社員寮の規則と運営方法とは?規定に入る事項と策定のポイントについて解説

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    人材獲得競争が激しくなるなか、家賃を一定額まで補助する住宅手当や、住まい自体を提供する社員寮は、求職者が重視するポイントのひとつとなっています。新入社員の働きやすさに直結する「住居」は欠かせない準備のひとつであり、入居した従業員に規律を守ってもらうことは、整った社内環境のためにも必要です。

    この記事では、「社員寮」における規定の内容や策定のポイント、参考となる事例を解説をします。社員寮の規則を考えるときの参考にしてください。

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    社員寮とは?

    社員寮とは、企業が福利厚生のひとつとして従業員に提供する居住施設を指します。一般的に入寮できる対象の従業員は、オフィスから遠方に実家がある独身従業員と、転勤などの事情で家族と離れて暮らす単身赴任者です。

    本記事では社員寮の規則と運営方法を、参考例をあわせて紹介します。

    社員寮は法律の適応外で規定をつくる必要あり

    社員寮には法律による定めがありません。とはいえ社員寮のルールを定めないと、寮内の風紀が乱れるだけでなく、トラブルも発生が多くなるのは言うまでもありません。だからこそ、規定をつくって社員寮を運営したいものです。

    入寮する従業員が安心して寮生活を送るためにも、社員寮に入れる期間や条件、ルールなどを定める必要があります。

    社員寮の種類

    社員寮の主な種類を4つ解説します。

    独身寮

    独身寮とは、その名の通り独身の従業員に向けた寮のことです。若手従業員が長期的に安定して働き続けられるように独身寮を設けているケースがあります。

    それぞれの部屋のほかに、大浴場や洗濯室、食堂などの共用スペースを設けている独身寮もあります。自分で住まいを探して借りるよりも、独身寮は格安で借りられるので、その分を貯金に回せるのが独身寮に住むメリットといえるでしょう。

    単身赴任寮

    単身赴任寮とは、家族と離れて暮らす単身者向けに提供する寮です。転勤を命じられても子どもの就学などの事情で家族が一緒に転居できない場合、企業は単身赴任寮を提供します。企業によっては、単身赴任寮と独身寮を同じ建物にしているケースもあります。

    単身赴任寮も独身寮と同じように家賃が安いので、生活費をあまり圧迫せず、家計の負担が軽くなることが一般的です。入居の手配を人事が対応してくれるので、多忙な従業員にとっては何かと助かるでしょう。

    社有社宅

    社有社宅とは、企業が所有する社宅を指します。配偶者や子どもと一緒に居住できるのが、独身寮や単身赴任寮と異なる点です。

    借り上げ社宅

    借り上げ社宅は、企業が賃貸物件を契約して従業員に貸し出す住宅のことです。企業が家賃の一定額を負担するケースが多く、従業員の経済的負担を減らせることが多いです。

    社員寮の規定にいれる事項

    企業側が社員寮を運営するときは、入寮する従業員が安心して生活できるよう、寮規定を定めることが必要不可欠です。ここでは、寮規定の内容として入れる事項を例として9つ紹介します。

    入寮に関する事項

    年齢など入寮できる資格や入寮手続きの流れについて決めておきます。寮生活があまりにも長いと、人間関係の形成という目的からズレてしまう理由などから、「入社して2年まで」といった期限を定める企業があります。

    また、入寮が認められても入居しない従業員がいることも想定し、「何日以内に入寮する」というルールも定めておきましょう。「入寮しなくてはいけない」と定めておくのも良いでしょう。

    退寮に関する事項

    退寮に関する条件や流れについて定めておきましょう。退寮する条件の例には「部屋の無断改装や喫煙などの規則違反をした」「結婚した」「退職した」「入寮期間が一定の年月が経過した」などがあります。

    結婚や退職、入寮期間満了による退寮は、事前に決定している事項です。退寮予定の1カ月前に申請するといった規則を定めておくと、手続きがスムーズです。

    寮費

    入寮や退寮の規定だけなく、寮費の詳細やルールも忘れずに決めておきましょう。

    寮費の内訳は家賃や光熱費だけでなく、修繕費や食費(※食事が提供される場合)、駐車場代(※車で通勤する場合)も含まれていることが一般的なので、対象の従業員に説明します。共用施設や寮内の備品を壊した際に、修繕費を全額もしくは一部弁償する必要がある場合は、その旨を伝えておきましょう。

