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【徹底解説】働き方改革とは?背景や事例にみる企業が取り組むべきこと

「働き方改革」というキーワードが新聞、ニュースといった各種メディアを賑わすようになり、早いもので約2年が経過しました。いまや毎日取り上げられているといっても過言ではありません。

しかし、一部の経営者や人事担当者からは、

「働き方改革は実践したいが、結果的に経営や従業員の負担になるのでは?
「中小企業はただでさえ人手不足なのに、取り組むこと自体大変ではないのか?

と、心配した声が上がっています。

働き方改革は、企業にとって本当に必要なのでしょうか?実際、なにを取り組めばよいのでしょうか?

この記事では、これまで働き方改革が検討されてきた背景から、企業が改革を実施する意義や制度の内容を解説していきます。また、改革の目的や企業の取り組み事例から、実際になにを意識して取り組めばよいか?といった点についてもご紹介します。

働き方改革は、もはや日本にある全ての企業を巻き込んだ制度です。今後、企業規模や業態を問わず対策・対応が求められるため、ぜひこの記事をきっかけに制度内容を理解していきましょう。

自社で無理なく取り組め、企業にも従業員にも必要とされている改革を、一緒に考えていきませんか。

1.働き方改革とは?関連法案の改正に至るまで

働き方改革を考える上で欠かせないのが、2019年4月から施行される働き方改革関連法案です。一言でいうと昭和時代から当たり前とされていた働き方の転換です。

その背景に、日本社会が今のままの働き方を続けていると、将来的に働き手が減少し、企業においては人事確保が困難になると予想されています。

つまり働き方改革は、

  • 止まらない労働人口の減少
  • ますます進んでいく少子高齢化
  • 慢性化している長時間労働

といった、今の日本が直面している問題に切り込むための改革なのです。

本法案に向けた問題の洗い出しや改善案の検討は、2016年9月から2017年3月までに全10回実施された働き方改革実現会議で議論されました。その内容を土台に制作された働き方改革関連法案が2018年6月に可決され、2019年4月から順次施行されることが決まっています。

働き方改革関連法案は、正式名称を働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案といい、雇用対策法、労働基準法をはじめとする8本の労働法を改正することが目的です。

この法案は企業規模や業界に関わらず対象となるため、経営者や人事担当者は、法案の内容を理解し、自社にあった取り組みを早急に検討・準備することが求められます。

働き方改革の背景とは?

働き方改革が取り上げられるようになった背景には、日本社会発展のためにも避けて通れない現状が挙げられます。それが「労働人口の減少」、「少子高齢化」、「長時間労働」などの問題です。

そもそも日本の総人口というのは、2010年(平成22年)から減少の一途をたどっています。統計局が出している、以下の人口推計のグラフをご覧ください。

現状、数年間で一気に総人口が回復するということは考え難いため、総労働人口の減少はこの先も避けて通れないのが現状です。


出典元:統計局ホームページ/人口推計(平成30年(2018年)3月確定値,平成30年(2018年)8月概算値) (2018年8月20日公表)

労働人口も、総務省が発表している下記グラフをご覧いただいて分かるように、青破線を中心として2015年から年々減少しています。

赤い折れ線グラフで示された高齢化率は増加の一途であることから、これまでのように「60歳〜65歳になったら定年退職」といった人材活用方法を続けていると、将来的には人材確保がままならない可能性が出てきているのです。


出典元:総務省|平成26年版 情報通信白書|我が国の労働力人口における課題

同じく総務省が発表している出生率に関するデータでは、合計特殊出生率(1人の女性が出産可能とされる15〜49歳までに産む子供の平均数)は2010年で1.39、2060年には1.35と予想されています。

先のグラフと合わせると高齢者の割合は増加の一途であるが、子供の割合は減少傾向であるという、少子高齢化社会へ一直線という現状が読み取れます。


出典元:総務省|平成24年版 情報通信白書|我が国の労働力人口における課題

さらに、「長時間労働」については、厚生労働省が報告している「我が国における時間外労働の現状」の先進国との比較データから、日本における労働者の約58%以上が週に40時間以上の残業を行なっていることがお分かりいただけるでしょう。


