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職場での「燃え尽き症候群」を未然に防ぐ!原因や対策を解説

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2021/01/19

2021/03/30

厳しい労働環境が強いられるストレス社会で、近年よく耳にするようになった「燃え尽き症候群」は、働く人ならおそらくだれにでも起こりうる可能性がある症候群です。また、この燃え尽き症候群は、企業内だけに限った話ではなく、現代社会の大きな問題にもなってきています。

従業員が仕事に情熱を注いでいたにもかかわらず、知らず知らずのうちに心身ともに疲労困憊して辞職を申し出ることにならないように、その特徴や原因そして対処方法をしっかりチェックしておきましょう。

身近に潜む「燃え尽き症候群」

燃え尽き症候群は基本的に薬などで治癒するような“病気”ではなく、燃え尽き症候群を引き起こした原因や傾向を探って根本的に解決することが必要な“症状”であるため、燃え尽き症候群に関する知識を深めていくことが不可欠になります。

それでは、燃え尽き症候群はどういったものなのか、特徴・原因・症状や対策を具体的に見ていきましょう。

燃え尽き症候群とは何?

燃え尽き症候群は、一生懸命頑張って働く人にかかりやすい“メンタルの不調”の一種。別名で「バーンアウト」と呼ばれています。今まで仕事に精力的に取り組んでいた人がその名称の通り“燃え尽きてしまう”ように、仕事への情熱や気力がなくなってしまう状態です。

自分自身で気が付かないうちに心身ともに負担がかかっていて、気が付くとある日突然燃え尽きてしまっていたということも少なくありません。

症状が重い場合は、離職という最悪のケースを取らざるを得ない場合もあるので、企業では従業員の燃え尽き症候群を未然に防ぐための予防や改善対策も大きな課題となっています。

燃え尽き症候群の定義

この燃え尽き症候群は、1974年にアメリカの精神心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが初めて用いた「バーンアウトシンドローム」という造語から来ており、日本語では「燃え尽き症候群」と呼ばれるようになりました。それから約半世紀に渡り、この症候群をどのように定義するべきか医学界では論争が激しく続いていました。

このような中、2019年5月、WHO(世界保健機構)が「国際疫病分類」の最新版ICD-11に燃え尽き症候群を盛り込んだところ、燃え尽き症候群が“病気”と認定されたと誤って受け止められました。

これに対し、WHOは直ちに「燃え尽き症候群がICD-11に記載された理由に、『燃え尽き症候群は、“職業上の現象”としてであって、“医療上の病気”ではない』」という訂正の声明を出したハプニングがありました。

つまり、燃え尽き症候群は、『職場での慢性的なストレスに起因すると解釈される症候群』と定義されたのです。

WHOがようやくこの燃え尽き症候群の指針作りに着手し始めたばかりの状態ですが、企業をはじめとする多くの社会組織では、この燃え尽き症候群をどのように対応し取り組めばよいか、その実態をまだよく解っていないのが現状です。

参考:Burn-out an “occupational phenomenon”: International Classification of diseases WHO ICD-11

燃え尽き症候群とうつ病の違い

燃え尽き症候群に類似した、心の病気で取り上げられることの多い精神疾患に「うつ病」があります。この2つはよく混同されがちですが、違いがあります。

それではどのような違いがあるのか、それぞれの特徴と原因を分かりやすく述べてみましょう。

燃え尽き症候群とうつ病の症状の特徴

【燃え尽き症候群】

・やる気が出ない
・自律神経の乱れによる症状
・偏頭痛やめまいがする
・思考回路の低下や停止
・気持ちがふさぎ込む
・行動力の低下
・周りから浮いていると感じる

【うつ病】

・憂鬱な気分におちいる
・幸せや楽しい気分を感じなくなる
・自分を全否定したり、責めたりなど罰してしまう
・口数が少なくなり、いらいらしがちになる
・遅刻、欠勤が増える
・朝や休日明けに不調を訴える

このように、うつ病は燃え尽き症候群の特徴に非常に似ていますが、症状が燃え尽き症候群よりも重くなっていることがうかがえます。

燃え尽き症候群とうつ病の原因

【燃え尽き症候群】

燃え尽き症候群になる原因としては、業務へ過剰に心的なエネルギーが注がれ続けることで、疲労やストレスが慢性的に蓄積され、その結果、疲労やストレスが解消されずに限界を超えてしまうことにあります。

