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【弁護士が解説】ニューノーマル時代に押さえるべき労務管理のポイント!

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リモートワークが急速に拡大した2020年、ニューノーマルな働き方へのシフトが求められた年となりました。それに伴い、社内規定の整備や電子契約書の導入など、対応に追われた企業も多かったのではないでしょうか?

そこで今回は、株式会社OKANで実施したオンラインセミナー「ニューノーマル時代に押さえるべき労務管理と従業員支援のポイント」をもとに、抑えておきたいポイントを前編・後編に分けてお届けいたします。

前編は、現役の弁護士 西尾公伸氏による、テレワークの課題解決法、労働条件通知書の電子化などを解説します。

後編:OKANの事例で語る!ニューノーマル時代に押さえるべき従業員支援のポイント

コロナ禍で増えた労務相談

コロナの流行によって、急激に導入が進んだテレワーク。法律事務所オーセンスでは、その拡大に伴い、3つの相談が増えました。

①テレワークに関する相談
②電子契約の導入に関する相談
③人員整理に関する相談

①テレワークに関する相談

相談内容

・労働時間の把握
・通信費や情報通信機器などの費用負担
・情報セキュリティの確保
・業績評価、人事労務管理等の取り扱い

具体例

「テレワークで労働時間をどう把握したらよいか」
「テレワークでさぼっているかもしれない」
「在宅勤務が増えたことで電気代が上がったが、会社負担とならないのか」

テレワークで労働時間を可視化しづらい分、労務管理の難易度が高まります。また、在宅の時間が増えたことにより、通信費用などの費用負担についても質問が多くありました。今は自宅以外で作業をする方も増えているので、情報セキュリティマネジメントも必要となります。

②電子契約の導入に関する相談

相談内容

・電子契約の法的有効性
・電子契約の証拠力
・労働条件通知書や労働契約書のペーパーレス化(電子化)を進める際の注意点

具体例

「電子契約を導入するにあたって社内規定を整理したい」

オフィスへの出社を控えたことで、電子化への転換も増えました。なかでも、労働条件通知書や労働契約書の電子化を検討している企業が増えています。しかし、従業員本人の意思を尊重する必要も出てくるので、十分な検討と相談が必要となります。

③人員整理に関する相談

相談内容

・退職勧奨の適切な進め方
・解雇の法的要件
・裁判手続きの対応

具体例

「業績悪化により、人員削減をせざるを得ない」
「解雇した社員から訴えられてしまった」

コロナ禍の悪影響が重なり、仕方なく人員削減に踏み込まざるを得ない企業も多々見受けられます。昨今の状況から見て、社員の解雇手続きを進めながら、万が一の場合の裁判にも企業は備えておく必要があるといえるでしょう。

【弁護士が回答】テレワークにおける労務管理

ここでは、先ほどのコロナ禍で増えた相談を踏まえ、「在宅環境下の労務管理」に関する疑問に対して、西尾弁護士からの回答を紹介します。

労働時間の把握

Q.「テレワーク環境下で、労働時間の把握はどのように行えばよい?」

A. コロナ禍の中、企業が従業員の労働時間を現認することは非常に難しいことです。そのため、勤怠管理ツールの導入やPC使用時間の記録確認を行うなど、出社・退社時間の記録方法の見直しを行う必要があるといえます。

そもそも、労働時間の把握は、「原則、使用者が直接現認できないのであれば、客観的な記録を基礎として確認する必要がある」とされています。そのため、企業側は「直接現認」あるいは「客観的な記録の確認」が労働時間の管理上の義務として要請されていることを、まず把握しておく必要があります。

労働時間の自己申告

Q.「労働時間は自己申告ではだめなのか?」

A. 原則、自己申告は適切とされていません。また、やむを得ず自己申告制によって労働時間の把握を行う場合においても、企業側は「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)を踏まえた措置を講じる必要があります。

ガイドライン内では、企業側が労働者および管理する側に対して十分な説明を行わなければならないとされています。つまり、自己申告制をとる場合はいくつかの留意点があるため、企業側はそれらを把握して運用する必要があるということです。

例えば、固定残業代制を引いている企業における「ある一定の範囲内で申告をしなければ人件費を払わない」といった行為に対し、注意を要するとしています。実際に超過した労働時間があった場合は、残業代を払う等の周知を企業がしなければなりません。

通勤手当の有無

Q.「テレワークとなった場合、通勤手当は?」

A. 現状、通勤手当として個別に対応はしておらず、在宅手当という形で固定で支払う形への切り替えが増えています。総額で在宅手当の方が安いため、企業にとっては経済効率性のメリットがあるなどの理由があります。

なお、国税庁で公表している「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ」では、在宅手当を出したり通信費を清算した際の、課税上の処理についての案内がなされています。特に清算等を予定しない在宅手当の支給は課税対象となるため、注意が必要です。

労働契約や就業規則を見直す必要性

Q.「在宅勤務を導入する場合、労働契約や就業規則を見直す必要は?」

A. 在宅勤務などの労働条件の変更に当たる場合は、会社と従業員とで合意することや就業規則の変更が必要です。

そもそもテレワークは、現時点での契約が在宅での勤務を指示できる内容になっていることを大前提としています。就業場所として自宅は良いのか、どこでいつからいつまで稼働して良いかどうかは契約で定めること。例えば、会社・工場・事業所が就業場所であると記載されている場合、自宅を予想していないことになります。そうした場合、合意を個別に行う、あるいは就業規則を変えるなど、企業は法的な裏付けを作らなければなりません。