出典元:厚生労働省|我が国における時間外労働の現状

ここ抑えておきたいのが、労働環境が変わらなくては少子高齢化問題への取り組みがままならず、労働人口を増やすどころではない、ということです。

総人口を回復傾向に向かわせるためにも、まずは政府や企業が安心して仕事や子育てに取り組めるだけの労働環境を労働者に提供していかなくてはなりません。

働き方改革は、こうした労働環境の改善を目指し、法改正が実行されることになります。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

引用元:「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省

2.働き方改革の目的は、一人ひとりの生産性向上

今回の法案における政府案は、2016年9月〜2017年3月までに全10回実施された、有識者らによる働き方改革実現会議が土台となって作られました。

ここでは首相官邸から報告されている「働き方改革実現会議」「働き方改革実行計画(概要)」の内容を元に、働き方改革がどのような背景で、そしてどのような目的で法改正の動きが進められてきたのかを見ていきます。

まず、働き方改革実現会議では主に以下の9テーマについて検討が進められました。

  1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
  2. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
  3. 賃金引き上げと労働生産性の向上
  4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
  5. 柔軟な働き方(テレワーク、副業・兼業など)がしやすい環境整備
  6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
  7. 高齢者の就業促進
  8. 病気の治療、子育て・介護と仕事の両立
  9. 外国人材の受入れの問題

どのテーマについても活発な議論が展開されましたが、特に力を入れて議論されたのは、1)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、2)時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正の2つです。それぞれについてみてみましょう。

1)同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

日本における非正規職員の賃金は、正規職員の60%程度であり、福利厚生や社員研修にも格差があるという現状が問題視されています。

その対策として、基本給やボーナスなどの賃金はもちろん、福利厚生や研修といった内容についても待遇向上に努めなければなりません。そのためにも、雇用形態に関わらない均等・均衡待遇の確保に向けて政府ガイドライン案を作成し、企業に分かりやすい事例を示すことを実践していきます。

2)時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

現状の日本では核家族化が進むことで共働き家庭における子育てがハード化しており、仕事と子育てが両立できる環境を早急に整える必要が求められました。

こうした状況改善のために、まず残業時間の上限を「月45時間」「年間360時間」と設定しました。労使で協定を結ぶと「月平均60時間」「年間720時間」、繁忙月は「100時間未満」が上限になります。

この時間外労働の上限規制には罰則規定が盛り込まれました。「罰則を盛り込んだ残業時間の上限規定」として、仮に36協定を結んでいたとしても、国が定めた残業規定の上限を超えれば罰則の対象となります

また、過剰な勤務状態を防ぐことを目的として、前の勤務が終わってから次の勤務までの間に一定以上の休息時間を設ける勤務間インターバル制度の導入を努力義務として定めることなどを決定しました。

なお業界事情や労働内容の特殊性を考慮して、自動車運転、建築、医師は、法律施行の5年後から適用されます。

3)賃金引き上げと労働生産性の向上

アベノミクスの効果もあり、企業収益は過去最高でした。その影響を労働者にも実感してもらうため、最低賃金を年3%程度目処引き上げていくことを目指します。

4)雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題

従来の日本型のキャリアパスを変え、既卒や第二新卒をはじめ、世代を選ばず柔軟な転職・再就職ができる採用機会の拡大を目指していきます。

年功ではなく能力による人事システムの導入をした企業への助成を創出したり、経済界、大学など各種団体と連携した制度定着に取り組む予定です。

5)柔軟な働き方(テレワーク、副業・兼業など)がしやすい環境整備

テレワークを利用した子育てまたは介護と仕事の両立、副業・兼業は起業の手段や第二の人生への活用を目的とします。

政府としては企業がテレワークや副業・兼業を導入するためのガイドライン作成やその支援を積極的に進めていく予定です。

6)働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備

結婚・出産後に働きたくても働けない女性や正社員になりたくてもなれない若者の状況改善を目的とします。

個人の学び直し支援を充実させたり卒業資格支援などを行なっていく予定で、配偶者の収入制限もさらに150万円に引き上げるなど、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境を目指します。