燃え尽き症候群の発症のリスク要因としてあげられるものには、大きな2つの要因があります。

①個人要因
ひたむきに仕事へ取組み、自分以外の人のために頑張り過ぎる人ほど、燃え尽き症候群になり易い傾向にあります。

また、若年層や経験が浅い人ほど仕事に対する理想と自分の置かれている現状との狭間やギャップに苦しんで、燃え尽き症候群になりがちだと言われています。

②環境要因
人手不足という現代の日本が抱える深刻な問題にも関わってきますが、仕事場の勤務時間が長くなったことやノルマが厳しいことなども、燃え尽き症候群を引き起こす要因となっています。

医療や介護の人と深くかかわることの多い職場では、患者やその家族との生活やパーソナリティーまで理解をしなければならないこともあるため、メンタル面や勤務時間面で過剰な負担を引き起こしがちです。

また、仕事の現状が給与を含む評価に見合っていないときや、重いノルマを達成できなかったときのペナルティの重圧で精神的にストレスを極度に抱えてしまう営業職なども陥りがちな傾向にあります。

つまり、燃え尽き症候群は心理的・身体的負担が過剰になった時に、顕著に症状として表れてくるのです。

【うつ病】

うつ病の原因は元来ある性格や考え方の傾向や環境による原因の他に、脳内などにある分泌物の変化にも関係していると言われています。その発症メカニズムについては、未だはっきりしたことは医学的に分かっていませんが、これまでの研究によると、脳内で感情をコントロールしている脳内の神経伝達物質のバランスが崩れてしまうことが原因のひとつだと考えられています。

このようにうつ病は燃え尽き症候群と同じく、環境要因(環境の大きな変化やストレスなど)などにも深くかかわっていることが分かりました。うつ病などの深刻な病へと悪化させないためにも、兆候としての燃え尽き症候群の状態を放置しておかないように注意していかなければなりません。

燃え尽き症候群になるとでてくる症状とは?

燃え尽き症候群になると、仕事中のみならずアフターファイブのプライベートな時間でも症状が現れてきます。

燃え尽き症候群は、「Maslach Burnout Inventory (MBI)」で具体的に3つの症状として定義されており、その症状はそれぞれに複雑に絡み合っています。

情緒的消耗感

会社では、上司・同僚・外部などの仕事がらみの人間関係が必ず存在します。お互いのコミュニケーションを進めていく中で、仕事そのもの以外の気配りや配慮などの情緒的なエネルギーをかなり消耗します。この情緒的エネルギーは、過度に消耗されると心身に大きな負担がかかります。

医療や介護などヒューマンサービスが必要とされる職場はもちろんのこと、一般の職種でもヒューマンサービスを求められる仕事に従事している従業員は、燃え尽き症候群の症状が現れるケースがあります。

脱人格化

上記で述べた情緒的消耗感が進むと、情緒的エネルギーが減少するため、生理的な防衛反応として対人関係において、相手の人格を考慮しない対応(思いやりや配慮がなくなる、事務的に割り切った対応になる、訳の分からない言葉で威圧するなど)が見られるようになります。

燃え尽き症候群になっているかもしれないと疑われる従業員の言動が、以前のものと比べどんな形へ変化したのか確認していくことも大切です。

個人的達成感の低下

医療や介護など人へ従事する分野では、対人の情緒的な対応が多く求められます。そのため情緒的消耗感や脱人格化が起きると仕事での資質低下を引き起こし、それが個人の達成感や成果に直結しまいがちなので、結果として自信を無くしたり仕事へのやりがいを失ったりすることもあります。

高いサービスで評価されていた従業員も、周りからの評価が下がってしまうことなどで落ち込みを感じたりします。その結果、自己肯定感の低下などで、個人的達成感も著しく低下させてしまいます。

