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健康投資の見える化へ!経産省が公開した「健康投資管理会計ガイドライン」を徹底解説

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経済産業省では、企業等における健康経営の取り組みをさらに促進するため、2019年9月から「健康投資の見える化」検討委員会を開催し、健康投資やその効果の見える化に向けた検討を実施してきました。

この検討に基づき、企業が健康経営を効果的に実施し、資本市場をはじめとした様々な市場と対話するための枠組みを示す「健康投資管理会計ガイドライン」を2020年6月に策定。この健康投資管理会計ガイドラインをわかりやすくまとめました!

健康投資管理会計ガイドラインとは?基本をマスターしよう

健康投資管理会計ガイドラインとは、これまでの健康経営の取り組みを踏まえつつ、企業が従業員などのために創意工夫し、健康経営をより継続的かつ効率的・効果的に実施するために必要な内部管理手法を示すものです。また、取り組み状況について企業が外部とコミュニケーションをとるときの共通の考え方を示す役割も担います。

ガイドラインには以下の内容が明記されています。

  • 健康投資管理会計とは
  • 健康投資管理会計の基本事項
  • 健康経営戦略
  • 健康投資の考え方
  • 健康投資効果の考え方
  • 健康資源の考え方
  • 企業価値の考え方
  • 社会的価値の考え方
  • 健康投資管理会計の作成と活用
  • 健康投資管理会計に関する情報の開示

これらはあくまで一定の枠組みのため、各企業がその意義を理解した上で企業等の管理会計の実務や健康経営手法等を踏まえて、ガイドラインを柔軟に活用することが必要です。

健康経営についておさらいしたい方は、以下の記事をご覧ください。
健康経営とは?メリットや成功に導くポイントを解説!
健康経営の投資対効果は?7つの研究と事例からみるインパクトを検証
60歳を過ぎてもイキイキと。基本の徹底で実現するジャパネットホールディングスの健康経営

ガイドラインの対象となる企業

このガイドラインは、「すでに健康経営に取り組みはじめていて、効果分析や評価方法を模索している企業」が主な対象です。

健康投資管理会計ガイドラインは、企業における健康経営をさらに促進する目的で作られたもの。具体的にはある程度予算を確保し健康経営のPDCAをまわしていたり、健康経営の効果や評価を社外に情報開示している企業が活用しやすいものとなっています。

中小企業や健康経営をまだ始めていない、始めたばかりの企業は、このガイドラインのハードルが高いと感じるでしょう。健康経営の戦略を作成する体勢がまだ整っていない企業は、できる範囲からガイドライン活用に着手して、徐々に範囲を広げていくことが望ましいとされています。

まずは、「企業の健康経営ガイドブック」や「健康経営度調査票」を活用してみるといいでしょう。

算出時の期間と集計範囲

健康投資管理会計の対象期間は、原則として事業年度に合わせます。これは財務会計情報と整合できるようにするためです。

また、健康投資管理会計の集計範囲は財務会計と同じ範囲で集計します。連結決算をしている場合には、健康投資管理会計もその範囲で作成することが理想ですが、企業やグループ全体を対象とすることが、実務上困難な場合があります。このような場合には、まずは事業所やグループ会社単位で集計し、徐々に範囲を広げていくことも可能です。

ガイドラインを導入する2つのメリット

健康投資管理会計ガイドラインを導入することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

企業の内部機能にもたらすメリット

これまでの健康経営は、取り組みに対する数値を見える化しづらいという欠点があり、改善点や成果を出しにくいものでした。しかし、ガイドラインを国が定めたことで、目指す指標が明確になったのです。これにより、企業内部では健康経営のPDCAサイクルをまわし、取り組みに対して分析や評価がしやすくなります。

企業の外部機能にもたらすメリット

健康経営の取り組み状況について、外部へ適切にコミュニケーションがとれるようになったという点です。。

これまでは企業が健康経営の取り組みを社外に発信する際に、施策や定性的な説明にとどまっていました。しかし、ガイドラインを用いることで、PDCAサイクルを回した結果や定量的な成果、取り組みを説明できるようになります。

ちなみに企業外部とは、従業員、取引先、顧客、投資家、地域社会などを指します。たとえば、資本市場においては企業と投資家との適切なコミュニケーションなどに活用されることが期待できるのです。