7)高齢者の就業促進

高齢者が定年後もエイジレスに企業で活躍してもらうことを目的としてます。

65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備を行っていく予定です。

8)病気の治療、子育て・介護と仕事の両立

がんなどの病気を理由に退職してしまう社員が3人に1人いる現状の改善、そして子育て・介護による離職防止を目的とします。

病気の治療では、仕事と医療機関をつなぐ両立支援コーディネーターを取り入れてトライアングルサポート体制を構築し、病と闘いながら仕事にも打ち込める社会実現に取り組んでいきます。

子育て・介護と仕事の両立では、各業界に所属する人材の処遇改善をはじめ、男性の育児・介護等への参加促進が挙げられます。

9)外国人材の受入れの問題

グローバル競争において、海外から高度IT人材をはじめ高い技術や知識を持つ人材の流用を促すことが目的です。

就労のための法整備、永住に必要な在留期間を世界最速級の1年とする日本版高度外国人材グリーンカードを創設します。

2019年4月、8本の労働法が改正へ(働き方改革関連法案)

前項で示した9つの主な政府案を実現するために、その内容と関連する雇用対策法、労働基準法など8本の労働法を改正する必要が出てきました。

2019年4月から順次施行される働き方改革関連法案とは、今回改正の必要がある労働法の集合体を指しています。

働き方改革関連法案によって改正される8つの法律

  • 雇用対策法
  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働時間等設定改善法
  • じん肺法
  • パートタイム労働法
  • 労働契約法
  • 労働者派遣法

次章では、これらの法律がどのように改正されていき、経営者や人事担当者が何をすべきなのかについて考えていきます。

3.関連法案の改正で企業が取り組むべき6つのポイント

労働者が企業で柔軟な働き方や多様な選択ができることを目的として、働き方改革関連法案は検討されてきました。

そして、以下の3つの柱を土台にしています。

【働き方改革関連法案の3つの柱】

  1. 働き方改革の総合的かつ継続的な推進
  2. 長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等
  3. 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

引用元:
・厚生労働省:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要

(1)働き方改革の総合的かつ継続的な推進を通して、働き方改革における基本的な考え方や方針を発信していきます。

その上で、(2)時間外労働の上限規制の導入高度プロフェッショナル制度の創設など、業界・業務問わず労働者が無理な勤務を強いられることなく、誰しもが満足できる多様性のある働き方を実現する方法を提案しました。

さらに、(3)雇用形態に関わらず公正に待遇を確保するために、不合理な待遇差を解消するための規定や、労働者の待遇に関する説明義務の強化などが組み込まれました。これらは、正社員と非正規、派遣社員といった雇用形態における賃金や福利厚生の格差を縮めることを目的としています。

そして、これらの内容に沿う形で前述の8つの法律が改正されることになります。

このことを踏まえ、経営者や人事担当者に特に着目してほしいポイントを6つに絞ってみました。働き方改革や関連法案の法改正と聞いて「何をすべきなのか?」と疑問に思う方は、まずはこの6項目について抑えておきましょう。

【経営者や人事担当者に知っておいてほしい6つの改正項目】

  1. 時間外労働の上限規制
  2. 高度プロフェッショナル制度の創設
  3. 勤務間インターバル制度の普及促進
  4. 産業医・産業保健機能の強化
  5. 同一労働同一賃金
  6. 有給休暇の取得義務

それぞれの内容についてご紹介していきます。

1)時間外労働の上限規制

時間外労働に対し、政府が罰則付きの上限を設けました。これによって、これまで青天井だった労働時間に蓋を閉めることになります。

本改正で政府は、「原則として時間外労働は45時間/月まで、360時間/年まで」と定めました。なお、特別な事情がある場合には720時間/年まで時間外労働を引き上げることが可能です。

この720時間/年は、企業が労使協定を結んでいたとしても、それ以上は絶対に超えてはならない時間とされており、この時間を超えて残業をさせると懲役や罰金といった罰則対象になってしまいます。

月の残業時間は、年間6回までを上限として特例時間の適用を従業員に求めることができます。その際、1ヶ月集中的に残業を促す場合には100時間未満(休日出勤を含む)に抑えること、もし2〜6ヶ月に渡って残業を依頼する場合には平均時間が80時間/月以内(休日出勤を含む)になるような調整が求められます。

  • 原則、時間外労働は45時間/月、360時間/年まで
  • 超過して残業をさせると懲役や罰金などの罰則対象に
  • 年間6回まで特例時間の適用可。ただし条件アリ

