OKAN WEB MAGAZINE

"働く人のライフスタイルを豊かにする!日本一"おせっかい"なOKANのウェブマガジン"

  • #従業員満足度
  • #福利厚生
  • 福利厚生
  • 組織開発

従業員満足度を上げるための取り組みとは?明日からできる実践と実例をご紹介

  • 福利厚生
  • 組織開発

近年は、定期的に従業員満足度調査を実施し職場環境改善に取り組む企業が増え、従業員への朝食提供、社内スポーツジム、お昼寝ルーム、瞑想ルーム、お互いが感謝のメッセージを送りポイントを貯めるピアボーナス制度ほか、ユニークな福利厚生が続々と生まれています。

企業がこのように従業員満足度の向上に力を入れる背景には、2019年までの人材不足も影響していますが、健康経営ISO30414などに象徴される「従業員への投資こそ企業の競争力の源泉」と考える米国起点の潮流が大きく影響していると考えられます。

企業の健康的な経営に対しての問題になる、離職、メンタルヘルス問題による休職などは、ほとんどが従業員満足度の低さが原因。一方で、離職やメンタルヘルス問題を引き起こす従業員満足度は多様な要素で構成されるため、改善する取り組みもまた多種多様です。

お洒落なオフィス環境を大規模整備したり、Googleの様に一流シェフの社食を提供する様な大企業ならではの取り組みもあれば、中小企業に向いている気軽に始められる取り組みもあります。

この記事では、多くの中小企業が明日からでも着手できる従業員満足度向上の取り組みや事例を紹介し、どのように従業員満足度をあげるべきかについて解説しています。

従業員満足度とは?

従業員満足度(Employee Satisfaction(ES))とは、従業員が勤務している組織についてどの程度満足しているかを表す概念であり、指標です。

仕事に対する従業員からの満足度だけでなく報酬、勤務時間、福利厚生、人間関係、企業社風や経営者のビジョン、などさまざまな要素に起因する総合的な満足度のことを指します。

実は従業員満足度は古くから研究されており、1900年代からすでに多くの研究者によって仕事の成果、離職率、顧客満足度との因果関係、相関関係が実証されています。そのため、企業経営において多岐にわたるメリットがあることが豊富な研究結果に裏打ちされており、多くの企業が経営指標として重視し始めています。

従業員満足度と従業員エンゲージメントとの違い

「従業員満足度」は「従業員エンゲージメント」と混同されることがしばしばあります。どちらも従業員の組織に対する評価のことを指していますが、正確な定義は異なります。

従業員エンゲージメントは、企業と従業員が相互的に結びつきの強さを表す指標です。従業員のモチベーションを向上させるような取り組みをすることで変化する、従業員のコミットメントを可視化したものといえます。

一方、従業員満足度は、従業員から企業への環境や待遇に対する評価で、労働条件・環境・給与等にどれだけ満足しているかを示す指標です。

では、ここからはその従業員満足度が高い場合とそうでない場合で、企業に対してどのよう様な影響があるのかを見ていきましょう。

従業員満足度が高い企業とそうでない企業の違い

従業員満足度が高い企業は、そうでない企業と比較して以下のよう様な代表的な特徴があります。

・従業員の仕事のパフォーマンスが向上する
・定着率が良い
・顧客満足度が高くなる

企業経営者であれば企業業績との関係性も気になるでしょう。

しかし、企業業績を上げる要因には景気ほかさまざまな要素があり、業界によっては上昇傾向の業界もあれば、衰退傾向の業界もあり、企業業績に直接つながるかどうかを測ることは難しく、従業員満足度向上=業績アップという直接の因果関係を証明することは大変なことです。

ただし、従業員の意欲が向上し、定着率が高くなり、顧客満足度も向上すれば企業業績に良い影響を与えることは十分想定でき、国内でも業績にプラスになる関係を示唆する以下の調査結果が出ています。

厚生労働省の平成27年の調査では「従業員と顧客満足度の両方を重視する」企業は「顧客満足度のみを重視する」企業より「売上高営業利益率」「売上高」ともに増加傾向にあるとする割合が高くなっています。

また、従業員満足度を重視している企業は人材も「量(人数)・質ともに確保できている」と回答する割合が高くなっています。

(参考:厚生労働省
従業員満足度の高い企業は、従業員からの口コミ採用や、採用サイトなどで転職者が触れる情報がポジティブな物が多くなる傾向があり、積極的に採用活動を発信しやすくなるなどのメリットがあり、良い人材が集まりやすくなる循環を作ることができます。