    寮費の支払い方法は基本的に給与天引きとなるので、規定に入れておくのが必須です。入寮する従業員に規定をチェックするよう促しましょう。

    管理体制

    入寮者が生活しやすいように、寮の共用部のメンテナンスや清掃、窓口の業務をはじめとする管理体制を明確にしておきましょう。

    管理人を配置するときは、業務内容や稼働曜日や時間も決めておきます。管理人を配置しない場合や管理人がいても清掃業務が業務範囲外の場合は、共用部の清掃を入寮者が当番で運営しなければならないので、ルールを設けましょう。

    遵守事項

    社員寮における遵守事項は多岐にわたり、寮の規模によって異なります。主な遵守事項の例は次の3つです。

    整理整頓とクリンネス

    寮で快適かつ安全に生活するためには、共用物を整理整頓したり、掃除したりして清潔に保つことが必要不可欠です。例えば、洗面所の水回りを拭く、シューズクローゼットを整理するといったことを意識すると、生活環境の向上につながります。

    共同生活のマナー

    各部屋の生活音やテレビといった騒音や、不在時の施錠などをルールとして定めましょう。

    外泊

    出張や帰省などで外泊をすることもあります。入寮者が混乱しないよう、申請方法などを明文化しましょう。

    門限

    社員寮の門限を設ける場合、時間だけでなく、門限に間に合わない場合のルールも考える必要があります。プライベートの外出で門限を過ぎる帰宅が多い従業員がいる場合の対応も明確にしておきましょう。

    部外者の立ち入り

    社員寮に出入りする家族や友人などの部外者に関しては、面会できる曜日や時間を決めておきましょう。加えて、申請の有無についても考える必要があります。女性寮の場合、男性の立ち入りができない規則を設けていることもあるため、面会の線引きを定めておきましょう。

    禁止事項

    社員寮は複数の従業員が同じ建物で生活をしています。入寮者が快適に生活できるよう禁止事項を定めることも必要です。禁止事項には以下のような例があります。

    • 共有スペースでの政治および宗教活動
    • ペットの飼育
    • 部屋の無断改装
    • 部屋での火気使用条件(喫煙禁止、ガスコンロを使うときは換気をするなど)
    • 食事の有無

    食堂が併設されている社員寮の場合は、食堂の運営時間のほかにも外食や帰省などで食事が不要となる場合の申請ルールを決めておきましょう。従業員の食費の負担額については、会社が全額負担するのか、一部補助するのかを明確にします。

    社員寮の規則の策定ポイント

    社員寮の規則を定めるには、ここで紹介する策定ポイントを知っておきましょう。

    社員寮の目的を考える

    社員寮を設ける場合、その目的を考えることが必要です。企業の規模や方針などによって目的は異なりますが、定めた目的が達成できるような規則になっているかを確認しましょう。また、規約の内容を定期的に見直すことも有用です。

    入寮者に対し、過干渉にならない

    入寮者に対して行き過ぎた対応をしていると、社員寮の生活が苦痛になり、普段の業務に影響を及ぼすかもしれません。社員寮のルールを最低限設けることは必要ですが、入寮者に判断を任せる範囲を設けることも必要です。

    社員寮の規則に関する参考例

    社員寮の規則が実際にどうなっているのか、知りたい方もいるでしょう。そんなときにチェックしておきたいのが、テンプレートです。ここでは、規則を考えるときに参考になるサイトを紹介します。

    タカヤ社会保険労務士事務所|人事労務の情報配信に強み

    青森県黒石市の「タカヤ社会保険労務士事務所」では、人事労務に役立つ情報を提供しています。「社宅管理規程」でサンプルを公開しているので、規定を作成する際に参考になるでしょう。

    (参照:タカヤ社会保険労務士事務所「社内様式文例集(https://www.office-takaya.com/pdf/03/form03_01.html)」『タカヤ社会保険労務士事務所』、参照日:2024/5/8)

    適切な事項と策定ポイントを考えた上で社員寮の規定の運営に踏み出そう

    社員寮は同じ建物で複数の従業員が生活をしているので、気持ち良く生活できるようにしたいものです。入寮者が満足して生活できるようにするには、社員寮の運営方法を決め、規則の策定ポイントをしっかりと把握しておきましょう。

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