企業としては従業員の残業時間の管理をより求められるようになりました。特に残業が当たり前となっている組織や、営業や保守といった外勤者が多い部門では、特に注意が必要でしょう。人事担当者が積極的にコントロールをしていかないと、45時間/月はあっという間に超えてしまいます。

企業規模が大きい組織では、ひとりひとりに声かけをするわけにもいかないため、残業時間の警告アラートシステムやどこにいても手軽に使える管理体制アプリなどツールの導入が求められるでしょう。

そもそも残業時間の増加は、従業員の疲労蓄積や惰性な労働環境を作る要因にもなりかねません。時間外労働の上限を利用して社員に仕事をさせるのではなく、できるだけ残業を減らす業務改善を検討していく必要があります。

なお、時間外労働の上限規制は、大企業が2019年4月1日から、中小企業が2020年4月1日から施行されます。また、自動車運転の業務、建築事業、医師は、法改正施行から5年が経過した2024年4月1日からとなっています。

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2)高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)の創設

通称「高プロ」と呼ばれるこの法案。高度な能力を持つ専門家が企業内でより自由に働いてもらうために、企業から受ける労働や時間の縛りをなくす制度です。

まず本法案の対象となるのは、金融ディーラーやコンサルタントといった高度な専門知識を要する人材。その中でも、一定の年収(1,075万円以上)を得ている従業員のみとなっています。

この制度は企業の一存で採用されるわけではなく、必ず本人の同意が必要となります。本人が希望すれば対象から外れることも可能です。

企業には健康確保措置として年間104日の休日確保が義務化されており、併せて以下の措置実施をいずれか1つ実施することが求められています。

①インターバル措置

②1月又は3月の在社時間等の上限措置

③2週間連続の休日確保措置

④臨時の健康診断

これら全ての要件が満たされてはじめて、専門職の労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外にすることができます。

本制度の施行は2019年4月1日から。

  • 特定の条件を満たした専門職を、時間給という概念(労働時間、休日、深夜の割増賃金など)から除外すること
  • 企業には年間104日間の休日確保といった健康確保措置が義務化されていること
  • 高度プロフェッショナル制度の施行は2019年4月1日から

制度の概要だけを確認すると、もしかしたら従業員の権利だけが取られているように見えるかもしれません。

実はこの制度の背景には、必要以上に組織から干渉されない状態でより自由に働いてもらおう、という政府の意向があると推測されます。

つまり、政府としては、高度な技能を持つ専門家はフリーランスのように実績で成果が評価される脱時間給の働き方を求めているのです。この法案を受け、まず確認すべきはそういった環境を提供する準備ができているかでしょう。

しかし、業務範囲が明確にされているか、裁量権がきっちりと自由に動ける範囲で与えられているか、には注意を払いましょう。

企業と従業員の間で認識の相違があると制度採用後に問題が生じる可能性があるため、業務範囲は必ず事前に話し合いや書面で確認が必要です。

裁量権についても、従業員たちに現状満足できる範囲で与えられているかどうかについて人事担当者も交えたヒアリングが必須でしょう。

参考元:
日本経済新聞 2018年6月29日 働き方改革法が成立 脱時間給や同一賃金導入

3)勤務間インターバル制度の普及促進

従業員に無茶な働き方をさせないためにも、企業が休息を取らせるための努力をしなければなりません。

本法案では、従業員たちの健康的な働きを守るために、前の勤務から次の勤務までに一定時間の休息を取らせることを企業に求めます。

現状努力目標の意味合いが強く、現時点では具体的なインターバル時間の方針や定義が政府から提出されていません。各社で方向性を決定していく必要があります。

特に企業の業務スタイルや取引先との兼ね合いによっては、従業員にも顧客にも受け入れられるようなインターバルの設定が求められてきます。

導入を検討する場合には、トップの一存で決めるのではなく、人事担当者がそれぞれの部署の働き方や業務体系を従業員や管理職にヒアリングするところがスタートになってくるでしょう。

施行は2019年4月1日からとなっています。

  • 従業員が前の勤務終了から次の勤務開始までに一定時間の休息確保ができるよう企業として努めること
  • 具体的な休息時間(インターバル)の目安については、まだ方針が打ち出されていないこと
  • 各企業が現場のヒアリングなどをもとに方針を決定する必要がある

