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医師の2024年問題とは?時間外労働規制などの働き方改革を解説

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2024年に適用となる「時間外労働の上限規制」を中心とした医師の働き方改革。過重労働が常態化している医師の労働環境改善に向けて、政府主導の動きが始まっています。

コロナ禍を受け、2021年5月21日には医師の働き方改革の実現に向けた改正医療法が参議院本会議で可決、成立しました。改正医療法は、医師の健康確保のために「勤務間インターバル」や面接指導、連続勤務時間の制限などを義務づけています。

この記事では、医師の労働状況を解決しなければならない管理部側の「2024年問題」を解説しながら、医師が抱える労働課題や働き方改革に向けて今からできることを考えます

医師の2024年問題とは?

「医師の2024年問題」と聞いて、初めて知る方も多いのではないでしょうか。まずはじめにこの章では、医師における2024年問題の内容を詳しく解説します。

多様な働き方を選択できる社会へ向けた「働き方改革関連法」が2019年より施行されています。しかし、医師の勤務環境改善には長期的な見通しが必要となるため、5年間の猶予が与えられ、2024年の施行と先延ばしになりました。

そのため、2024年4月までに勤務環境を改善する「医師の働き方改革」に取り組まなくてはなりません。これを「医師の2024年問題」と言います。

では、具体的にどのような法改正に対応していかなければならないのか、さらに詳しく見ていきましょう。

問題①「時間外労働の上限は960時間/年1860時間の例外もある」

「医師の働き方改革」で中心となるのが、2024年4月に適用開始される「労働時間の上限規制」です。医師たちは、国民の健康を支える重要な役割を担う一方で、過重労働による負担で自身の健康を害する状況に陥っています。こうした状況を打開するために施行されるのが「時間外労働時間の上限規制」です。

一般的な業種に、労働基準法第32条で定められている労働時間(法定労働時間)は、「1日8時間まで(休憩時間1時間除く)/1週間40時間まで」です。これを超過した時間が「残業時間」となります。

今回の改正で検討されている上限規制の原則は「年960時間以下/月100時間未満」です。ただし、救急医療などを行う医師が対象の「B水準」、研修医など症例経験を必要とする医師が対象の「C水準」については、期限付き上限規制で年間1860時間以下までとすることができます。

【A水準】すべての医師

〈対象〉診療従事勤務医

〈上限〉年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

【B水準】地域医療暫定特例水準

〈対象〉救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関

〈上限〉年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

【C水準】集中的技能向上水準

〈対象〉初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師

〈上限〉年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む)

上記の通り、対象となる医師が細かく分類されているため、どの水準に当てはまるのかを確認する必要があります。

問題②「時間外割増賃金率引上げ」

大企業では既に適用されている、法定割増賃金率の引き上げ。2023年4月からは、医療業界も含めた中小企業も、月60時間を超える法定時間外労働に対して、50%以上の割増賃金率で計算して支払わなければなりません。

そもそも労働時間に対してどれだけの割増賃金率が適用されるのかは、以下の表をご覧ください。

参照:改正のポイント|厚生労働省

例えば、時間外労働と深夜労働が重なった時には、各割増賃金率を足した50%以上となり、法定休日と深夜労働が重なった時には、60%以上となります。

25%から50%とかなり賃金率に変動があるため、雇用側は慎重に労働時間の管理を行っていかなければならないということです。

医師が抱えている課題

病院勤務の医師は昼夜関係なく呼び出しがあることからも、勤務時間がかなり不規則です。患者の容態によっては残業も重なるため、医師自身の健康が危うい状態といっても過言ではないでしょう。

では、働き方改革が先送りとなっていた医師は、今どのような課題を抱えているのでしょうか。

深刻な人手不足

医師の抱える課題の中でも、最も深刻といわれるのが人手不足の問題です。少子高齢化社会が進行する日本で、医師の手が足りなくなるのは致命的だともいえます。

それもそのはず、日本の医師数は主要な先進国と比較しても30カ国中26位と、その数が非常に少ないことがわかります。、日本の病院数はG7のなかで最も多い一方で1病床あたりの医師数はアメリカの5分の1といわれ、勤務医が慢性的に不足しています。

