくり

健康上の理由により休職する従業員がスムーズに復職できるよう、産業医の力を借りて一連の流れを仕組化するのもよいでしょう。

健康診断の結果や従業員からの申出をもとに面談を実施し、療養が必要であれば休職措置をとらせて、休職開始時や休職中もケアを行います。復職を希望する従業員とは復職面談を行い、企業内の状況に合わせて勤務ができる常態かを判断したうえで、職場復帰へのプランを立てて復職をフォローします。

こうした流れを仕組化しておくことで、従業員の不調により素早く対応することができ、復職もスムーズにしやすくなります。

健康経営の推進と運用

健康経営とは、従業員の健康が将来的に組織の活性化をもたらすとの考えのもと、健康管理を経営的な視点から考え戦略的に実践することです。健康経営の推進と運用には、日々の取り組みが重要です。企業は産業医と連携を図ることで、健康経営に取り組みやすくなります。

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感染症予防・テレワークを行う上での助言

職場における感染症予防についてや、テレワークを行う上での健康面についての助言を産業医に求めることもできます。産業医は、職場の状況や働き方を見ながら助言・サポートが可能ですので、自社に合った健康リスクへの対策をとることができます。

産業医の探し方と一般的な流れ

産業医は、どのように探せばよいのでしょうか。ここでは、産業医選任の一般的な流れをご紹介します。

1.産業医への報酬金額や依頼事項を明確にする

まずは、産業医に依頼できる業務や報酬について調べます。先述した基本業務だけでなく、自社にとって医学的な立場からサポートを受けた方がよいと感じる点があれば洗い出しておき、産業医に何を求めるかを明確にしておくとよいでしょう。

報酬は従業員数や地域、依頼する業務によって異なりますので、注意が必要です。

2.利用できる助成金がないか調べる

産業医を採用するにあたって、助成金を利用できることもあります。

たとえば、産業医選任が努力義務とされている従業員50人未満の事業所においては、産業医の採用に「小規模事業場産業医活動助成金」を利用することができます。

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3.産業医を探して選任する

産業医の探し方はいくつかあります。ここでは代表的な相談先を4つご紹介しますので、自社に合った産業医を見つけられるよう、さまざまな方法を検討してみてください。

・定期健康診断を依頼している病院や健診機関に相談する

定期健康診断を依頼している病院や健診機関に相談してみると、産業医を紹介してもらえることがあります。定期健診で関わり合いのある病院であれば、企業としても安心して依頼できるでしょう。

ただし、産業医の契約に対応していなかったり、所属する医師が産業医の資格を持っていないことも考えられます。また、自社のニーズに合った産業医であるかどうかを見極める必要があります。

・地域の医師会に相談する

地域によっては、地元の産業医の紹介や推薦を行っている医師会もあります。Webサイト上で名簿を公開しており直接問い合わせができるところなどもありますので、事業所のある都道府県・市区町村の医師会へ事前に問い合わせてみるとよいでしょう。

・産業医の紹介会社を活用する

人材紹介会社のように、産業医の紹介会社もあります。紹介会社を活用すると、多数の医師の中からニーズに合わせた産業医を紹介してもらえて、より自社に合った産業医と出会いやすくなります。選任後のサポートサービスを行う紹介会社もあり、近年注目が集まっている探し方の1つです。

・地域産業保健センターに相談する

労働者健康安全機構が運営する地域産業保健センターでは、小規模事業者や労働者に対して、健康相談や産業保健指導など無料の産業保健サービスを提供しています。産業医のいない小規模事業所で産業医が必要になった場合は、地域産業保健センターに相談してみるとよいでしょう。

4.労働基準監督署へ選任報告書を提出する

産業医を選任したあとは、労働基準監督署へ選任報告書を提出します。選任義務が生じた日から14日以内に、産業医の選任と選任報告書の提出までを完了させなければなりません。

そのほかに産業医の医師免許証のコピーや、産業医であることの証明書(産業医認定証など)の提出も必要となります。選任報告書の書き方は各労働基準監督署によって異なる場合もありますので、必要書類と合わせて事前に確認しておきましょう。

5.社内における産業医の評判を定期的に調査する

選任後は、産業医が企業・従業員とマッチしているかどうか、社内における評判を定期的に調査するとよいでしょう。評判が良くないと、従業員も産業医へ相談しにくくなり、健康状態の悪化に気付くのが遅くなってしまうことが考えられます。

従業員の健康管理を適切に行うためには、企業とうまくマッチングする産業医を採用することも大切なポイントです。合わない産業医を選任してしまった場合は、ほかの産業医を探すことも視野に入れておきましょう。

自社に合う産業医を見つけるポイント

産業医は多くの従業員と接することが多いために、産業医としてのスキルだけでなく人柄も重要となってくるでしょう。そこで自社に合った人選をするためのポイントを紹介します。

主体性:企業のことを積極的に理解しようとしているか

従業員の健康管理のために産業医の持つスキルを最大限生かすには、人事担当者との連携を図り、企業のことを理解してもらう必要があります。

医学的な知識を持ち合わせているかどうかはもちろん、企業の理念や制度について積極的に理解しようとする主体性があるかどうかは、産業医を選任する際に注目しておくべきポイントの1つであるといえます。

ヒューマンスキル:良好なコミュニケーションがとれるか

産業医はただ患者本人の状態に合わせて診断をするのではなく、企業の状況を見ながらコミュニケーションを重ねて、企業と従業員それぞれにとって最善の策を出していかなくてはなりません。

そのためには、良好な人間関係を築けるヒューマンスキルがあるかどうかも見極めていく必要があります。

人事労務との相性:人柄や考え方が自社に合っているか

主体性やヒューマンスキルがあっても、自社の人事労務担当者との相性が合わなければ、産業医活動は円滑に進みません。

たとえば、積極的に産業保健に取り組みたい企業にとっては、経験が浅く期待したような助言をもらえない産業医はミスマッチといえるでしょう。面接の場で自社のニーズに対して合うスキルを持ち合わせているかどうかはもちろん、人柄や考え方を確認することも大切です。

産業医と連携して健康経営を!

従業員の健康管理を行うことは、企業の生産性アップにもつながる重要な施策です。従業員の心身の健康を守るためには、産業医との連携が必要不可欠になります。

働きやすい職場環境づくりをするためにも、自社のニーズと合った産業医を見つけて、健康経営を進めていきましょう。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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