4)産業医・産業保健機能の強化

従業員の健康を守り、産業医とその機能を生かすためにも企業はしっかりと情報を提供しなければなりません。情報の伝達不足により、適切な環境で従業員の診察が行えていないという状況を防ぐ目的です。

産業医・衛生委員会・企業・従業員のあるべき連携体制を取り戻すことを目的とし、まずは人事担当が主導となって、企業における産業医との連携体制を見直すことが求められます。

もし従業員の健康面の管理を産業医任せにしている場合には、速やかに管理体制を企業主導で行う検討をしましょう。

産業医や衛生委員会との関係性が形骸化している可能性がある企業については、組織のあり方自体を、社内委員会もしくは外部企業にコンサルタントとして入ってもらう形を検討しましょう。体制自体を作り直していく必要があります。

施行は2019年4月1日から。

  • 産業医が従業員の診察を適切に行うために必要な情報(勤務情報や労働環境など)を適宜提供しなければならないこと
  • 衛生委員会に対し、産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容等を報告しなければならないこと
  • 従業員の健康管理体制を整えたり、体制の見直しが必要

5)同一労働同一賃金

従業員の雇用形態によって不合理な格差を与えるのではなく、企業は仕事ぶりやその内容、勤続年数などから適切な待遇で社員を扱おう、という法案です。

これまでは正規か非正規かという勤務形態の違いだけで、賃金、ボーナスの有無、福利厚生、休暇の取れる範囲や参加できる研修まで、幅広く差を付けられるケースがありました。

こうした状況を改善するため、政府から「どのような場合だと不合理な格差であるか?」を示した、同一労働同一賃金の説明から具体例までを網羅したガイドラインが発表されます。

そのため、正社員・非正規といった様々な待遇の社員がいる企業の人事担当者は、発行され次第速やかに内容を確認されることを強くおすすめします。

  • 正社員・パート・派遣など雇用形態に関係なく適用されること
  • 業務内容や勤務体系、勤続年数などに格差がない場合には、賃金や福利厚生などの面で待遇差があってはならないこと
  • 政府から同一労働同一賃金に対するガイドラインが公開されること

まずは、非正規雇用社員がどのような業務を担当しているかを知るところからはじめてみてははいかがでしょうか。そして政府から発行されるガイドラインを通して、自社のパートやアルバイト、派遣社員といった非正規社員に対して、気がつかないうちに不合理な待遇格差を与えていなかったかを振り返ってみてください。

勤務体制や方法によっては、人事担当者が非正規社員の勤務状況やその内容を見逃しているケースも少なくありません。こちらの場合にもぜひガイドラインを参照しながら、自社で働く非正規職員の待遇改善や対応方法について一緒に検討していきましょう。

6)有給休暇の取得義務

この法案により、有給を使っていない、あるいは使えない従業員に対して、会社主導で有給が使えるきっかけを与えよう、ということが求められます。

厚生労働省が報告している平成29年就労条件総合調査によると、有給休暇の1人あたりの平均付与数が18.2日に対して、有給取得日数は9.0日、有給取得率は49.4%でした。

産業別の有給取得率だと、宿泊業、飲食サービス(32.8%)や卸売業、小売業(34.9%)といった消費者を顧客とする産業において有給取得率は低い傾向にあります。

加えて時間単位で有給休暇を取得できる企業は全体の18.7%しかありませんでした。つまり81.3%の企業は1日単位からでしか有給休暇が取得できないのです。

会社主導で一斉休暇を実施する場合、多くの企業が盆や正月といった期間で休みを取得するでしょう。ですが、宿泊業や飲食サービスのように、休みの日こそが稼ぎ時という産業の場合には、一般企業と同様の対応を求めることが難しいのが現状です。

その場合、休暇をシフト制にするなどして、従業員に安定した休暇を与えつつ、同時に事業も回すことができる工夫が企業には求められます。

  • 年間で10日間以上の休暇が付与されている労働者に対しては、うち5日間は会社が有給の時期を指定して利用させなくてはならないこと
  • すでに年間で5日以上有給を利用している従業員については、特に会社が対応の必要はないこと
  • 時間単位有給制度を導入する企業はわずか2割弱

また、理想は連休での休暇取得ですが、自身の予定に合わせて1時間ごとに年次有給休暇を取得できる時間単位取得制度も大変魅力的です。

年次有給休暇の時間単位付与がない場合には2019年4月1日からの施行に向けて、ぜひ一度検討されてはいかがでしょうか。従業員の休暇スタイルがきっと変わってくるはずです。

関連記事:
有給休暇5日の取得義務化は平成31年4月から?どのように変わるのか要点をおさらい!