理想的な健康経営の運用プロセス

ガイドラインを用いた健康経営実施の理想的なプロセスは、以下のとおりです。このようなプロセスをイメージして、健康経営の運用を組み立ててみてください。

健康投資管理会計の5つの注意点

健康投資管理会計を行なうときに、扱う情報について、以下の5つの点に注意しなければなりません。ここからはその5つのポイントについて、具体的に解説します。

1.目的適合性

目的適合性とは、企業の健康投資やその投資効果について、関係者の意思決定に役立つ情報であることです。

また、開示する情報は量的なものだけでなく、その取り組みが経営に与える影響、さらに従業員等の健康に与える影響の大きさから考える必要があります。

2.信頼性

会計時に偏った情報やまちがいがないかを確認しましょう。具体的には、正当性・実質性・中立性・網羅性・慎重性の5つの側面から、信頼できる情報かを確認する必要があります。

ガイドラインには、以下のように定められています。以下を参考に、それぞれの側面から、扱う情報を確認するようにしましょう。

正当性:会計情報を開示する場合は、正確かつ妥当に記述すべきである
実質性:単に形式的に開示するに留まらず、投資等の実態に即して情報を開示すべきである
中立性:公正不偏の態度で記述すべきである
網羅性:重要な情報を漏れなく対象とすべきである
慎重性:不確実性を伴う情報は慎重に取り扱い、その性質、対象範囲、判断根拠を明らかにすべきである

3.明瞭性

明瞭性とは、利害関係者に対し、必要な情報をわかりやすく開示し、企業の健康の保持・増進への取り組み状況に関する判断をまちがわないようにすること。利害関係者にとって、わかりやすい情報にするため、できるだけシンプルに表現することが求められますが、複雑な内容を伝えなければならないこともあるでしょう。その場合には、たとえ内容が複雑であっても省略してはいけません。

4.比較可能性

企業の目的に応じて、同一企業の中で異なる時点間などの比較を要する場合には、比較できる指標を活用しましょう。これは、社内での比較であれば、期間で比較できるようにしておくことが大切です。

また、外部にも情報を開示する場合には、利害関係者が比較できるようにする必要があります。具体的には、選択した指標・評価手法を開示したり、これらを変更するときにはその理由と内容を明らかにしなければなりません。

5.検証可能性

検証可能性とは、客観的な立場から検証可能であることです。たとえば、第3者が同じ方法で検証した場合に、同じ結果になるような情報であることが求められます。

健康投資管理会計の考え方をマスターしよう

冒頭でもお伝えしたとおりガイドラインは一定の枠組みのため、おおまかな進め方は存在するものの、細かい意思決定は各企業にゆだねられています。そんなとき「考え方」を正しく理解できていれば、健康投資管理会計をスムーズに運用することができるでしょう。そのためには、健康管理会計の「考え方」をマスターしなければなりません。

5つの要素から構成される健康投資管理会計

健康投資管理会計は、「健康投資」、「健康投資効果」、「健康資源」、「企業価値」、「社会的価値」の5つの構成要素によって形成されています。これらの要素は企業等の経営課題・目指すべき姿との結びつきを示す「健康経営戦略」によって一元的に管理されています。では、この5つの構成要素をどのように考えればよいのでしょうか。その「考え方」について、1つずつ確認していきましょう。

1.「健康投資」の考え方(費用の算出)

健康投資とは、健康の保持・増進を目的として投下された費用のことを指します。外部に支出する金額だけでなく、働く環境や内部でのさまざまな取り組みも含みます。また、健康投資額は財務諸表で費用として計上されるものを指し、資産の減価償却費や人件費などもここに含まれます。

健康投資の分類方法としては、費用による区分はもちろん、効果別に分類することが望ましいとされています。分類や指標例は以下の図を参考にしてみてください。

2.「健康投資効果」の考え方

健康投資の結果もたらされる従業員の取り組み状況、生活習慣、健康状態や組織の活力などの保持・増進効果を「健康投資効果」とし、以下の3つの段階に分けて考えます。

健康投資施策の取り組み状況に
関する指標
従業員などの意識変容・行動変容に関する指標 健康関連の最終的な目的指標
・施策の参加者数
・施策の参加率
・施策の満足度
・制度の認知率 など
・施策参加者個人や組織の理解度
・健康メニューの選択率
・運動などの継続率
・保健指導の継続率
・再検・精検の受診率
・有給取得日数
・飲酒や運動などの習慣
・肥満や血圧・血糖値・要受診者率などの身体的指標
・生活満足度やストレス反応、セルフエフィカシーなど心理的指標
・アブセンティーズムやプレゼンティーズム、ワークエンゲイジメント、離職率、昇進率などの就業者関係指標