低い従業員満足度が企業運営に与えるネガティブな影響

一方、従業員満足度が低い企業は従業員のモチベーションも低下しがちであり、離職率が高くなります。また、顧客満足度もあまり高くならない傾向があります。

・従業員のパフォーマンスが上がりにくい
・離職率が高い
・顧客満足度が上がりにくい

上記だけならまだ良いのですが、従業員満足度の低さはいわゆる企業内不祥事と相関関係があると研究で指摘されています。

もちろん、このような行為は個人の資質にもよります。従業員満足度が低く、ブラック企業といわれるような環境下でもモチベーションを保てる人材は多数存在します。ただ、相対的に見れば従業員満足度が高い企業より低い企業は不祥事が発生しがちです。

近年のバイトテロ、一部企業における外国人研修生の脱走、トラブルなどをイメージしていただければと思います。給与と仕事の量、責任範囲、待遇があまりに見合わないと人は問題を起こす確率が高くなるのです。

正社員であっても周囲への非協力的な態度、外部業者との癒着がおこる可能性があります。潜在的な職場への不満が従業員をマイナスの方向に向けてしまうことは昔から多くの企業で見受けられます。

何が従業員満足度を左右させてしまうのか?よくある要素

従業員満足度を決める要素は多岐にわたっています。「これ一つが原因」と言い切ることはできませんが、研究によって影響力の大きい項目はわかっています。

よくあるパターン:仕事についての裁量権、自由度

仕事とのマッチングや、仕事の裁量権(自分でコントロールできる範囲)の大きさは、従業員満足度に大きく影響します。仕事がハードでも自分で決められる範囲が広いと従業員満足度は高くなります。

調査結果の一例をあげれば、米国の有名な建築会社の調査において「仕事の時間、場所、方法を選べる従業員は満足度もパフォーマンスも高い」という結果が出ています(参照:Harvard Business Review)。

よくあるパターン:人間関係

離職理由のトップは大抵の場合、職場の人間関係です。上司との相性、同僚との関係などが良好かどうかは従業員満足度を大きく左右します。

OKANの2020年11月の調査でも離職理由のトップは「人間関係」です。

職場の人間関係と生産性を検証したホーソン実験では、従業員は物理的な職場環境よりもインフォーマルな人間関係(仲間意識、良好なコミュニケーション)、さらに注目されることによって生産性が左右するほど影響を受けるとされています。

プラスの意味でのキャリアアップなどを除けば、離職や転職の理由のほとんどは同僚や上司などとの人間関係がほとんどであるということは皆さんも肌感覚としてお持ちのはず。

そのように人間関係が従業員満足度に大きな影響を与えるため、従業員同士がポジティブなコミュニケーションが取れるよう様なオフィス環境整備は企業にとって非常に重要な要素になります。

よくあるパターン:評価への不満

人事評価制度への不満も従業員満足度を大きく左右します。2019年の株式会社あしたのチームの調査では、現職の人事評価制度へ不満を持つ転職意向者は81.7%にものぼります。

2000年以降、日本企業が公平な人事制度を目指し目標管理制度をはじめ、さまざまな評価制度を導入してきましたが、評価制度が自社に適しているかどうかを見なおすことも必要です。

(参照:PRTIMES

これらの従業員満足度を左右する要素をクリアすることは難しいことではありません。その方法論についてはあとで述べますが、まずはそのメリットとはどのようなものでしょうか。

高い従業員満足度がもたらす自社へのメリットとは?

ここでは従業員満足度を高める企業側のメリットを紹介します。

自社の顧客満足度を向上させることが可能に

従業員満足度と顧客満足度には強い因果関係があるという研究結果が出ています。

また、顧客満足度と企業業績(収益、ROI等)には因果関係があるとする研究結果も多く出ています。そのため、従業員満足度が高まれば顧客満足度が向上し、その結果企業の収益が拡大するという主張もあります。

特にサービス職においてその傾向が顕著であり、米国のハーバード・ビジネススクールの教授(J.S.Heskett、W.E.Sasser,Jr.)は、サービス業における従業員満足度と顧客満足度向上、企業の利益の因果関係を示すフレームワーク「サービスプロフィットチェーン」を提唱しています。

サービスプロフィットチェーンの構図

(画像出典:Globis

自社内でのチームワーク意識と生産性の向上

米国インディアナ大学のデニス・オーガン教授は「組織市民行動(Organizational Citizenship ehavior(OCB))」と従業員満足度の関係性を指摘しています。

組織市民行動とは、自分の職務ではなく自分の成果に結びつかないことでも組織や職場の仲間のために自発的に貢献したり、厳しく管理しなくても良識にそって行動することを指します。

