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建設業の2024年問題とは?労働時間の上限規制などの働き方改革を解説

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2021/05/18

2021/05/27

少子高齢化社会の影響により、労働者人口は減少し、さまざまな業界での人手不足に繋がっています。なかでも建設業界は、老朽化したインフラの維持管理やオリンピックに向けた整備なども重なり、さらに深刻になっているといわれています。

そうしたなか、2024年4月に控えた「働き方改革関連法」の適用。「時間外労働の上限」や「割増賃金率の増加」など、遵守しなければならない法令が増えることになります。

今回は、法令改正によって生じる建設業の2024年問題について解説し、建設業の従事者をより増やしていくために取り組むべき課題と今からできる改善策を紹介します。

建設業の2024年問題とは?

労働環境をより良くするための「働き方改革関連法」が2019年より順次施行されています。しかし、建設業界は、環境改善に時間がかかることから、5年間の猶予が与えられ、2024年の施行と先延ばしされました。

そのため建設業界では、2024年までに様々な改善のためにアクションを取らなくてはなりません。これを「建設業の2024年問題」と言います。

今後のEC市場の拡大による宅配需要の増加に備えて調整をする必要があることに加え、さらに法の適用が迫っているため、着実かつ迅速な整備をしなければなりません。具体的に、どのような法律が改正され、整備していかなければいけないか見ていきましょう。

①労働時間の上限規制

一番大きな変化は、2024年4月に猶予期限を迎える「労働時間の上限規制」です。建設業は長時間労働の常態化がなかなか改善されず、離職者数や求職者数に大きく影響を与えてしまっています。こうした状況を改善するために施行されるのが「時間外労働時間の上限規制」です。

働き方改革関連法の一つで、2019年4月から全産業を対象に段階的に改正された「労働関係法令」。このなかで、労働基準法による「時間外労働の上限規制」が適用となります。

労働基準法第32条で定められている一般的な労働時間は、下記の通りです。

・1日8時間まで(休憩時間1時間除く)
・1週間40時間まで

これを法定労働時間といい、超過した時間が「残業時間」です。今回の改正によって、今まで条文に明記されていなかった「月45時間、年360時間」の上限が罰則付きで法律に規定されます。

また、具体的な事由が必要とされますが、臨時的な事情かつ労働者と使用者双方が同意する場合(特別条項)には以下が上限となります。

■原則、月45時間かつ年360時間
■特別条項でも上回ることのできない上限
・年720時間以内(休日労働を含まない)
・時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
・2カ月平均、3カ月平均、…6カ月平均が全て単1月当たり80時間以内(休日労働を含む)
・時間外労働が月45時間を超過できる月は年6回まで

出典:国土交通省

ただし、特別条項の有無にかかわらず1年を通して「時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満かつ2~6カ月の各平均が80時間以内」にしなければなりませんので、注意しましょう。

災害復旧や復興事業に従事する場合は例外

2024年4月から適用となる上限規制ですが、建設業界の「災害の復旧・復興の事業」においては以下の上限規制は適用されません

・時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満
・2~6カ⽉の各平均が80時間以内

上限規制のうち、
・年720時間以内(休日労働を含まない)
・時間外労働が月45時間を超過できるのは年6カ月まで

これらは罰金の対象ですので、遵守しなければなりません。

②正規・非正規社員の同一労働同一賃金

2020年4月から大企業で、2021年4月から中小企業で適用されている「同一労働同一賃金」も2024年4月から適用対象となります。

同一労働同一賃金とは、正社員や非正規雇用労働者といった雇用形態に関係なく、同じ職場で同じ仕事内容に従事している従業員に対して同一の賃金を支払うという考え方のことです。

運送業で支給される手当(無事故手当、皆勤手当、作業手当、通勤手当、家族手当など)を正規・非正規に関わらず支給しなければならないため、各種手当について見直しが必要です。現状では、明確なガイドラインが設けられていないため、賃金改定をする際には注意が必要でしょう。

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③月60時間超の時間外割増賃金率引上げ

「時間外労働の割増賃金率引き上げ」は2023年からの適用ではありますが、上記の2つと共に早め早めの整備が必要となります。中小企業を対象に2023年4月から、月60時間超の時間外労働への割増賃金率が25%→50%へと引き上げられます。