これらの指標・算出方法を企業が判断・決定し、測定・算出を行ないます。投資対効果を測定・分析した結果、期待した目標に達して似ない場合は、それぞれの段階の指標がどのような状態であるのかを個別に把握し、施策のPDCAサイクルを回すことが重要です。

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3.「健康資源」の考え方

健康資源とは、健康投資および健康投資効果によって得られる、企業内部の健康の保持・増進に貢献する財務的・非財務的な資源のことです。

その性質は「環境健康資源」、「人的健康資源」に分けられます。以下の図にもあるように、「環境健康資源」には有形資源と無形資源があり、設備や建物は有形資源に分類されます。具体的には、社内ジムなどがこれに該当します。

一方、無形資源はガバナンスや健康経営の理念や目標に合致した制度の数や利用率など、など目には見えないけれど、企業内部の健康の保持・増進に貢献していると考えられるものを分類しましょう。無形資源は収集が困難な反面、しっかりと積み上げていくことで効果的かつ効率的に健康投資を行なうことが可能になります。

「人的健康資源」では、「従業員の健康状態」や「ヘルスリテラシー・総合的自己健康管理能力」から、健康資源の状態を計ります。健康投資効果のストックである人的健康資源についても、投資対効果や中長期的な企業価値や社会的価値の向上に貢献すると考えられています。

また、健康状態などは企業の業種・年齢構成・男女比等によって大きく異なります。他の企業と比較するときには注意するようにしましょう。単に疾病や状態不良の従業員などが少ないことを健康資源として評価するのではなく、病気と治療の両立やさまざまな状態が尊重される環境や制度、風土等の環境健康資源と合わせて評価することが適切です。

4.「企業価値」の考え方

企業価値とは、内部では健康投資効果や健康資源の形成・ストックが要因の一部となって表れる各種の財務指標・経営指標を指します。また、外部への情報開示や対話によって各市場から受ける評価も企業価値とされます。

健康経営によって経営課題やその解決につながる健康課題が解決されたことによる波及効果として、企業価値が向上することが期待されています。しかし、健康経営以外の要因が大きく影響すること、また健康投資が与える影響が計測できない場合も。健康経営において企業価値の向上を経営課題として設定する際には、健康経営戦略の中で企業価値向上を健康課題とつながったストーリーを記述することが理想です。

たとえば、労働市場からみた就職ランキングの順位アップは、企業が取り組んだ健康経営の結果、企業価値が向上したといえる側面があると考えられます。数値的に示すことも、経営戦略からの影響をストーリーとして示すこともできるということもいえる例です。企業価値の分類と指標例については、以下の図をご覧ください。

5.「社会的価値」の考え方

健康経営を行なう企業が、地域や社会全体に肯定的な影響を与えることで、社会におけるさまざまな課題の解決につながっている波及効果を社会的価値とします。

近年はESGの重要性が叫ばれていて、社会への貢献が企業価値の向上にもつながり、相乗効果をうむと考えられています。したがって、社会的価値は健康経営の実施による波及効果として評価することができます。社会的価値は、波及効果を与える要因の性質によって以下の2つに分類されます。

  • 企業等の健康投資が目的外の影響として直接効果を与えるもの
  • 健康資源の活用によって影響を与えるもの

「企業等の健康投資が目的外の影響として直接効果を与えるもの」とは、たとえば企業の健康経営を目的とした、従業員だけでなくその家族や地域住民も巻き込んだイベントの開催などを指します。

「健康資源の活用によって影響を与えるもの」とは、企業の健康経営を目的とせず、事業として関係するや顧客などに健康経営を広める取り組みを行なうことや、地域住民を巻き込んだ健康やヘルスケアに関するイベントの開催などがこれに当てはまります。

戦略的に健康管理会計ガイドラインを取り入れよう

健康管理会計ガイドラインを導入することで、これまで可視化できなかった健康経営の数値が把握できるようになります。その結果、社内でKPIを設定してPDCAをまわしたり、外部とコミュニケーションや情報開示が的確にできるようになりました。

健康経営に取り組むことで、企業の生産性を高めるだけでなく、企業価値や社会的価値にも波及的につなげていく経営戦略を立てることが可能です。

このガイドラインを上手に取り入れて運用すれば、さまざまな市場から適切に評価されるでしょう。

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参照
健康投資管理会計ガイドライン|経済産業省
健康投資管理会計ガイドライン 概要説明資料|経済産業省

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Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部

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