
通勤交通費は、通常“通勤手当”として給与と一緒に支払われるケースが一般的ですが、実は労働基準法には通勤手当に関する規則は設けられていません。そのため、企業は従業員に通勤交通費を支払う義務はなく、またその支給基準や上限額の設定も各企業に一任されています。本記事では、通勤交通費と税金に関するトピックを中心に解説していきます。
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非課税となる通勤交通費とは?
会社から支給される通勤手当がいくらまで非課税扱いとなるのか、ご存じですか。冒頭で述べたように、通勤手当は各企業が独自で支給基準や限度額を取り決めているため、知らぬ間に課税されていたということも起こり得ます。この機会に、政令で定められている通勤手当の非課税限度額を把握しましょう。
通勤手当の非課税限度額 まず前提に、非課税限度額は税制の改正によって変動します。直近では、平成26年と平成28年に限度額や条件などの改正が行われました。今後も再び改正が行われることは確実なため、国税庁がホームページなどで発表している最新の情報を確認するようにしてください。今回は、2020年1月現在適用されている平成28年改正時の限度額を参考に紹介していきます。
非課税交通費が適用される通勤パターン
非課税交通費が適用される通勤パターンは、以下のように分類されています
1. 公共交通機関を利用するが定期乗車券を購入せずに通勤する/高速道路を利用して通勤する
2. 自転車や自動車などの交通用具を利用して通勤する
3. 公共交通機関の定期乗車券を購入して通勤する
4. 公共交通機関(1・3)、または高速道路(1)を利用するほかに自転車や自動車などの交通 用具(2)も利用して通勤する
以下で、さらに分かりやすく解説します。
電車・バス通勤の場合(1・3)
電車やバス通勤の場合は、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」に限り、1ヶ月当たり15万円まで非課税となります。
マイカー・バイク・自転車通勤の場合(1・2)
マイカーやバイク、自転車通勤の場合は、片道の通勤距離に応じて1ヶ月あたりの非課税限度額が定められています。しかし、この通勤手段は企業によって通勤手当の支給基準に差異が見られやすいため、あくまで非課税限度額の参考として確認ください。
通勤距離が片道2km未満……全額課税
通勤距離が片道2km以上10km未満……4,200円
通勤距離が片道10km以上15km未満……7,100円
通勤距離が片道15km以上25km未満……12,900円
通勤距離が片道25km以上35km未満……18,700円
通勤距離が片道35km以上45km未満……24,400円
通勤距離が片道45km以上55km未満……28,000円
通勤距離が片道55km以上……31,600円
また、高速道路を利用する場合は、こちらも「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」に限り、1ヶ月当たり15万円までが非課税扱いとなります。
電車・バス通勤とマイカー・バイク・自転車通勤の両方の場合(4)
公共交通機関と交通用具のいずれも通勤手段として利用する場合は、上記の片道通勤距離に応じた金額と、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」の公共交通機関運賃(または定期乗車券代)、あるいは高速道路料金の合計金額15万円まで(1ヶ月当たり)が非課税となります。
通勤交通費が非課税にならないケース
注意点としては、新幹線通勤時の運賃や定期乗車券代も1ヶ月当たり15万円までであれば非課税扱いとなるものの、グリーン料金は課税対象となること。また、マイカーやバイク通勤時に掛かる駐車場代についても通勤手当として支給が認められている場合、この料金は全額課税対象となります。
そのほか、緊急時の対応など条件によって、通勤時のタクシー代支給が認められている場合は、通勤手当にタクシー代は含めず、会社負担の立替費用として精算するのが適切です。
通勤パターン別の具体例
それでは、上記の限度額を参考に、いくつかの通勤パターンによる具体例をみていきましょう。
※以下に展開する通勤手当支給額例は、駐車場代や高速道路料金も負担することを前提に、一定の支給基準を設けている企業と仮定した場合の金額になります。
バス+電車通勤の場合
自宅~最寄りのバス停:徒歩
自宅最寄りのバス停~A駅前のバス停:バス(1ヶ月の定期乗車券代7,000円)
A駅~B駅:電車(1ヶ月の定期乗車券代9,000円)
B駅~会社:徒歩
通勤手当支給額:16,000円
課税分類:バス定期代7,000円(非課税)+電車定期代9,000円(非課税)
バイク+電車通勤の場合
自宅~最寄りのA駅駐車場(4km):バイク(月極駐車場代4,000円)
A駅~B駅:電車(1ヶ月の定期乗車券代14,800円)
B駅~会社:徒歩
通勤手当支給額:25,000円
課税分類:バイク走行距離にかかる手当4,200円(非課税)+駐車場代4,000円(課税)+電車定期代14,800円(非課税)+余剰分2,000円(課税)
自動車(高速道路利用あり)の場合
自宅~会社(30km):自動車(高速道路料金1,000円)
通勤手当支給額:50,000円
内訳:自動車走行距離にかかる手当18,700円(非課税)+高速道路料金(往復15営業日分)30,000円(非課税)+余剰分300円(※非課税)
※残りの営業日分の高速料金は実費負担になるため、この場合の余剰分は非課税扱いとなる。
通勤交通費の消費税について
先述した通勤費の非課税限度額に消費税は含まれるのか、また企業側としては交通費を課税仕入れにするかどうかで判断に悩むことがあるかもしれません。それぞれ詳しく解説していきます。
非課税限度額に消費税は含まれる?
公共交通機関の運賃や定期乗車券代、また高速道路の料金は、消費税を含めて計上します。1ヶ月に掛かる運賃や高速料金を消費税込みで計算した際、限度額を超える場合には、超過分の金額が課税対象となります。
通勤交通費は課税仕入れとなる?
結論から言うと、通勤交通費は全額“課税仕入れ”となります。その理由は、通勤手当は実費を弁償するものであり、その支給によって給与所得者が利益を受けることはないと考えられるためです(所得税法施行令20条の2)。よって、通勤交通費は消費税には関係ないと言えます。
通勤交通費込みでの給与は課税対象になる?
一方で、従業員に“通勤交通費を含めた給与”を支給している企業もあります。派遣社員やアルバイトの給与支払いに、しばしば採用されている形態です。この場合、税金の扱いはどのようになるのでしょうか。
ポイントは給与と通勤交通費が“区分”されているかどうか
先ほど紹介した非課税限度額が適用されるのは、“通常の給与に加算して受ける通勤手当”が対象となるため、給与に通勤交通費を含める場合、給与と手当てが区分されていないことから、非課税限度額は適用されません。
つまり、通勤交通費込みの給与で勤務することになった際、たとえ自宅と会社間の通勤費が非課税限度額以内であったとしても、通勤費は実質課税対象となります。。
社会保険料の算定に通勤交通費は含める?
ここまで非課税対象となる通勤交通費と、課税対象となる通勤交通費について解説してきました。最後に、社会保険料の算定に通勤交通費は含まれるのか、解説していきます。
社会保険料の計算に通勤交通費は一律含まれる
社会保険料の算定には、通勤交通費込みの給与を支給されている方はもちろん、非課税限度額以内に収めている方も通勤交通費(通勤手当)を計算に含める必要があります。
その根拠となるのが、厚生年金保険法 第三条で示されている以下の定義により、通勤手当も「労働の対償として受ける」ものと判断されることから、通勤交通費も“報酬”に含められるという点にあります。
「報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。」
参照:厚生年金保険法
非課税通勤手当は、あくまで所得税が課税対象外となり、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料には含まれるのです。
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