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エンゲージメントとは?高めるために企業ができる取り組みや成功事例を紹介

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「エンゲージメント」は、近年、人材・採用・組織開発の分野で注目されているキーワードです。人材不足・雇用形態の多様化など、現代の企業をとりまく環境で、重要な人材戦略のひとつと考えられています。

この記事では、エンゲージメントの考え方や効果を解説するとともに、エンゲージメントを向上させるために必要な取り組みについて説明します。

エンゲージメントとは?

エンゲージメントとは、もとは「約束」や「誓約」を意味する単語であり、人と人、または組織と人の関係性をあらわしています。人事領域においては、企業の生産性向上につながる、従業員と企業の結びつきの強い状態を表す概念です。組織の成長と個人の成長の方向性が連動し、互いに貢献しあえる関係性のことを指します。

「絆」という意味合いを持ち、他のビジネス領域でも使われます。たとえばセールス領域では、企業と顧客の関係性構築を指し「顧客エンゲージメント」と呼ばれます。本記事では、「組織(企業)」と「従業員」の関係性を示す、「従業員エンゲージメント」に焦点をあて説明していきます。

組織における従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、明確な定義はありませんが、人事領域では経営課題として取り組む企業の動きにあわせ、いくつかの代表的な考え方があります。

そのひとつが、世界的規模で世論調査を実施するアメリカ・ギャラップ社のものです。同社によれば、従業員エンゲージメントとは、「組織に対して強い愛着を持ち、仕事に熱意を持っている状態」であるとされます。

また、グローバルコンサルティングファームのウイリス・タワーズワトソンでは、従業員エンゲージメントを「会社・組織が成功するために、従業員が自らの力を発揮しようとする状態が存在していること」としています。

このように、従業員エンゲージメントとは組織にコミットメントする従業員の「状態」を示すものです。1990年代に入り、ゼネラル・エレクトリック社が経営の最優先課題に従業員エンゲージメントを据えたことをきっかけに着目されるようになりました。

従業員エンゲージメントでは、個人のスキルや経験をいかに会社の成長に合わせて投下させるか、また会社の目指す方向性と連動して個人の成長を促せるかに注力しています。さらには、企業の業績と関連する調査も複数あり、組織のミッションを達成するためには、従業員エンゲージメントの向上が不可欠と考えられています。

従業員満足度・ロイヤリティとの違い

エンゲージメントは、従業員の心理状態や会社との関わり方を示す考え方のため、「従業員満足度」や「ロイヤリティ」といった似た概念と混同されることがあります。それぞれ、従業員の組織に対する意欲を測る考え方ですが、会社との結びつきの方向性に違いがあります。

従業員満足度」は、従業員が会社の用意した労働条件・環境・給与等にどれだけ満足しているかを示す指標です。従業員から、環境や待遇に対する評価という点が特徴です。

ロイヤルティ」は、従業員の企業に対する忠誠度合いを示すものです。愛社精神と表現されるように、ロイヤルティの高い従業員は献身的に組織に尽くします。ただし、企業とは上下の関係性に置かれます。

エンゲージメントは企業と従業員が双方向の関係性によって結びつきを強めていくものです。企業が従業員の意欲を引き出す取り組みを行い、従業員は組織へのコミットメントを高めていきます。

コロナ後でも日本ではエンゲージメントは重要視される

エンゲージメントが注目されるようになってから約30年。依然として、企業の成長に欠かせない考え方として捉えられています。

PwC Japanが実施した「2021年度世界CEO意識調査」において、日本のCEOの45%が今後競争力を高めていくために、「従業員のエンゲージメントやコミュニケーションを変化させていく」と回答しました。この数値は、世界全体の30%という結果を上回るものです。コロナ後の経済成長のために、従業員エンゲージメントの重要性を意識している企業が多いことがわかります。

参照:PwC Japan、「第24回世界CEO意識調査」の 日本調査結果を発表

エンゲージメントを高めるために必要な3つの要素

では、どのようにしたらエンゲージメントを高めることができるのでしょうか? ウイリス・タワーズワトソンによれば、エンゲージメントの向上には「理解度」「共感度」「行動意欲」の3つの要素が必要であるとされています。

理解度

理解度とは、従業員が会社の進む方向性を具体的に理解し、支持できる状態であることを指しています。つまりは、企業のビジョンや成長戦略で語られる方向性と従業員の方向性が一致している状態です。理解度を高めるためには、企業は明確な経営方針を作り、従業員に対して説明することが求められます。

