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経済産業省 藤岡氏が見据えるこれからの<働き方改革>とは【EX Summit登壇者インタビュー】

株式会社おかんが主催する、エンプロイー・エクスペリエンスに着目した日本初の経営者と総務・労務・人事担当者が集う日本最大級のカンファレンスイベント<Employee Experience Summit>が3月7日(水)に行われます。当日はより深い内容をお届けできるようサミットの前段として、トークセッションに登壇されるゲストに、株式会社おかん代表取締役 CEOの沢木が、バックグラウンドや実践されている取り組みを伺ったシリーズを掲載します。

お二人目は、「テーマ2:働きやすさを可視化する!官民の実践者・識者が意見する、働き方改革はどう計測し評価すべきか?」に登壇される経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 室長補佐 藤岡 雅美氏です。

 藤岡 雅美氏 
経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 室長補佐

役人/看護師・保健師。1988年、大阪府生まれ。2010年に京都大学医学部人間健康科学科(看護学専攻)を卒業。経済産業省に入省後、同省ヘルスケア産業課、国立行政法人日本医療研究開発機構、「健康経営銘柄」、「Japan Healthcare Buisiness Contest」等を立ち上げる。現在、「働き方改革」、「子育て」や「教育」に関する政策立案を担当。また、「Global Shapers Community(The World Economic Forumが任命する33歳以下の次世代リーダー組織)」のメンバーに選出され、国内外のグローバルリーダーとともに、ソーシャルセクターで活動中。

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経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 室長補佐 藤岡 雅美氏

なぜ政府は<働き方改革>を推進しているのか

ーすごく初歩的な話題から入らせてください。なぜ政府は<働き方改革>を推進しているのでしょうか。

大上段の話をすると、「人を育てなければ、日本の企業が成長できなくなってきた」という部分に尽きます。戦後は大量に生産するために人手が重要でした。そのあと機械化などの生産技術が確立し、設備投資をすれば生産力を確保できるという、資本に競争力が移り変わっていきました。それが巡り戻って人に戻ってきたということです。

一般論的に何かビジネスを起こしたいと思えば、昔よりは資金を集めることは容易になりました。では競争力の源泉を問うたとき、その答えはイノベーションや新しいビジネスを起こせる人になってきています。単なる”人手”ではなく、人の才能の部分が重要視されてきて、一人ひとりの能力を最大限発揮させて、その部分伸ばしていこうという考え方です。自分の個性において、一番パフォーマンスが高い領域を見つけ出すために、<働き方改革>を推進していっています。長時間労働などは是正されるべきですが、一律に働き方を管理するのではなく、選べることが重要となってきます。

ー政府として<働き方改革>を推進しているなかで、現在において注力していることはあるのでしょうか? 

働き方改革において、生産性を追求した先に「個人の働く幸せ」があるのかどうかが、この先の重要な問題となってくると思います。「生産性が低い」と叫ばれているなかで、仕事への熱意度である”従業員エンゲージメント”も、昨年発表された数値では139国中132位と相当低い結果が出ています。だから生産性のみを測ったり、細い業務フローを徹底的に管理したりするだけではなく、企業と個人の対立構造を回避しながらも、個人のパフォーマンスを発揮するための”従業員エンゲージメント”を上げることが大切です。

フリーランスや兼業、テレワークなど柔軟な働き方が真っ先に話題にのぼりますが、決して働き方改革だけでの話ではないはずです。今はトランプやブレグジットなどに象徴されるように、「不安があるから、誰かがリーダーシップを取って欲しい、ルールを決めてもらいたい」という世界観になってしまってします。その状況が本当に正しいのかを考え、個人がいかに個人として活動でき、個性が発揮できる世界観を秩序ある形で整備していけるかを考えていくべきではないでしょうか。大きな話に広がってしまいましたが、生産性ばかり測るのべきではないこともEX Summitではお伝えしていきたいです。

企業と個人の成長の方向性に投資をする

ーあくまで弊社でも生産性は一つの結果指標でしかないと思っています。ではその生産性を優先事項としなくなった時に、企業はこの先どうしていくべきでしょうか。そして国としては、どの領域を重視していくべきだとお考えですか。