なお、割増賃金となるのは時間外労働のみで、休日労働(35%)と深夜労働(25%)の割増賃金率に変更はありません。

月60時間までの時間外労働については割増賃金率25%で構いませんが、一人当たりの人件費が格段にアップするため、十分注意する必要があります。

建設業界が抱えている課題

長時間労働

建設業界で解決しなければならない、常態化する長時間労働の問題。2024年まで働き方改革関連法の適用が猶予された背景には、建設業界が抱える課題がありました。

出典:国土交通省

国土交通省「建設業における働き方改革」を見ると、製造業や調査産業計と比べ、建設業の年間実労働時間は100時間以上もオーバーしていることがわかります。この圧倒的な数字からも、建設業界の労働時間が長時間に及んでいることが容易に想像できます。

とりわけ建設業界の中でも、多くを占める中小企業・下請け企業では短納期の発注に追われることも少なくありません。他産業では当たり前となっている週休2日をとれているのはなんと1割以下。休日返上で働かなければ間に合わない、切迫した状況下に置かれています。

出典:国土交通省

短納期であるにも関わらず品質が落ちることは許されないため、予定外の残業が多くなるのも避けられない事態となっています。

深刻な人手不足

建設業の人手不足が深刻な理由として、求人需要がある一方で就業者数が減少していることが挙げられます。

国土交通省のデータによれば、有効求人倍率が上昇し求人ニーズがあるものの、求職者は大幅に減少。4倍を超える有効求人倍率がありながら、建設業界で求職する労働者の数は40万人にも満たないのです。

出典:国土交通省

また、他産業よりも高い離職率も大きな問題となっています。年々改善の兆しをみせるものの、特に就労1年目の離職者数が最も多い結果が出ています。

建設業界の就業者数は1997年のピーク時点で約685万人、2017年では約498万人と年々減少傾向にあるため、入職を促進しなければならない状況です。

高齢化と減少する次世代の担い手

建設業では就業者数減少しているだけでなく、就業者の高齢化も深刻です。下記データによると、全体の60%が60歳以上の技術者であり、約4分の1を占めているといいます。建設業界を担うであろう29歳以下の割合は約10%程度しかありません。

出典:国土交通省

今から10年後には大半の就業者が引退することが見込まれるため、若年層の就業者を確保し技術を継承していくことが喫緊の課題となっているのです。

建設業の働き方改革を実現するために

建設業界の企業が人手不足倒産することもしばしば。では、今後どのようにして建設業界のイメージをアップさせ、人材を確保していけばよいのでしょうか。

ここでは、企業がこれから人材確保のためにできる対策をまとめています。

対策①:適切な給与体系の構築

建設業界の賃金は近年上昇傾向にありますが、製造業と比べて1割程度低い賃金水準となっています。また、賃金水準のピークも40代前半で迎えていることから、現場の管理・後進の指導等のスキルが評価されていない可能性があると言われています。

そのため、若年層の流入を目指すのであれば、技能や経験に見合った給与体系を構築する必要があるでしょう。建築業界では日給制が多いといわれていますが、労働者が安心して働くためには月給制を導入するのもひとつの手です。

対策②:イメージアップし女性活躍促進

人材確保のために若年層の入職や女性活躍を促進するには、建設業に付きまとう「3K」のイメージを払拭する必要があります。

実は、2020年から国土交通省が主体となり「建設産業における女性の定着促進に向けた取組」が実施されています。工場の現場に更衣室やトイレを設置したり、フレックスタイム制を導入したりなど男女問わず「働きがい」と「働きやすさ」を両立できる環境を作るための整備が進んでいます。

また、「えるぼし」「くるみん」の取得に向けた取り組みを政府が推進しているため、女性に選ばれる建設産業を目指し動いてみてはいかがでしょうか。

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対策③:職場環境の改善

より多くの就業者数を増やすためには、今ある環境の改善も欠かせません。法改正に順じて長時間労働の是正をするだけでなく、これからの建設業界を担う人材に選ばれるような魅力のある職場にする必要があります。

例えば、働きやすい職場環境の整備のために福利厚生を充実させるのも一つの手です。住宅手当や通勤手当、食事補助などの法定外福利厚生のサポートなどが挙げられます。

また、就業後にもさらにスキルアップを目指せるような仕組み作りも人材確保に大きく貢献するでしょう。職場外での技術・技能向上や資格取得の支援を行うことで、従業員満足度の向上も期待できます。

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働き続けられる環境づくりから始めよう

建設業界は、常態化する長時間労働や人材の高齢化などの喫緊の課題を抱えています。法令改正を前にして人材不足の波をどのように乗り越えていくか、企業側の工夫が必要となってきます。

若手世代の獲得や女性活躍を促進する政府の動きもあるため、まずは雇用側が建設従事者の環境を整え、法に準じた運用をしていくことから始めてみましょう。

執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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