共感度

共感度とは、従業員が属している組織やともに働く仲間に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っている状態を示しています。共感度が高いことで、組織にコミットする意欲が生まれます。また、仲間とフォローしあいコミュニケーションを活性化させるといった、組織の一体感にもつながります。

行動意欲

行動意欲とは、組織の成功のために、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある状態を示しています。高い行動意欲を持続させるには、成果に対する周りからの適切な評価や、社会に貢献できているといったやりがいが必要です。納得感のあるフィードバックや、組織に必要とされている実感が、従業員の行動意欲を高めます。

エンゲージメントが企業に必要とされる理由

エンゲージメントが、企業の成長と人材戦略の重要なポイントとして考えられているのは、労働市場や働き方の変化が関わっています。

人材不足により、働き続けてもらう重要性が増加

働き方改革でも掲げられているように、日本は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」に直面しています。人材不足という課題を解決するには、子育てや介護をしている人、高齢者、外国人労働者、若者など、様々な状況にいる人々が働きやすい環境を整える取り組みが求められます。

また、有効求人倍率が高い状態で推移している近年、売り手市場により企業の採用は難易度を増しています。今いる従業員の定着を促すことが、新規に高スキル人材を採用しようと奮闘するよりも、組織にとって良い影響をもたらすかもしれません。

こうした、人材不足の状況とあわせて、企業は長時間労働という従来の働き方から脱却し、かつ高い生産性を維持することが求められています。そのためには、企業が従業員から選ばれる組織である必要があり、その上で個人のパフォーマンスが最大化されなければいけません。こうした状況に対して、従業員の熱意を高め業績向上につなげるエンゲージメントが重視されています。

多様な働き方の推進によるマネジメントの難しさ

働き方の多様化も、企業がエンゲージメントを重視する要因となっています。

非正規雇用の増加に加え、近年ではテレワーク・副業という新しい働き方も増えています。これまでの、オフィスで週5日顔を合わせる働き方を前提としたマネジメントでは、異なる働き方の従業員全員に対して、モチベーションアップを促すのは難しいと感じている管理職も多いでしょう。

正社員以外に、業務委託・派遣といった組織とのコミットメント度合が異なる従業員が増えれば、それだけ企業の方向性の理解度に差が生まれます。そのような差が、組織の一体感醸成を妨げる要因になります。

テレワークが進めば、上司が部下の労働時間や仕事量を管理するのがどんどん難しくなるでしょう。顔を合わせないことでのすれ違いや、一人で仕事する孤独感が引き起こすモチベーションの低下も問題になります。

企業は、どうすれば多様な働き方にあわせて、従業員の組織への愛着を育て仕事に対して熱意をもっている状態に導くことができるのか、より考え取り組まなければいけません。

個人の働く価値観の多様化

働き方の変化以外に、働く価値観の多様化にも目を向ける必要があります。

最近の調査では、仕事と家庭・プライベート(私生活のバランス)を重視する傾向が増加しています。また、新入社員の会社を選択する理由として、「能力・個性を活かせる」「仕事が面白い」が上昇しており、「給与の高さ」や「企業の安定感」といった、これまで主流な入社理由に新たな判断軸が加わっています。

なぜ働くのか、という価値観の変化は働くモチベーションの変化です。そのため、企業はどうしたらこれまでの価値観とは違う人々の働く意欲を高められるのか考えなくてはいけません。

結果を出した従業員に、ボーナスといったインセンティブを支払う以外に、「会社が自分のやりたい場を用意してくれる」「自分の仕事をちゃんと評価してくれる」と感じてもらえる取り組みが求められています。従業員が組織を信頼していることが、個人のパフォーマンスにも大きく影響します。

エンゲージメントを向上させる効果

それでは、エンゲージメントの向上にはどのような効果があるのでしょう。企業に与えるポジティブな影響をみてみましょう。

人材が定着し、離職率が低くなる

従業員が組織に高い愛着を持つ状態であれば、人材が定着し離職率の低下につながります。

人材の離職率が下がれば、組織の中に経験年数の高い人材が増えます。業務を安定的に行うことができ、さらには顧客の信頼の獲得・満足度の向上・サービスレベルの向上が期待できます。

リファラル採用といった採用力強化につながる

エンゲージメントが高い社員は、会社に信頼を寄せています。自身のスキルやキャリアを伸ばす場に最適であると感じており、仕事を通じて社会の役にたっているといったやりがいを実感する頻度も多いです。そのような状態であれば、自社求人が出た際、思い当たる知人に勧めたい気持ちが湧くでしょう。