先進国の中でも下から数えた方が早い医師数と、高齢化率では世界トップと最も高い水準にある日本。医師不足は、過重労働のひとつの原因となっているといえます。

高ストレス

人命にかかわることが仕事であり、他の業種よりも圧倒的に日々のストレスが多い医師。医師そのものの数が少ないことも重なり、積み重なるストレスの量は計り知れないものです。

株式会社医師のとも のアンケート調査では、9割の医師が仕事でストレスを感じていると回答しており、新型コロナウイルス感染拡大が与える影響も医師のストレスに直結していることが明らかです。

コロナ禍において医療の最前線で働く医師は、感染リスクと常に隣り合わせです。そうしたストレスはもちろんのこと、感染防止のための業務増加や行動制限などさまざまな課題を抱えていることも精神面に大きな影響を与えているといえます。

勤務環境

今回、働き方改革が施行される一番の理由となっているのが、医師の勤務環境の改善です。緊急対応、手術や外来対応等の延長に加え、事務作業などの業務移管(タスクシフティング)ができていないことも問題とされています。

患者の希望に沿い、患者の都合に合わせて動かなければならないため、医療サービスの過剰化は医師の時間外労働を生み出す要因ともなってしまっているのです。

新型コロナの対応への規制はどうなる?

新型コロナウイルス収束の兆しが一向に見えないなか、感染者の対応に関する規制はどうなるのでしょうか?

医師の「時間外労働の上限規制」に設けられた3つの水準のうち、救急医療など地域医療に必須となる医療機関を対象とした「B水準」があります。B水準では上限が年間1860時間以下となっているため、新型コロナ感染者の対応にも適用できる基準となっています。

ちなみに、現行の医療法ではB水準の対象となる医療機関が「5疾病・5事業および在宅医療」とされていますが、新型コロナウイルスのような新興・再興感染症の感染拡大に備え、2024年から「5疾病・6事業および在宅医療」に改めることが発表されました。5疾病・5事業および在宅医療の医療体制は、平成25年から地域の医療連携体制の構築として進められています。

・5疾病
がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患

・5事業
救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療(その他)

医師の働き方改革に向けてできること

2023年の「割増賃金率の引き上げ」、2024年の「時間外労働の上限規制」の適用に向けて、各医療機関は急ピッチで準備を進めなくてはなりません。ここでは、医師の働き方改革のために今からできることを挙げていきます。

勤務環境の整備

人口減少により医師の確保が困難を極めるなか、質の高い医療を提供するためには、医師の働き方を改善し勤務環境の整備を行うことが不可欠です。

平成26年に施行された改正医療法では、各医療機関がそれぞれの実態に合った形でPDCAサイクルを回す「勤務環境改善マネジメントシステム」が導入されました。ただし、これは任意の仕組みであるため、医療機関の積極的な取り組みが求められます。

医師の勤務環境を整えることで、医療の質の向上、経営の安定化、働きやすさの向上やビジョンの実現に繋げていきましょう。

健康支援

過酷な労働環境で働く医師たちは患者の健康を守る一方で、自身の健康はないがしろになりがちです。

厚生労働省によると、医療事故などの経験割合は、勤務時間が長くなるほど上昇します。過重労働による睡眠不足が原因となり、医療ミスが起こる可能性は十分にあるということです。

実際に、医師の最長連続勤務時間を見ると「32~36時間未満」が約4割、「36時間以上」が約2割と、6割以上の医師が32時間以上の連続勤務を経験していることがわかります。

このような勤務負担を軽減するためにも、医師の健康支援は今後欠かせないものとなります。政府主導の取り組みだけでなく、各医療機関が自主的に働きかけることで医師の健康状態を守ることに繋げることができます。

医師の働き方改革は労働環境の改善から

新型コロナウイルス感染者増により医療機関のひっ迫が叫ばれる今、医師の働き方改革への早急な対応が求められています。

過労により医師の健康状態が悪化しつづければ、医療の質や安全性の確保は難しくなってしまいます。そうしたリスクを回避するためにも、2023・2024年適用の法令に向けてしっかりと準備を行っていきましょう。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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