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健康経営銘柄とは?2022年選定基準やメリット、事例を紹介

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健康経営がさまざまな企業で重視されるようになりましたが、「健康経営銘柄」の選定方法や具体的なメリットについてはまだご存知でない方も多いのではないでしょうか。

今回は健康経営銘柄の選定プロセスを詳しく解説し、選定されることのメリットや、実際に取得した企業の取り組みなど、実例を交えて紹介していきます。

今さら聞けない!健康経営銘柄とは

健康経営銘柄は、2015年より経済産業省と東京証券取引所によって始められた取り組みです。評価対象となる健康経営度調査の回答法人数は、直近3年を見ても1800法人(2018年)2328法人(2019年)2523法人(2020年)と年々増加しています。

まずは、一から健康経営銘柄について解説していきます。

健康経営銘柄とは?

「健康経営銘柄」とは、経済産業省が「国民の健康寿命の延伸」を目的に行っている取組の一つで、戦略的に健康経営に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定・公表しています。公表することで健康経営に対する取り組みが株式市場で適切に評価されるという狙いです。

経済産業省による説明をまとめると、

・東京証券取引所の上場会社の中から、健康経営を戦略的に実践している会社が選定される。

・選定されると、投資家にとって魅力のある企業として紹介され、株価向上が期待できる。

・これを通じて、社会全体における健康経営の促進を目指す取り組みである。

といった特徴があります。日経平均株価を構成する225銘柄のうち8割を超える企業が健康経営度調査に回答するなど、長期的な視点での経営戦略として注目されています。

健康経営銘柄と健康経営優良法人との違い

健康経営銘柄と健康経営優良法人、この2つの制度には方針に違いがあります。

「健康経営銘柄」の方針は、投資家にとって魅力ある企業を可視化し、企業の健康経営の取り組みを推進することです。そのため、東京証券取引所の上場会社であることが条件の一つとなっています。

一方、「健康経営優良法人」の方針は、従業員や求職者、関係企業等からの社会的評価を受けやすくするために健康経営への取り組み度合いを可視化すること。つまり、東京証券取引所の上場会社である必要はありません。

「健康経営優良法人」は「健康経営銘柄」と比べ、より広範囲の企業に対する健康経営推進のアプローチであるということができるでしょう。

健康経営銘柄に選定されるメリットや効果

・企業イメージが向上し、社会へのアピールになる

健康経営銘柄に選定されると、従業員の健康に対して戦略的に取り組んでいる企業として、社会に魅力を伝えることができます。ブラック企業の根絶が叫ばれる昨今においては、求職者にとっても大きなアピールポイントとなり、優秀な人材の確保につながります。

・管理部・総務の評価の一つとなる

健康経営の効果はなかなか数値化することは難しいものです。しかし、健康経営銘柄に選定されれば、健康経営施策を担当する管理部や総務にとっては明確な評価となり、モチベーションアップになります。

・株式の評価が向上する

健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所がタッグを組んで始めた取り組みです。選定されると投資家にとって魅力的な企業として紹介されるため、株価の向上が期待できます。

健康経営銘柄の選定フロー

健康経営銘柄は、大きく分けて3つのフローで選定されます。

①経済産業省が「健康経営度調査」を実施

健康経営度調査」は、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の選定のために実施される調査のことです。

調査対象は大企業が中心ではありますが、企業規模にかかわらず申請でき、健康経営の取り組みへのフィードバック・アドバイスも受けられます。

そのため、これから健康経営に取り組もうとしている、また健康経営の取り組みをどこから始めたらよいか分からない企業にもメリットの大きい調査となっています。

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②評価基準に基づき「健康経営」に優れた企業を選出

①の調査に回答のあった企業を、外部有識者委員会が策定した評価基準に基づいて評価し、東京証券取引所上場会社かつ評価結果が上位20%であった企業を候補として選出。ただし、重大な法令違反等がある場合はこの段階で除外されます。

令和3年度健康経営度調査 説明資料における評価方針は、
「①経営理念・方針」
「②組織体制」
「③制度・施策実行」
「④評価・改善」
「⑤法令遵守・リスクマネジメント」

上記5つのフレームワークをもとに健康経営の実践度合いを評価し、各項目ごとの結果に配点のウエイトをかけ、最終評価が算出するとされています。

③財務指標スクリーニングを経て「健康経営銘柄」を選定
選定候補の中から下記項目に当てはまる企業には加点をした上で選定・公表が行われます。なお、33業種ごとに1社の選定が原則とされています(該当企業がない場合は非選定)。

・ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上である企業
・前年度の健康経営度調査に回答した企業
・社外への情報開示を行っている企業

健康経営銘柄に選定される基準と注意ポイント

ここでは、健康経営銘柄に申請する際に確認すべき選定基準と注意すべきポイントを解説します。

健康経営銘柄に選定される基準

健康経営銘柄を取得するためには以下の基準を満たしている必要があります。

・東京証券取引所の上場会社であること
・経済産業省が実施する「健康経営度調査」に参加すること
・重大な法令違反がないこと

さらに、それに加えて下記の条件があると評価において加点され、選定に有利に働きます。

・ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上であること
・昨年度の健康経営度調査にも回答していること
・評価基準の5つのフレームワークで高評価を獲得すること

選定に参加したい場合には、まず健康経営度調査に参加しましょう。調査票の入手や提出方法については、経済産業省のこちらのページで発表されます。

健康経営銘柄への申請で注意すべきポイント

2021年度から健康経営銘柄の申請における誓約事項に新たな項目が追加されました。これらの事項をひとつでも遵守しない場合、選定の対象とならないため、調査票のチェック項目には十分注意しましょう。

誓約事項に新たに追加された事項

(1)当調査の回答について、法人の代表者(代表取締役等)の承認を得ていること。
(2)当調査の回答について、法人の従業員の過半数で組織される労働組合または主たる事
業場の従業員代表に共有していること。
(3)当調査の回答について、Q30で回答した主たる保険者に共有すること。また、評価結果
のフィードバックを受領次第(2021年12月頃予定)、速やかに共有すること。

(3)のフィードバックとは、健康経営度調査の回答後12月ごろに送付されるフィードバックシートのことを指します。評価結果および認定要件の適合状況が記載されているため、取り組み改善のために活用していきましょう。

「健康経営銘柄2022」の認定基準・スケジュール         

では、2022年の選定に向けて改めてここで認定基準を確認しておきましょう。

2021年度からの変更点

上記が2021年度からの変更点となります。

大きな変更点は、新型コロナウイルス感染拡大により設けられていた救済措置および申請受付期間の延長が撤廃です。

また、施策を実施するうえで基本となる、自社の健康課題を把握するための健康診断、ストレスチェック等の受診促進活動がより評価されるようになるなどの変更が見られるため、チェックしたうえで申請を行いましょう。