エンゲージメントの高い社員の存在が、自社のイメージ向上につながり、結果として採用面によい影響をもたらします。

高いモチベーションを維持できる

たとえ組織に献身的につくす人でも、満足する結果が得られない場合、大きな失望を抱きます。心理的に落ち込むだけでなく、蓄積された疲労が身体にあらわれることもあり、仕事を続けていく大きな妨げとなります。

エンゲージメントが向上しているということは、組織のなかに従業員の仕事を適切に評価する仕組みがあるという意味でもあります。会社と従業員の信頼関係が、働く意欲を維持するという好循環を生み出すのです。

従業員間のコミュニケーションもスムーズになる

エンゲージメントの高い従業員は、周りのメンバーにも良い影響をもたらします。組織へのコミットメントが高まっており、業務ノウハウをマニュアルにまとめたり、勉強会を開いたり、自らのスキルをチームに貢献する自発的な動きが生まれやすくなります。

また、エンゲージメントの向上で会社の方向性を理解する従業員が増えるため、「組織の目標達成にどうすればいいか?」を念頭においた建設的なコミュニケーションが増えるでしょう。

業績の向上につながる

エンゲージメントの向上と企業の業績アップには関係性があることが明らかになっています。

たとえば、2012年にタワーズワトソン(現:ウイリス・タワーズワトソン)が公開した資料では、50のグローバル企業への調査で判明した従業員エンゲージメントと業績の関係性に触れています。それによれば、様々な要因があるとしつつも、持続可能なエンゲージメントが高い企業は、低い企業と比較して3倍も高い業績を示しています。

また、ギャラップ社もエンゲージメントの高い企業のほうが低い企業と比較して、生産性や収益性などビジネスの成果に良い影響をもたらすとしています。

エンゲージメントを高めるための企業ができること

エンゲージメントの向上には、多様化する個々の価値観を把握し、尊重した働き方を整えることが大切です。そのために企業ができる取り組みについて紹介します。

エンゲージメントを向上させるチームを作る

エンゲージメントを高めるためには、トップダウン方式ではなく従業員が主体となって施策を展開する方法が効果的です。目指すべき方向性に、足りない部分はなにかと従業員自らが考えることで、組織の実態に沿った解決策が見えてきます。

チームには高いパフォーマンスを発揮していたり、メンバーサポートなど組織への貢献が高い社員を選ぶのがよいでしょう。エンゲージメントの高い社員のモデルケースにもなります。

エンゲージメント調査を行い、現状を把握する

エンゲージメント向上の取り組みのため、もう一つ重要なのが現状の把握です。エンゲージメントとは心理状態を表すものです。そのため、数値化して客観的指標を持つことが組織の状態を把握する重要な一歩になります。

結果をもとに、スコアの低い分野から改善します。大規模な改革に取り掛かろうとするのではなく、小さな課題から改善し、PDCAを回しながら広げていく方法もあります。

また、単発の調査で終わるのではなく、年に1回など定期的に実施することが重要です。継続した結果を蓄積することで、改善された点やエンゲージメントの変化を確認することができます。

働く環境を整える

従業員に働く意欲がどれだけあっても、あまりに多い労働負荷や長時間労働が存在するような環境では、個人のエンゲージメントの継続は難しくなります。

そのため、働きやすく結果につながる環境整備に力をいれましょう。長時間残業をなくすよう、業務負荷やフローを見直す。時短勤務・テレワークといった働き方に合わせた評価方法を考える。モチベーションアップにつながるように、成果だけでなく行動を評価する取り組みを行う。

外枠を整えることが働きやすさにつながり、働きやすい環境であるからこそ、企業への信頼も培われます。

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個人の成長を促す施策を行う(キャリアアップ)

仕事が単に報酬を得る場ではなく、自身のスキルアップにつながるという感覚は、自発的な取り組み意欲を高めます。新しいプロジェクトに挑戦できたり、別の分野で新しい経験を積んだり、またはこれまでのスキルを活かせる仕事を任されたりすると、仕事が従業員に魅力的な価値を提供する場となり、働く意欲の向上につながります。