引用元:
厚生労働省 平成29年就労条件総合調査 (4)年次有給休暇
6ページ_イ 年次有給休暇の時間単位取得制度
3.年次有給休暇の時間単位付与|改正労働基準法

4.働き方改革における企業の取り組み事例

2019年4月の法改正に先駆けて、既に様々な企業が取り組みを進めています。

ここでは、働き方改革が世の中に注目される前からすでに社内改革に挑戦をしていた「伊藤忠商事」、「イケア・ジャパン」、「ローソン」の事例を簡単にご紹介します。

伊藤忠商事:朝型勤務を取り入れて企業体質を改善

総合商社である伊藤忠商事は、2014年に20時以降の残業を原則禁止とする「朝型勤務」を全社的に取り入れました。

翌朝業務に対して深夜勤務と同様のインセンティブ並びに朝食を提供することによって、早朝(5時〜9時)への勤務シフトでも、残業時間の削減、勤務環境の改善を実現しました。

参考元:
伊藤忠商事株式会社 プレスリリース 「朝型勤務」制度の導入

イケア・ジャパン:フルタイム・パートの垣根を超えて「同一労働・同一賃金」を実現

世界的に有名な家具・インテリアの製造・販売企業であるイケア・ジャパンは、同一労働・同一賃金にいち早く取り組んでいます。実施は2014年9月から。

フルタイム・パートの枠組みに捉われず全ての社員を正社員として登用することによって、社員の働き方の多様性を支えることが目的です。社員は週に稼働する時間を3段階から選ぶことができ、職位や担当業務が同じであれば時間あたりの基本給は一緒になります。

この制度を通して社員が基本給の上昇を実感したり、契約形態が有期から無期に切り替わったことによる待遇の変化を実感しています。

参考元:
首相官邸 働き方改革に関する総理と現場との意見交換会(第3回)議事録
日本経済新聞 同一賃金、企業は警戒 政府が年内に指針

ローソン:男性の育児休職を促進!育児参加のための活動も

ローソンでは、2014年に男性が取得しやすい育児休暇制度短期間育児休職制度」を設立しました。

期間としては5日間ですが、男性が育休を取得するハードルを下げることで、取得を促すことに成功しました。「イク☆Men部」といった男性が育児に参加するための活動も積極的に推奨しています。

参考元:
株式会社ローソン プレスリリース 男性の育児を支援する取り組みが評価され、「イクメン企業アワード2015」“特別奨励賞”を受賞

5.働き方改革を推進するツール、サービス、取り組みとは?

働き方改革と一言でいっても、ただ政府に言われた通りに制度を変えれば良いというものではありません。

働きやすさを向上するためにも、従業員にマッチした対策かどうかが大切です。その上で、長時間労働の是正や有給休暇の取得義務化といった職場環境の改善を検討していきましょう。

従業員が求める働きやすさ向上の対策を実践した結果、従業員満足度が高まり、生産性も向上することが働き方改革の良いスパイラルといえます。

ここでは、働きやすさや労働環境の改善、生産性の向上をテーマに「福利厚生の社内制度サービス」、「社内コミュニケーションツール」、「勤怠管理システム」についてご紹介します。

福利厚生などの社内制度、サービス

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<参考記事>オフィスおかんの評判・料金・提供エリアは?導入事例や効果を徹底解説

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オフィスグリコ:手軽にオフィスでお菓子を食べよう!