健康経営銘柄2022の申請スケジュール

<大規模法人部門>

健康経営度調査:2021年8月30日(月)~2021年10月25日(月)17時 
認定:2022年3月頃

<中小規模法人部門>

申請:2021年8月30日(月)~2021年11月1日(月)17時
認定:2022年3月頃

健康経営銘柄2022の認定基準

大規模法人中小規模法人の認定基準は以下の通りになります。それぞれ必須項目があるため細かいところまで見落としが無いようチェックしましょう。

【大規模法人部門】

【中小規模法人部門】

「健康経営銘柄2021」選定企業を一覧で紹介

東京証券取引所のリリースより、2021年最新版の「健康経営銘柄2021」選定企業を紹介します。2021年3月4日の発表では以下の29業種48社が選定されました。

業種 企業名 選定回数
水産・農林業 日本水産株式会社 3回目
鉱業 国際石油開発帝石株式会社 2回目
建設業 日本国土開発株式会社 2回目
食料品 アサヒグループホールディングス株式会社 4回目
味の素株式会社 5回目
株式会社ニチレイ 2回目
繊維製品 株式会社ワコールホールディングス 6回目
パルプ・紙 ニッポン高度紙工業株式会社 2回目
化学 積水化学工業株式会社 初選定
花王株式会社 7回目
第一工業製薬株式会社 2回目
富士フイルムホールディングス株式会社 初選定
医薬品 大日本住友製薬株式会社 初選定
ゴム製品 バンドー化学株式会社 4回目
ガラス・土石製品 TOTO株式会社 7回目
鉄鋼 大同特殊鋼株式会社 初選定
金属製品 日東精工株式会社 初選定
機械 株式会社ニッセイ 初選定
電気機器 コニカミノルタ株式会社 6回目
ブラザー工業株式会社 4回目
株式会社明電舎 初選定
オムロン株式会社 3回目
富士通株式会社 初選定
キヤノン株式会社 3回目
輸送用機器 トヨタ自動車株式会社 初選定
精密機器 テルモ株式会社 7回目
株式会社島津製作所 初選定
その他製品 凸版印刷株式会社 2回目
電気・ガス業 中部電力株式会社 1回目
陸運業 東急株式会社 7回目
海運業 株式会社商船三井 初選定
情報・通信業 日通システム株式会社 初選定
Zホールディングス株式会社 3回目
日本電信電話株式会社 初選定
株式会社KSK 3回目
SCSK株式会社 7回目
卸売業 双日株式会社 初選定
豊田通商株式会社 初選定
小売業 株式会社ローソン 4回目
株式会社丸井グループ 4回目
銀行業 株式会社みずほフィナンシャルグループ 4回目
証券、商品先物取引業 株式会社大和証券グループ本社 7回目
保険業 SOMPOホールディングス株式会社 3回目
東京海上ホールディングス株式会社 6回目
その他金融業 リコーリース株式会社 5回目
不動産業 東急不動産ホールディングス株式会社 2回目
サービス業 株式会社ベネフィット・ワン 2回目
株式会社バリューHR 初選定

健康経営銘柄選定企業の施策・事例5選!

それでは、実際に健康経営銘柄2021に選定された企業は、具体的にどのような取り組みを行っていたのでしょうか。選定を目指す企業の担当者としては、気になるところですね。

ここで紹介する5つの企業の取り組みを参考に、自社でも生かせる施策を考えていきましょう。

1.独自の健康スコアで健康経営を推進|ブラザー工業株式会社

4度目の選定となるブラザー工業株式会社では、従業員の才能・スキル発揮のための心身の健康維持が財産であると考えられており、2016年には「ブラザーグループ健康経営理念」がグループ方針として制定されています。

CHO(最高健康責任者)のもと、同社オリジナルの健康関連指標「健康ブラザー2025」を設定したことで、体重や運動習慣、睡眠などの生活習慣に関わるすべての指標に改善が見られました。

また、在宅勤務で減少していた社内コミュニケーションを活性化するため、上司と部下の1on1の機会も積極的に設けられています。

具体的な施策

・全社共通の健康経営理念の制定
・経営トップ(CHO)による健康づくり促進
・長期目標として健康関連指標を設定
・健康促進のためのオリジナル体操動画作成
・1on1ミーティングを推進しコミュニケーション機会を創出  など

2.健康づくりを重要KPIに設定|富士通株式会社

初選定を果たした富士通株式会社は、人事だけでなく健保組合・健康推進・ヘルスケア関連部署などと連携を行い従業員が一体となって取り組むことで、継続的な健康推進の取り組みに成功しています。

「グローバルレスポンスビジネス(非財務指標)」の一つとして健康づくりにKPIを設定し、より企業全体で取り組む必要性を強調。2022年度の目標には、社員意識調査「ワークライフバランス」「職場環境」への肯定的な回答率71%という数値が掲げられています。

具体的な施策

・健康に関わるさまざまな部署が連携して活動を推進
・企業の社会的責任として健康づくりをKPIに設定
・社内調査で判明した健康課題解決のためのセミナー、専門治療等を実施
・喫煙者・非喫煙者で構成された禁煙チームを作成
・健康推進活動による成果を社内ポータルサイトで発信  など

3.オリジナル健康アプリ活用で健康意識を改善|東急株式会社

7年連続で健康経営銘柄に選定されている東急株式会社。同社では、人材戦略室と企業立病院・東急病院が分業体制で健康推進活動を行い、独自のサポート環境を築いています。

自社オリジナルの働き方改革で「健康経営の定着」を重点施策として設定したり、従業員の健康診断のデータを点数化した「TOQ健康スコア」を導入するなど、行き届いた健康指導が行われているのが特徴です。

具体的な施策

・人材戦略室と企業立病院との連携
・オリジナル健康スコア、アプリを活用
・女性特有の健康リスクへの理解促進
・従業員の運動習慣を社内イントラネットで紹介
・職場対抗ウォーキング大会の実施  など

4.他企業・大学と連携し健康経営を普及|株式会社丸井グループ

4度目の選定となった株式会社丸井グループは、「ウェルネス経営推進プロジェクト」として全社横断のプロジェクトを実施し、参加社員が中心となり他企業・大学を通じて健康経営を普及させる活動を行っています。