1on1などの面談を通じて、従業員のキャリアに対する考えをヒアリングしましょう。多様な価値観とスキルアップに応じて、柔軟なキャリア制度を構築します。

企業のビジョンをしっかりと伝える

エンゲージメントの要素である「理解度」を高めるために、会社のビジョンを伝える機会を持ちましょう。社員全員を集めた場でビジョンをアナウンスするだけでなく、コーポレートウェブサイトに表示する、チームの定例会で触れる、社内プラットフォームでアナウンスする、採用メッセージとリンクさせるなど、あらゆる場でビジョンを発信します。

ビジョンが目に触れる機会が増えることで、個人の理解度が促進されます。社内イベントを通じて、ビジョンに触れる施策も重要です。

納得感のある人事・評価制度をつくる

ちゃんと評価されていると感じることで、仕事へのモチベーションが継続します。納得感のある人事・評価制度のためには、働き方や目標に適切な方法を検討する必要があります。

たとえば、近年増えているテレワークでは、上司と部下が物理的に同じ空間にいないため、「働いている様子」を評価することは難しくなります。また、従業員に与えられている目標に応じた評価軸を設けなくてはいけません。

「アポイントメント件数」といったあらかじめ数値化されている目標以外に、「離職率の低下」といった目標では、正しく数値化するための「基準」を明確にすることが大事です。

制度の基盤となる目標値・評価方法を個人に合わせて丁寧に作ることが、納得感のある評価制度につながります。

エンゲージメントを高めるための企業の取り組み

エンゲージメントの向上につながる企業の取り組み事例をいくつか紹介します。

従業員エンゲージメントの向上で持続的な成長を目指す | キリングループ

2027年に向けた長期経営構想のなかで、経営戦略と人材戦略の連動を掲げたキリングループは、従業員エンゲージメントを、グループ全体の「KPI(重要業績評価指数」に規定しました。

従業員エンゲージメントを「従業員が会社の方針を理解し、共感しているか。そのうえで自ら行動できるか」とし、従業員が考える仕事の目的(パーパス)と会社が提供する(パーパス)の共感が、人材と組織の活性化につながると考えています。経営戦略と人材戦略を社内・社外に説明するための対話ツールとして、従業員エンゲージメントのKPIを位置付けている点が特徴です。

参照:キリンHDが社員エンゲージメントをKPIに設定、情報開示の対話ツールに

ランク付けを廃止し、社員一人ひとりの成長を後押しする人事制度を実現した | アドビ株式会社

アドビ株式会社では、2021年よりランク付けを廃止したノーレーティングの評価制度「チェックイン」を導入しました。チェックインでは、社員一人ひとりの成長を後押しすることを目指し、継続的な面談を通じて上司と部下のリレーションシップを構築します。

定期的なコミュニケーションの場があることで、従業員が「サポートされている」と実感できるようになり、評価の納得感が向上。チャレンジに積極的になったり、個人パフォーマンスが向上したりする効果が表れています。また、離職率の大幅減、株価の上昇と、企業成長につながっています。

参照:ランク付けをやめ、納得感のある人事制度を実現。アドビ「チェックイン」運用の実態

エンゲージメントサーベイで働き方の改善に積極的に取り組む| 味の素グループ

味の素グループでは、従業員の「働きがい」を測る手段として2017年よりエンゲージメントサーベイを採用。高いモチベーションを維持し、仕事に意欲的に取り組める労働環境の向上を目指しています。

初回のサーベイでは約8割の社員が「働きがいを実感している」と回答。同社ではサーベイでの定期的な現状把握とともに、働きがいと生産性向上の取り組みとして、所定労働時間の20分短縮や、「どこでもオフィス」という業務内容や場所を問わずにリモートで働ける制度の導入でテレワークを推進するなど、積極的なワークスタイルの改革に取り組んでいる。

参照:「働き方改革」で高まる”働きがい” エンゲージメントサーベイで分かったこと~味の素流「先進的働き方の推進」~働きがいと生産性向上への取り組み

福利厚生で働く環境を整えてみませんか?

働く環境を整えることは、エンゲージメントの向上には欠かせません。なかでも、育児や介護と仕事の両立のための補助、セミナー参加費支給といったキャリアアップ支援、テレワークのためのディバイス貸与など、個人のニーズに合わせた福利厚生は、働きがいのある組織づくりにつながります。

福利厚生の充実は、人材定着・離職率低下・採用でのアピールなど、エンゲージメントの向上で期待できる効果と重なっています。従業員に高い意欲を持って働いてもらうための施策を検討している方は、福利厚生の整備について考えてみるといいでしょう。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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