オフィスグリコは、グリコ製品をオフィスで手軽に食べられるサービスです。会社からの要望はもちろん、季節限定のお菓子を提供してくれるため、会議の話題作りはもちろん、社内イベントで使用するお菓子としても重宝されます。

サービスURL: https://www.glico.com/jp/enjoy/service/officeglico/

社内コミュニケーションツール(チャットツール、Web会議など)

ChatWork(チャットワーク):社内連絡から共有資料までを一元管理

ChatWorkはチャットを使った社内連絡から、タスク管理、ファイルの受け渡しなどが手軽に行えるツールです。

個人的なチャットはもちろん、チームごとのチャットもできるため、複数の案件を抱えているようなケースには重宝するツールです。

サービスURL:https://go.chatwork.com/ja/

Remotty(リモティー):リモートワーク専用のバーチャルオフィス

リモートワークをするメンバーとリアルタイムで顔を見合わせながら、バーチャルオフィスで仕事ができるサービスです。

WebカメラでPCの前にいる従業員を撮影することによって、サイト上に「今、その人がPCの前で仕事をしているかどうか?」を手軽にチェックすることができます。

サービスURL: https://www.remotty.net/

勤怠管理システム

jinjer勤怠:勤怠実績をもとにAIが従業員エンゲージメントを測定!

従業員の労働時間をリアルタイムで管理するため、PCやスマホといったツールをはじめ、ChatWorkやSlackといったチャットツール、ICカードなどからの打刻に対応しています。

さらに、入力された実績をもとに従業員エンゲージメントの測定が可能です。

サービスURL:https://hcm-jinjer.com/campaign007/

シフオプ:従業員からのシフト申請情報から要望にあったシフトを楽々作成!

従業員からの申請シフトが自動反映され、申請状況を一目で確認することができます。

シフト管理が伴う業務にはうってつけのツールです。シフト勤務の伴うIT企業や小売業界などには特に喜ばれるツールではないでしょうか。

サービスURL:https://www.shifop.jp/

働き方改革をサポートするために役立つツールは以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:
働き方改革サポートツール12選!

まとめ|自社にあった労働環境の改善を

企業にとっては「人材定着」、従業員にとっては「労働環境の改善」や「労働条件の向上」といったメリットをもたらす働き方改革。

ですが、政府が決めたからという理由で改革を進めては、従業員や企業内の改革担当者への負担だけが大きくなり、形だけの働き方改革になりかねません。人材の定着どころか、社員の業務意欲低下や離職にも繋がりかねないでしょう。

その恩恵を受けるには「自社に合う働き方改革を実践できるかどうか?」がポイントとなってきます。

働き方改革のポイントまとめ

  • 働き方改革は「労働人口減少」「少子高齢化」「長時間労働」が問題視される日本において、企業に人材定着をうながすためにも重要な改革
  • 2019年4月の施行に向けて、どのような改革が実施されるかを経営者・人事担当者が理解し、行動に移す必要がある
  • 働き方改革によって従業員満足度が高まることで、結果として生産性も増加する

人材定着には「働きがい」の向上も必要

そして、働き方改革を進める上で知っておいてほしいのが、ハーズバーグ理論と呼ばれる「仕事において従業員の力を高めるための2つの要因」についてです。

人は仕事をする上で「動機付け要因」と「衛生要因」の2つを求めます。「動機付け要因」は働く意欲を高めるためのモチベーション、「衛生要因」は整っていないと不満につながる条件を指します。

その理論に基づくと、働き方改革ではあくまでも労働環境の改善や向上といった「働きやすさ」の改善、つまり衛生要因の向上が目的です。しかし、衛生要因というものは不満足を解消できても、従業員のやる気やモチベーションを高めることはできません。働き方改革が、必ずしも働きがい(≒動機づけ要因)の向上につながるわけではないのです。

繰り返しになりますが、働き方改革は従業員が最低限働くために満足するための土台を整えるための取り組みです。本当の意味での従業員満足度を高めていくためには、仕事を通して業務の達成感や昇進などによる責任範囲の拡大、自己成長などといった、動機づけ要因を従業員に与えることが企業には求められます。

働き方改革によって衛生要因という土台を整えた上で、企業側が動機付け要因を提供する取り組みを実践することが本質的には必要です。

そうすることではじめて、経営者や人事担当者は「社員のことを考えた働き方改革が実践できた!」と胸を張って社会に主張できるのではないでしょうか。

当記事が、各企業の経営者、人事担当者の方々が自社に必要な取り組みを検討するヒントになれば幸いです。

参考資料:
働き方改革実現会議
「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省
働き方改革実行計画
厚生労働省:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要
働き方改革実行計画(概要)

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