JOB型ではないメンバーシップ型の雇用制度が多い日本企業、特に従業員の人数が少ない中小企業では、このような従業員の行動があるかどうかで生産性が変わってきます。中小企業こそ従業員満足度を高めることが重要なのです。

離職防止

従業員満足度が高い企業は定着率が高くなります。離職については数多くの研究で因果関係が証明されています。仕事や職場環境、人間関係に満足している従業員が増えると定着率がよくなります。優秀な従業員に長く活躍してもらうことができます。

健康経営、人的資本情報開示の取り組みに

2020年11月から米国では上場企業に「人的資本の情報開示」が義務化されました。米国HR領域のトレンドは何年かおくれで日本に浸透することが多いため、昨今多くの企業はISO 30414の対策を進めています。

人的資本情報開示の管理項目には「企業文化」や「健康経営」が含まれています。従業員の心身の健康に投資したり、企業文化を醸成させる取り組みを健康経営、ISO 30414の取り組みをとして発信すれば、投資家からのイメージアップも期待できるでしょう。

従業員満足度の改善取り組みのステップ

ここでは、従業員満足度を高める短期的な取り組みのステップを解説します。

ステップ1:現状の満足度を把握する

従業員満足度改善のためにはまず、現状の従業員満足度の状況を把握する必要があります。特に従業員が困っていること、改善してほしいこと、喜ぶことの中から課題を拾い上げる必要があります。調査方法には以下の手法があります。

従業員満足度調査

簡易的な調査から質問項目が多く記述部分もある調査までさまざまな種類の調査があります。質問項目の設定には心理学の知見も必要であるため、社内ではなく外部のプロに委託し匿名で応えてもらうと実態に近い結果が得られます。

eNPS

eNPSはシンプルな一つの質問のみの調査です。「今の職場を親しい友人や家族に対しどの程度進めたいと思いますか?」という質問をし0~10点の11段階で回答してもらいます。以下のように点数によって回答者を分類し、全社的な従業員満足度の把握に生かします。

・0~6点の回答者を「批判者」
・7~8点の回答者は「中立者」
・9~10点を「推奨者」

批判者層には離職する可能性のある従業員が多く、推奨者層には少なくいという調査結果が出ています(英語)。推奨者の増加=従業員満足度の向上と解釈できます。

ステップ2:取り組む項目を決定する

従業員満足度調査やアンケート調査によって判明した課題の中から改善に取り組む項目を決定します。

大きなテーマ(人事評価制度、マネジメントのあり方等)は長期的に取り組み、短期で解決できるテーマは速やかに実行していきます(なお、本記事では「短期的な取り組み」を中心に記載します)。

まず「従業員が不満に思っていること」を改善することがポイントです。例えば、職場においては冷暖房の設定温度、パソコンの性能、休憩室が狭いなど一見小さなことが不満の原因になっていることは少なくありません。

そのような声に耳を傾けることが大切です。小さな課題は比較的改善が容易であり、改善されると従業員からみて目に見えて「よくなった」とわかります。

少し古いデータですが、2015年のマンパワーグループの調査では「会社の福利厚生として良いと思うもの」「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」について以下の結果が出ています。

・会社の福利厚生として良いと思うものは「住宅手当・家賃補助」
・実際にあった福利厚生でよかったと思うものは「食堂、昼食補助」

(出典:マンパワーグループ

おそらく住宅手当などは導入できる企業が限られるため、結果としてどのような規模の企業にも導入しやすい「昼食、食事補助」が11位になっていると考えられます。

上記の項目に加え、昨今のビジネス環境の変化やテレワークにおける従業員の悩みや課題を解決できる取り組みを導入するとより望ましいでしょう。

・PCの性能(スペック)をアップ
・社内ネットワーク環境の整備
・テレワーク手当の支給
・オフィスのコミュニケーションスペースの拡充
・提携施設の割引(健康面他)
・オンラインコーチング

ステップ3:実行する

従業員満足度を改善するためには、満足度調査のあとに会社が何かしら職場環境を改善し、従業員に変化を実感してもらうことがもっとも重要です。調査だけで終わるとむしろ不満足度が高まります。

改善すべき項目が決まったら社内のメンバーの取り組みで改善可能な項目についてはプロジェクトチームを組んで取り組みます。

外部サービスを導入する場合は、費用対効果を検討して適切なベンダーを選定します。無料トライアル期間に従業員に試してもらいアンケート結果で決めるなど、導入に際し従業員の意見を取り入れられればより望ましいでしょう。

