OKAN WEB MAGAZINE

"働く人のライフスタイルを豊かにする!日本一"おせっかい"なOKANのウェブマガジン"

  • #労働災害
  • #労務
  • #労務お役立つ情報
  • #労災
  • #労災保険
  • #労災保険給付
  • #労災認定

業務効率化

労災とは?保険制度、対象、補償、手続きについてわかりやすく解説

業務効率化


労災というと、従業員が「自分は労災認定されるのか」「どんな補償が受けられるのか」と調べるケースが多いかもしれません。一方、事業主側や労務の方は、制度をきちんと把握できているでしょうか。いざ、従業員が対象となり調べても、なかなか情報が分散していてわかりにくい部分もありますよね。

そこで今回の記事は、労災の保険制度や手続きなどを、とことんわかりやすくご紹介します。

労災とは?

労災(労働災害)とは、従業員が勤務中あるいは通勤中にケガをしたり、病気になったりする災害を指します。最近では、社内の強いストレスによる精神疾患や、長時間勤務等により生じた過労死も労災認定されるケースが増えてきています。

厚生労働省が発表している「2018年度の労働災害発生状況」によると、死亡者は過去最少となるものの、「休業4日以上の死傷者数」は3年連続で増加しています。

前提として、事業主は労働災害を防止する義務があります。そのため日本では、事業主が労働安全衛生法にもとづく安全衛生管理責任を果たさなければなりません。その事業主の責任の1つとして、「労災保険」の加入があります。

「労災保険」は、労働者が1人でもいれば強制加入です。この労働者とは、事業主や役員幹部以外の、正社員、アルバイト、パート、契約社員のことを指します。たった1日のアルバイトや、外国人であったとしても労働者の1人として対象となります。

ただし、「労災保険」と「雇用保険」は加入条件が異なりますので注意しましょう。

そして労災認定される災害が発生した際、事業主は労働基準法により補償責任を負わなければなりません。しかし、労災保険に加入している場合には、労災保険の給付が行われることになり、事業主は労働基準法上の補償責任が免除されます。(ただし、業務災害による療養1~3日目の休業補償は労災保険から給付されないため、事業主が休業補償をする必要があります。)

また、労災認定されうる災害が発生したなら、事業主は労働基準監督署への報告義務が生じます。労災認定をするのは、事業主ではなく、労働基準監督署です。報告をしなかったり、虚偽の報告を行えば、刑事責任が問われることがあるほか、刑法上の業務上過失致死傷罪等に問われることがあります。

【参照】労働災害が発生したとき(厚生労働省HP)

労災保険の適用対象とは?

労災保険の適用対象は「通勤災害」と「業務災害」に分類されます。では、どのような時に対象となるのでしょうか。例を挙げながら解説します。ただし、あくまで労災認定をするのは「労働基準監督署」です。紹介した例が必ず労災認定されるわけでないことに注意してください。

通勤災害

業務上の通勤として合理的なルートを通っている場合、その通勤途中でのケガや病気に関して対象となります。

業務上の通勤とは、下記のような時です。

・自宅と会社の間
・事業所から他の事業所の間
・単身赴任先と帰省先の間

この通勤ルートを逸脱した、または移動を中断したなどの時には、逸脱や中断後にその通勤ルートに復帰したとしても、「通勤」とは認められません。ただし、通勤ルートの逸脱や中断が日常生活上必要な行為であるなら、逸脱や中断の間を除き、「通勤」と認められる可能性があります。

たとえば、下記のようなケースでは、通勤と認められる可能性があります。

・通勤途中に、通勤ルート上にあるコンビニでジュース等日用品の購入をし、その後通勤ルートに復帰し、通勤する
・会社帰りに、通勤ルート上の病院で受診し、その後通勤ルートに復帰し、帰宅する
・通勤途中、交通機関遅延等で振替輸送を利用して通勤する(通常の通勤ルートとは異なるが、やむを得ない事情により合理的なルートとされるため、「通勤」と認められる)
・マイカーで共働きの配偶者の勤務先経由で同一方向の勤務先に向かう
・会社帰りに、通勤ルート上のガソリンスタンドで給油後に通勤ルートに復帰して帰宅する

一方、以下の場合には「通勤」と認められないようです。

・会社帰りに、通勤ルート上の映画館やトレーニングジムに行き、通勤ルートに復帰して帰宅した場合の、映画館・トレーニングジムから自宅に帰るまでのルート
(会社から通勤ルート上にある映画館・トレーニングジムまでの経路は「通勤」と認められます)

・自宅以外から通勤する
従業員が通勤途中にケガや病気になった場合、このように「通勤」と認められるかどうかがポイントになるようです。

【参照】通勤災害について(東京労働局HP)