また、2008年から残業時間の削減・多様な勤務体系の提供に取り組み、従業員一人当たりの残業平均時間を3.5時間削減することに成功。コロナ禍では、就業困難な従業員向けの特別休暇を導入するなど、生産性と働きやすさを両立して向上させています。

具体的な施策

・健康経営を労働協約や中期経営企画に明記
・健康経営の活動をまとめたレポートを全従業員に配布
・健康増進イベントの実施で健康経営の普及に貢献
・リモートワークの運動不足解消のためオリジナル動画を作成
・長期的な取り組みで全従業員の平均残業時間を削減

5.自社サービスを用いて従業員の健康リテラシーを向上|株式会社バリューHR株式会社

初選定となった、健康管理サポート事業を展開する株式会社バリューHR。自社が持つ健康管理のノウハウを活かし、従業員の心身の健康向上と職場環境の改善に取り組んでいます。

自社の健康経営プロジェクトには、経営幹部、全従業員の代表、産業医・保健師等の専門職が参画し、「正しい生活習慣の習得」を目標に健康経営を推進。生活習慣の基本である食事・睡眠・運動リテラシー向上のために自社サービスを活用することで、従業員の健康意識を改善させるとともに更なる業績拡大を実現しています。

具体的な施策

・自社提供の健康管理支援サービスを社内実践
・全社員が毎年自分なりの健康経営管理目標を設定
・専門職を交えて取り組みの質を向上
・健保組合や他企業も参加する共同保険事業を開催
・インセンティブ制度を利用して従業員の健康意識を向上

健康経営にはどのように取り組むべきか?

健康経営とは、「企業が健康を単に福利厚生施策や個人任せとせず、健康施策を他の事業活動と同じく戦略的な活動と捉え、投資を行い、社員の活力向上や労働生産性向上などの効果を期待する活動」のことを指します。

では「具体的にどのような施策をとればいいのか?」というところが気になりますが、とるべき施策の正解は存在しないのです。実は「健康経営」という言葉は比較的最近できた言葉であり、「健康経営はこれを指す」というものが明確には存在しません。

先ほど紹介した通り、健康経営銘柄の選定基準として「これらの基準や要件を満たしていること」という指標はあります。しかし、事例を見てもわかる通り、採用した施策は会社によってそれぞれ異なり、企業規模や従業員の意識度によって変わることは当然です。

「社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組むこと」を目的として施策であれば間違いはないわけですが、「これをやればいい」という正解の施策がない分、経営者・担当者としては悩み所ですね。

健康経営に取り組むメリットもたくさんある

健康経営銘柄は東京証券取引所の上場企業を対象とするものですので、中小企業の担当者は「自分のところは関係ないことだ…」と感じた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、健康経営銘柄の選定とまではいわずとも、これからの企業はぜひとも健康経営に取り組むべきといえます。健康経営は、中小企業こそ取り組むメリットがたくさんあるのです。

・医療費の削減につながる

従業員の健康を促進すると、無理な労働や不健康な生活によって身体を壊す社員が減り、会社が負担する医療費を削減できます。さらに、病気を理由とした休職者や離職者を減らすことにもつながります。

・生産性が向上する

これが健康経営の一番のメリットといえるのではないでしょうか。がむしゃらに仕事に没頭させるだけではなく、長時間労働を是正して、健康的な生活習慣を送るほうが、結果的に仕事の生産性が向上します。従業員の生産性が向上すると、残業代も節約でき、企業にとってはいいことずくめです。

・優秀な人材を確保する

従業員の満足度が向上すれば、その分離職率も低下していきます。人材の確保がますます困難となる今後を考えれば、健康経営によって社員の満足度を上げることは、結果的に会社の利益につながります。

健康経営銘柄の取得で従業員がいきいきと働ける環境作りを

健康経営銘柄は、選定条件的に上場企業を対象としていることもあって、中小企業の担当者にとっては縁遠い話となってしまっているのも事実です。

しかし、健康経営銘柄に選定されることは企業の大小を問わず、さまざまなメリットをもたらします。

実践したことがないからと身構えず、まずは健康経営度調査に参加するところから始めてみるのはいかがでしょうか。調査のフィードバックをもとに自社に合った施策を検討し、従業員満足度が向上するような環境整備をしていきましょう。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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