出社を希望する社員への対応

Q.「テレワーク移行に向けて、出社を希望する社員への対応のコツは?」

A. コロナ禍でも出社を希望する社員がいた場合、シチュエーションは二つに分かれます。

①有事(緊急事態宣言など)の場合
成果にコミットするような従業員ほど、出社を希望する場合も多いそうです。しかし、当然会社としては安全配慮義務があり、社員をリスクにさらす就業を認めるわけにはいきません。労働契約上では、従業員は企業側からの指示に従う必要があるため、最終的には企業側から適切な命令をすることが有効な手段となるでしょう。

②中長期的なテレワークを考えている場合
まず、テレワークで可能な業務を区別するところから始め、必要に応じて出社とテレワークを使い分けることになります。社員を業務にアサインする時点で業務説明が十分できることから、テレワークを認めたり認めなかったりといった分別が可能です。厚生労働省のサイトにも詳しい事例が掲載されているため、チェックしてみましょう。

参照:導入事例 | テレワーク総合ポータルサイト|厚生労働省

【弁護士が回答】テレワークにおける電子契約の導入

次に、テレワークで導入が増加した電子契約についてです。電子契約導入のよくある疑問に対する、西尾弁護士の回答を紹介します。

電子契約の法的な有効性

Q.「電子契約は法的に有効なのか?」

A. 契約締結の方式は、原則、書面でなくとも、口頭やEメールのような方式のほか、クラウド上で契約締結することも認められています(契約方式の自由)。

なお、紙媒体の契約書が法的に安定して運用されている背景には、民事訴訟法の規定や過去の裁判例の蓄積があります。他方で、電子署名法という法があり、電子署名について民事訴訟法と同様な定めが置かれています。

以前は、事業者が立ち合い型で署名する形式が電子署名法の適用を受けるのか問題になっていましたが、2020年7月17日に立会人型電子署名についても、一定の条件を満たせば紙媒体の契約書とかなり近しい形で適用ができると示されました。

電子契約で使えない契約

Q.「電子契約で使えない契約はある?」

A. 例として、以下のような場合があります。
・定期借地権の設定契約
・定期建物賃貸借契約
・法律上、書面の作成や交付が要件とされている場合 など

電子契約が現状使えない背景としては、消費者の保護や取引上の情報格差が理由となっています。つまり、事業を進めていく上では、すべて電子契約でできるわけではないことを前提として企業は進めなければなりません。

ペーパーレス化(電子化)の注意点

Q.「労働条件通知書のペーパーレス化(電子化)を進める際の注意点は?」

A. 労働条件通知書を電子交付する際に必要な要件は以下です。

①「労働者が希望した」こと
②「受信をするものを特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」によること
③「労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成」できること

①の希望に関しては、法律上では書面で取る必要も記録化する必要もありません。ただし、紛争を防ぐために何かしら記録を残しておくべきですね。

②に関しては、電子メール、Webメール、LINEなどSNSのDMも認められます。ブログなどの不特定多数の見られるところに出すのは不可とされ、あくまで特定された個人に対して送れる通信方法である必要があります。

また、SMSも認められますが、全文送らねばならなかったり、字数制限もあり印刷しにくいという点から避けられることが多いです。もともと、労働契約は書面で出さなければならないという法律はないため、最近のHRテック系のサービスを使っていくのもひとつの手でしょう。

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労働条件通知書の電子化

Q.「労働条件通知書の電子化を望まない社員がいるが、どうしたらよいか?」

A. その場合は、上記①の「労働者が希望した」ことを満たす必要があるため、残念ながら電子化は不可能となります。

もっとも、うまく電子化に協力してもらえるよう誘導する工夫は考えられます。

関連記事
電子契約の基礎知識!書面締結との違いやメリット、注意点を解説

4.テレワーク環境下のトラブルと注意点

起こりがちなトラブル

慣れないテレワークで、トラブルが起きる可能性は拭いきれません。情報の漏洩、長時間労働、コミュニケーションがとりづらいなど、他にも想定外のトラブルもあるでしょう。だからこそ、適切な情報収集を前提に、企業の成長や秩序維持と法令順守との調和がとれた経営判断が必要となると西尾弁護士はいいます。

情報収集については、テレワーク総合サイトやセキュリティガイドライン、モデル就業規則などが参考になります。ただし、個別の事情に応じた相談には、社労士や弁護士といった専門家のサポートが不可欠です。法令順守をしながら企業を成長させなければならないため、担当者や経営者は情報を適切に収集することが肝要となるでしょう。

参照:
テレワーク総合ポータルサイト|厚生労働省
テレワークセキュリティガイドライン 第4版|総務省
モデル就業規則について |厚生労働省

業務評価の注意点

昨今、ジョブ型雇用が話題になっていますが、テレワーク環境下は成果基準になじみやすいと思われます。

緊急事態宣言下のような有事の場合はそうした対応までは不要と思われますが、平時にもテレワークを中長期的に実施していく場合は、成果ベースの評価制度への抜本的な変更を検討するケースはあるでしょう。

関連記事:コロナ禍で注目されるジョブ型雇用。仕組みやメリット・デメリットを解説

円滑なテレワーク体制構築は情報収集から

特に、テレワーク・労務管理体制・電子契約の導入方法などは今後、企業活動を行っていくうえで不可欠になると西尾弁護士は語ります。

万が一でもトラブルが起きた場合、企業側が非常に厳しい要求を裁判で受ける場合があります。そのため、最新の情報を常にアップデートしながら、適宜、専門家に個別のカスタマイズの相談をし、企業として適切な対応を取っていきましょう。

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執筆者 Writer

おかんの給湯室編集部

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