業務災害

業務が原因で労働者がケガや病気になった場合に対象となります。業務災害として認められるためには、業務とケガ・病気の間に一定の因果関係があり、かつ事業主の支配・管理下にあるという条件を満たす必要があります。

以下のケースも業務災害として認められる可能性が高いです。

・勤務時、トイレ休憩中に生じたケガや病気
・他の労働者のミスが起因の事故により生じたケガや病気
・出張中のケガや病気
・休日に行われた参加必須の社内運動会で生じたケガや病気

また業務中ではなくとも、業務が原因でかかったケガや病気も業務災害と認められる時があります。

・業務中のストレスや過剰労働により発症したうつ病
・作業中に出る粉塵を長い間吸っていたためかかった病気
・業務に起因する自殺

業務災害については、「業務とケガ・病気の間に一定の因果関係がある」と認められるかがポイントになるようです。そのため、事業主側は、労災認定されうる災害が発生した場合、事実関係を正確に記録しておくとよいでしょう。

【参照】業務災害について(東京労働局HP)
【参照】精神障害の労災認定(厚生労働省HP)

労災保険の補償内容

労災認定されると、補償の種類によって従業員の受けられる給付が決まります。ここでは、休業(補償)給付以外を説明します。なお、業務災害による給付は「〇〇補償給付」、通勤災害による給付は「〇〇給付」と呼ばれます。

1. 療養(補償)給付

業務・通勤災害によるケガや病気の治療に給付されます。指定病院(労災病院等)にかかった場合は、無料で治療や薬剤の支給が受けられます(これを現物支給といいます)。指定病院以外の病院にかかった場合は、治療の費用が現金で支給されます。

ここで注意しなければならないのは、療養(補償)給付を受ける場合には、健康保険診療対象とならないことです。そのため指定病院以外の病院にかかった場合、かかった費用全額を従業員が一旦建て替えなければならないこともあります。健康保険を使って病院にかかってしまった場合には、労災保険に切り替える手続きが必要となります。

給付期間はケガや病気が治るまでですが、一般的な医療を行っても医療効果が得られない場合(これも労災上治癒といいます)も、給付期間は終了します。療養(補償)給付が終わっても障害が残る場合には、障害(補償)給付の対象となります。

【参照】労災保険 療養(補償)給付(厚生労働省HP)

2. 障害(補償)年金・障害(補償)一時金

「障害(補償)年金」は、業務災害または通勤災害によるケガや病気が治癒した後、障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったときに給付されます。「障害(補償)一時金」は、業務災害または通勤災害によるケガや病気が治癒した後、障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったときに給付されます。

【参照】障害補償年金・障害補償一時金(厚生労働省HP)

3. 遺族(補償)年金・遺族(補償)一時金

業務災害または通勤災害により死亡したとき、従業員の遺族に給付されます。「遺族(補償)年金」と「遺族(補償)一時金」のどちらか給付されるかについては、従業員の遺族の属性により異なります。

4. 葬祭料・葬祭給付

業務災害または通勤災害により死亡した方の葬祭を行うときに給付されます。

【参照】遺族補償年金・遺族補償一時金・葬祭給付(厚生労働省HP)

5. 傷病(補償)年金

業務災害または通勤災害によるケガや病気の療養開始1年6か月後に、ケガや病気が治っておらず、かつ障害の程度が傷病等級に該当する場合に給付されます。

6. 介護(補償)給付

障害(補償)年金または傷病(補償)年金受給者のうち、第1級の者または第2級の精神・神経の障害および胸腹部臓器の障害の者であって、現に介護を受けているときに給付されます。

ただし、病院または診療所へ入院中や、介護老人保健施設・介護医療院・障害者支援施設・特別養護老人ホーム等入所中は、支給対象になりません。

【参照】介護補償給付(厚生労働省HP)

7. 二次健康診断等給付

事業主が実施する定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の検査項目(血圧、血中脂質、血糖、肥満)のすべてについて異常の所見があると認められたときに給付されます。

労災保険の休業補償

下記3点を満たしている従業員は、療養開始4日目から休業補償給付(業務災害の場合)、休業給付(通勤災害の場合)と休業特別支援金が支給されます。

1.業務中あるいは通勤途中に生じたケガや病気によって療養中である
2.働くことができない
3.賃金を得ていない

支給額は以下の通りです。

・休業(補償)給付 = 給付基礎日額の60% × 休業日数
・休業特別給付金 = 給付基礎日額の20% × 休業日数

つまり、休業前の約8割の賃金分は休業補償で補填されます。療養開始1~3日までは「待期期間」と呼ばれますが、この期間も業務災害については、事業主が労働基準法の規定にもとづく休業補償(平均賃金の60%)を行う必要があります。