ステップ4:検証する

従業員満足度調査を定期的に行い導入の効果を検証します。

例えば、提携施設の利用などは活用する従業員が一部であれば全体的な満足度はそれほど高くならないことがあります。多忙な従業員に「勤務時間に自由に運動してください」と奨励しても難しいかもしれません。事前の調査で要望は多いものの活用されないなど想定外の結果が出てくることがあります。

なお、昨今は「サーベイ疲れ」という用語が登場するように多すぎる社内調査への回答を従業員が負担に思う傾向があるため、取り組みの実施度合を踏まえて、半年に1回、四半期に1回と自社なりの期間を設定して検証しましょう。

ステップ5:検証の結果を施策に生かす

新しい取り組みを導入後のアンケート調査結果をもとに施策を改善したり、新たなプランの導入を検討します。

従業員満足度向上の取り組みにおいて大切なのは、従業員の声に耳を傾け、働く環境を整備していく取り組みを続けることです。調査し改善し続ける姿勢は従業員の会社に対する信頼度を高め、従業員満足度向上につながっていくでしょう。

従業員満足度を高めた企業の事例をご紹介

ここでは、実際に従業員満足度を高めることに成功した事例を紹介します。

ラクサス・テクノロジー株式会社:食事、お菓子・ドリンク無料、オシャレ手当、結婚・休暇お祝い金、ダイバーシティ採用の実現で女性比率50%以上、女性管理職比率が25%を実現

(画像出典:ラクサス・テクノロジー株式会社

事業内容:ブランドバッグのシェアリングサービス事業、他

取り組み例:
・朝食無料
・ランチ無料、
・ドリンク、お菓子・軽食無料
・社内フィットネス機器あり
・広島県へのIターン、Uターン引っ越し代最大20万円支給
・オシャレ手当(美容院、ネイル、マツエク利用代金月1万円まで)
・各種ライフイベントサポート
・LGBT支援制度、他

週休3日正社員、ダイバーシティ経営の推進、全従業員のワークライフバランスを考慮した制度導入、上記のようなこまやかな福利厚生を導入することで女性が多数活躍できるようになり、以下のように業界平均より女性比率、女性管理職比率が抜きんでています。

(参照:広島県

GMOインターネットグループ:先進的で充実した福利厚生を取り揃え、従業員満足度向上を図る

(参照:GMOインターネット株式会社

事業内容:インターネットインフラ事業、他

取り組み例:
・従業員用カフェは24時間・365日オープン、食事すべて無料
・生後57日後からお預かり可能な社内託児所
・マッサージ&おひるねスペース
・アートギャラリーの運営

充実した福利厚生サービスを他社に先駆けて拡充しているGMOグループは、GPTWジャパンが開催する2021年版「働きがいのある会社」ランキングで6年連続ベストカンパニーに選出されています。
社長が創業者でもあるため、いち早く斬新な制度を導入するGMOグループの取り組みは多くの企業にとって参考になる事例です。託児所やカフェテリアの運営やお昼寝スペースの提供はできなくても提携する飲食店、マッサージや健康関連サービス(整体、カイロプラクティック等)の割引を提供することができます。
(参照:PRTIMES

株式会社minitts:規模や売上を追わず1日100食限定の飲食サービスを展開。従業員の自己決定権を尊重することで従業員満足度を高める

(参照:株式会社minitts

事業内容:飲食サービス

取り組み例:
・短時間正社員制度
・社員の労働時間削減
・飲食業界には珍しい残業0時間
・シングルマザーや障がい者など多様な人材の採用

1日100食限定の国産牛ステーキ丼専門店『佰食屋』を展開する株式会社minitsでは、規模や売上を追わず、残業ゼロの実現、勤務時間を短くすることで従業員満足度を向上させています。

売上拡大を目指さずとも、従業員の働きやすさを追及することにより優秀な人材をひきつけ、従業員満足度も高くなり、結果、顧客満足度が高くなる好循環を実現しています。

自社らしい取り組みを考えよう

従業員満足度向上の効果的な施策は1000人以上の企業と10人の中小企業では異なります。従業員の年齢構成、拠点の地域性、企業カルチャーによってもそれぞれ違ってくるでしょう。

大切なのは「現在、従業員は何に困っているか?」「今後、従業員に何を提供すべきか?」をしっかり把握することです。まず、自社の現状調査を行い、従業員の困っていることに耳を傾け、各社の成功事例を参考に一つずつ取り組みを実行していきましょう。

編集部おすすめ無料eBook

執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

メルマガ登録はこちら

週に1度!最新情報をまとめてお届け! 働き方に関するトレンドや、健康経営や従業員満足度向上などの情報などの厳選記事をお送りします