企業側からすると、生産力は維持しなければならない。その時に人をもっと雇うか、今の業務を効率化するかの2択に迫られます。そして、おそらく雇用は簡単に増やすことは難しいのが実情です。すると効率化・生産性を高めようとしますが、今働いている人で、劇的に生産性が変わるぐらい仕事をサボっている人はいません。だから生産力をあげるには、AIなどを使い代替させたり、すごく優秀な人だけを囲い込んでいったりすることにもなります。要するに労働者に優しいはずの長時間労働是正の裏では、個人間の競争が激化してきているということです。

そうした時に先ほどにもあったような、もっと柔軟に個人のパフォーマンスを発揮でき、自分の能力が磨ける環境を作っていくことが重要です。それが今、政府が進めている「人づくり革命」になっていきます。その時に企業がリカレント教育(生涯教育の一形態で、循環・反復型の教育システム)を提供しても、どれくらい従業員のパフォーマンスが上がるかは、なかなか測りにくい。だから多少感覚的ではありますが、第三者的な指標よりは、企業と個人が対話をひたすら密にやるということに尽きると思っています。

企業も経済的な活動をしていますから、無駄なことはしません。当然、企業にメリットのあることに投資は集中します。要は“企業の成長の方向性”と“個人の成長の方向性”が合わさったところに企業は投資していくはずですし、こういう領域を如何に見出していくかが重要となってきます。例えば、アメリカでは人事評価の時に、対話を重ねて、その中でバランスを取りながら評価されていきます。ですが日本の場合、一方通行の評価になってしまい、評価者(上司)によって、その振れ幅は大きくなってしまうことが多い。だからその評価をビッグデータ化しても、正確なデータではないので、傾向が見えないことが多いです。だからこそ企業と個人が対話を繰り返しながら、使えるデータを抽出し、その対話自体に意味があるような動きを推進していきたいですね。

イントレプレナーを生み出す社会構造が必要

ーそういう対話を繰り広げる中で、個人の行動意識を変容する活動だけでなく、企業の行動意識を変容する活動の両軸がありますよね。企業に着目した時に、企業の行動意識が変わるような刺激を与えなければいけないと思っています。この辺りのアプローチで、何か生まれている議論などはあるのでしょうか。

おっしゃる通りビジネス方針や制度設計を変えていく時に、国としてアプローチすべきものはあり、それが当面の我々がすべき政策だと思っています。その時に必要なのは、企業に対してどこまでメリットを提示できるかですよね。<働き方改革>そのものは、もっと企業の経営に直結するはずです。最初にお話しした、企業の経営戦略が人事戦略そのものでしかなりえない時代がきているわけですから。むしろ企業として、そこを真摯に向きあわないと潰れてしまいます。

それを理解してもらうために、どういう言い方がどの企業に刺さるかというバリエーションを考える問題になっていますね。インフラ問題や新卒採用、そして優秀な人材の中途雇用、定着率など、それぞれ経営課題が違えば、当然に響くワードは違っていきます。そして個別の経営課題にうまく根ざすような形でストーリーを設計していければと思っています。いわゆるボーリングのセンターピンとして、長時間労働是正などは重要です。ただし、その先の本質までどう持っていくかを考えていくべきです。

ーなるほど。そんな中で藤岡さんご自身が思う、現状感じている課題などあれば教えてください。

今は起業したり、NPOを作りやすくなったりと、社会にプラスになることがたくさんできる状況です。ただ本来的には、起業家になることも、大企業の中で働くことも、どちらが優れているか比較するものではありません。そういうが方々も含めて、もっと皆さんが目的意識を持てることはできないかを、ずっと考えています。大企業で働く人であれば、大企業の持つリソースを使えば、社会に大きなインパクトを出せるはずです。個人で活動していくことを選んだ方も、僕自身、周りにアントレプレナーの友人も多く、非常にリスペクトしているのですが、社会に何か価値を提供できなければ、何者にもなり得ません。その違いは、目的を持っているか、社会にどのような価値を生み出したいのかを常に考えているか、だと思います。もっと大きいビジョンを描けないかどうかを見直し欲しいと…。今は自己満足の領域にとどまっていることも、多いのではないでしょうか。よくこの考えは古いと言われてしまうのですが。(笑)

ーいやむしろその考えは広がっていくべきです。貴重なお話ありがとうございました。EX Summitでは可視化の部分からも伺っていければと思います。

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【開催概要】
・日時:2018年3月7日(水)14:00〜20:00
・場所:東京都千代田区平河町2-5-3 Nagatacho GRID 6F
・主催:株式会社おかん

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