給付基礎日額とは、労災が発生した日の直前3か月間にその従業員に支払われた金額の総額をその3か月の暦日数で割った、1日当たりの賃金額のことです。ここでの賃金には、残業手当は含まれますが、賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。

【参照】休業補償の計算方法(厚生労働省HP)

期間

休業(補償)給付は、療養開始4日目から休業が終わるまで支給されます。ただし、療養開始から1年6か月後に、下記条件に該当する場合には傷病補償年金(業務災害の場合)、または傷病年金(通勤災害の場合)が支給されます。

1.ケガあるいは病気が治っていないこと
2.ケガあるいは病気による障害の程度が厚労省の定める障害等級に該当すること

なお、休業(補償)給付は、傷病(補償)年金と併せてもらうことはできません。

【参照】休業補償はいつまでもらえるのか(厚生労働省HP)

支給日

休業(補償)給付は、振り込み日が決まっていません。労働基準監督署に必要書類を提出し、その内容を審査され、労災保険適用が認められれば、支給手続きが開始されます。審査内容によっては1か月以上かかる場合もあるようです。

その間、従業員は無給となってしまうこともあります。それを防ぐために、「受任者払い制度」があります。「受任者払い制度」とは、会社が休業補償を従業員に立て替え払いし、会社が従業員にかわり休業補償を受け取る制度です。

【参照】労災保険の休業補償の支払い時期(茨城労働局HP) 

必要な書類

休業(補償)給付を請求するためには、下記の書類が必要となります。休業が長期にわたる場合には、1か月ごとの請求が一般的です。

・休業補償給付支給請求書(業務災害の場合)
・休業給付支給請求書(通勤災害の場合)
・平均賃金算定内訳

併せて下記の書類が必要な場合があります。

・障害厚生年金、障害基礎年金の支給額を証明する書類
・休業補償給付支給請求書あるいは休業給付支給請求書の別紙2

【参照】休業補償書類ダウンロードページ(厚生労働省HP) 

労災の手続き(申請方法)は?

労災の手続きは、従業員(労働者)が労働基準監督署に書類を提出する必要があります。

提出する書類は労災の補償内容によって異なります。

また、休業(補償)給付の場合には、「受任者払い制度」という制度もあります。ここでは、休業(補償)給付の通常の手続きと、「受任者払い制度」を利用する場合の手続きを説明します。

通常の手続き

1.会社が「休業(補償)給付支給請求書」と「平均賃金算定内訳」の事業主欄を記入する
2.従業員が「休業(補償)給付支給請求書」の「診察担当者の証明欄」に医師から証明をもらう(1、2の順番は逆でもかまいません)
3.従業員が労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」「平均賃金算定内訳」を提出する
4.労働基準監督署が審査し、「支給決定通知書」で従業員に支給、不支給を通知する
5.支給の場合には、従業員の口座に休業補償が振り込まれる

休業(補償)給付で受任者払い制度を利用する場合

1.会社が休業補償額を従業員に支払う
2.従業員が「休業(補償)給付支給請求書」の「診察担当者の証明欄」に医師から証明をもらう
3.従業員から「労災被災者本人の委任状」「受任者払いに関する届出書」「休業(補償)支給請求書」を記入し提出してもらう

「労災被災者本人の委任状」「受任者払いに関する届出書」は都道府県により書式が異なるため、労働基準監督署に問い合わせてください

1.3の書類を会社から労働基準監督署に提出する
2.労働基準監督署が審査し、「支給決定通知書」で支給、不支給を通知。支給の場合には会社の口座に休業補償が振り込まれる

労災の各種給付は、給付対象日ごとに請求権が発生します。その翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅します。障害(補償)給付および遺族(補償)給付は5年を経過すると、請求権が消滅します。

労災保険については、定期的に情報収集しましょう

本記事では労災保険に関する

・適用対象
・補償内容
・手続き方法

について解説しました。事業主は従業員の安全を守ることはもちろんですが、従業員が万が一、ケガや病気になった時は速やかにサポートすることが大切です。労災保険の内容は、法改正により変更することがあります。定期的に情報を入手していきましょう。

あなたとあなたの会社で働く従業員、そして、企業で働く全ての人のライフスタイルが豊かになるように、本記事がお役に立てば幸いです。

コンビニ食が続く
ランチ代が高い
もっと健康的な食事を提供したい
社員食堂を作るスペースや費用捻出は難しい
1品100円の食事サービスで、こんなの食環境を改善しませんか?

Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部

メディアで話題の食の福利厚生 初期費用0円で簡単導入