このように、燃え尽き症候群は多面的な症状がお互いに影響し合っているのです。

参考:日本労働研究雑誌№558「バーンアウト(燃え尽き症候群)ヒューマンサービス職のストレス

燃え尽き症候群になりやすい人の特徴

人生の大きな転機やプロジェクトを達成し一区切りついた頃に起こりやすい燃え尽き症候群は、一体どのような人がなりやすい傾向にあるのか、見ていきましょう。

燃え尽き症候群になりやすい人には、一般的に見て「まじめ」「責任感が強い」「頑張り屋」な人が多く、当の本人はあまり自覚していないことがあります。

性格

・真面目な人
・完璧主義者
・物事にのめり込んでしまう人
・責任感が強すぎで人に任せることができない人
・自分を許すことができず、厳しい人

このように見てみると、自分の中に常に緊張の糸が張りっぱなしの状態なことがわかります。この緊張の糸が切れた時、燃え尽き症候群に陥りやすいという傾向にあります。

職業

・医療や福祉での従事者
・専業主婦
・技術、専門職の人
・スポーツ選手
・受験生
など職業柄、人の世話に直接また深く関わる仕事が多い傾向がみられます。

会社の従業員に燃え尽き症候群の兆候が見受けられるようであれば、症状がさらに進み深刻な状況に陥る前に適切な処置が受けられるように、予防や対策が必要です。

普段から従業員が日頃からこのような症状が現れてないかどうか、会社の人事も『燃え尽き症候群のセルフチェック』などを実施しておくとよいでしょう。

社員が燃え尽き症候群になってしまった場合の対策

もし従業員が燃え尽き症候群になってしまったら、会社の人事担当者は速やかに対応を行わなければなりません。燃え尽き症候群の症状が悪化する前に適切な対策を練ることで、従業員が抱える問題の深刻化を防ぐことができます。

そこで、会社が取るべき対策とは何かを具体的に述べてみましょう。

職場復帰支援

もし燃え尽き症候群の症状が悪化し、休職せざるを得なくなった場合でも、企業は職場復帰支援を行いましょう。

まずは産業医などと連携して、症状を改善するための治療を行い、医師の判断で職場に復帰できるようになったら、職場復帰後の計画を立てていきます。この時、当該の従業員とその家族、産業医・会社の管理監督者・人事担当者間で、しっかり職場復帰できる状態であるかをきちんと話し合った上で、復帰を決めていきましょう。

職場復帰後のお試し出勤制度

燃え尽き症候群を以前に起こしたことのある従業員は、従前の通り会社に通勤し業務をこなすことも恐怖に感じることがあります。

いきなり完全な状態で復帰することが難しい場合は、お試し出勤制度を導入して徐々に職場復帰になれていってもらいましょう。

当該従業員の不安を軽減するだけでなく、会社の同じ部署の人たちも、燃え尽き症候群で復帰する従業員をどのような形で受け入れていくのか、改めて一緒に考えていく良いきかっけにもなります。

このお試し出勤制度には、下記のような種類があります。

通勤訓練

以前は当たり前だった通勤も、燃え尽き症候群によって会社までの経路が恐怖と感じパニックを起こすこともあります。まずは、通勤経路にある職場近くにあるカフェなどで過ごすことで体と心を慣らしていく訓練です。

模擬出勤

会社で働く時間帯に会社ではなくリハビリ施設や図書館で働くという方法です。燃え尽き症候群で生活リズムが乱れている従業員も、徐々に体を慣らし仕事リズムに慣れていくことができます。

お試し出勤

会社まで普通に来ることができるようになった後は、いよいよ仕事の復帰です。しかしながら、一気に復帰させるのではなく、様子を見ながら業務量を軽減したりなど、職場復帰に向けて徐々に通常通りの仕事量に戻していく方法があります。

このように会社はいきなり職場復帰させるのではなく、様子を見ながら慎重に調整していくことが大切です。

職場復帰後のバックアップ

時間をかけ職場復帰できた後も、また燃え尽き症候群を起こさないための配慮が企業は必要です。

燃え尽き症候群が個人要因の場合は、当該の従業員がまた燃え尽きないような業務に改善をしていく必要があります。

もし環境要因だった場合は、会社や部署の抜本的な改善が求められます。業務内容の見直しだけでなく、部署の配置転換や復帰後のケア、そして次の燃え尽き症候群該当者を発生させないための予防策も練らなければいけません。

企業での燃え尽き症候群の取組み

燃え尽き症候群は、厳しい環境を生き抜かなければならない現代においては誰にも起こりうる深刻な問題です。

一番大切なことは、燃え尽き症候群を未然に防ぐことですが、もし起こった場合でも、従業員が心身ともに健全な元の仕事状態に戻れるように、精神面のケアの管理やバックアップだけでなく、企業全体の働き方や労働環境の見直しをしていくことが大切となっていくでしょう。

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Writer 執筆者

おかんの給湯室編集部