オフィスおかん導入企業1500社突破!自動販売機プラン受付中

DeNA、JINSが示す健康経営の具体的施策をうまく回す成功法

2017年12月7日(木)に開催された<働き方改革と健康経営の共通項! 注目ワード“プレゼンティーイズム”から考える労働損失と事例>の様子を、5回にわたってお送りしています。第3回となる今回は、「健康経営の具体的施策の立て方」について語られたセッションの様子をお送りします。

健康経営に取り組むことを決めたものの、具体的にどのような施策を行えばいいのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。今回は健康経営のトップランナーであるDeNAやJINSが、どのように施策を実施しているか語ったセッションになっています。健康経営に取り組む方にとってとても参考になる内容になっています。ぜひご覧ください。

【登壇者】

(スピーカー)
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA) CHO室室長代理
平井孝幸氏(健康経営アドバイザー)、

株式会社ジンズ 管理本部総務人事グループ マネジャー
堀友和氏(集中をコンセプトしたワーキングスペースThinkLab担当者)

(モデレーター)
株式会社おかん 沢木 恵太
代表取締役CEO


健康経営の具体的な施策とは

沢木恵太氏(以下沢木):たくさん参加者の方から質問をいただいていますが、次は「健康経営の具体的な施策は?」という質問についてお聞きしたいと思います。たしかにどのように具体的な施策をプランニングしているのか気になるところですね。

先ほどDeNAさんでは半期に1回健康に関する社内アンケートとっているという話がありました。そこからどういう形で、分析して施策を作っているのでしょうか。またこれまで実施してきた中で、効果があった施策などがあれば知りたいですね。平井さんお願いします。

平井孝幸氏(以下平井):どうやって施策を立てているかについては、まずアンケート結果から社員がどのような課題を抱えていて、それによりどれだけ生産性が下がっているのかを把握しています。同時に会社としてどういう職種の人たちにどのように働いてもらいたいか、会社の方針とCHO室のビジョンをマッチングさせるんです。

たとえばエンジニアの生産性をより高めようとなった場合、何が一番課題になっているのか分析します。アンケートで挙がった課題の大きさを見ていくと、腰痛がもっとも課題になっているということがわかりました。明らかになった課題に対して、どうすれば改善するかを考えて、さまざまな施策を実施しています。

沢木 アンケートを用いて社内の課題を定量的に示し、優先順位をつけるのですね。それを具体的にどうしていくのでしょうか。

平井 最初に施策として、体の歪みをなくすためのセミナーを開催しています。ですが、腰痛に対して意識の低い人たちをどうにかしたいと思っていたのですが、参加するのは健康意識の高い方ばかりでした。

なのでわざわざセミナーに行かなくても腰痛対策ができるように、自分の席で出来るストレッチなどの腰痛対策を伝え、腰痛への意識を高めることに尽力しています。最初の一歩を踏み出すハードルを下げるということが重要です。

また健康器具のメーカーと介護の専門家に協力していただいて「腰痛撲滅プロジェクト」というプロジェクトも実施しています。このプロジェクトでは、腰痛で悩んでいるメンバーに対し1ヶ月間無料で専用の器具を利用できるようにしました。朝晩この器具を使ってストレッチをしてもらうと、1ヶ月間で15%の人たちの腰痛が回復したという効果も上がっています。

ここから課題を解決するためにはどこかに特化して、なおかつ継続してやってくれる人たちを見つけることが大切だとわかりました。そしてそれを横展開していければ成果が上がっていくと考えています。今後は腰痛だけでなく、食事やうつの分野に関しても施策を実施していきたいです。

沢木 そうなのですね。伺っていて、すごい企画力が高いなと思いました。会場のみなさんの中でも、うちはそこまで企画力がないという話が出てきそうですが、そもそもこのような企画はCHO室で企画をしているのですか?

平井 そうです。

沢木 企画の際に、外部の知見やアドバイザーなどは入っているのでしょうか?

平井 はい。たとえば睡眠に関するプロジェクトを行うときは、睡眠の専門家の知見をいただくなどプロジェクト単位で専門家に入ってもらいます。

一般的に健康経営をやるときに、専門家に丸投げするケースが多いと感じています。しかし専門家は実践家ではないので、うまくいかない場合が多いのです。

施策の理想を描いて、それを実現するためにどのように専門家の知識を使っていくかというスタンスでやっていかないと、お金も時間もムダになります。CHO室を設立したばかりの時に、その大切さを痛感したので、そこからはすべて自分たち主導で考えています。

沢木 お金と時間が限られている中で、優先順位のつけ方がすごくうまいですよね。2社とも社内の課題を定量的に可視化できているので、優先順位付けがしやすいのだとお話を伺っていて感じました。CHO室は定性的または、定量的な目標はおかれるのでしょうか?

平井 そうですね、現在プレゼンティーイズムによる経済損失は45億くらいまで推計値が上がっているのですが、目標としてはそれを0にするもので、3ヶ月ベースで下げていこうと取り組んでいます。

沢木 やはり、しっかり目標を置くことは大切ですね。次は堀さんにお聞きしたいのですが、先ほどのJINS MEMEなどの集中に関する製品を他の企業に導入されているケースはあるのでしょうか?

堀 いくつかの企業で部分的にJINSMEMEを利用してもらっています。そしてJINSMEME測定したデータを分析しフィードバックしています。

沢木 データを測定した後に、実際の施策を行うこともあるのでしょうか?

堀 はい、もちろんです。最近だと、テレワークが本当にいいのかどうか定量的に測るために、社員がオフィスで働くときとそれ以外で働くときとで集中度に差があるのか計測しました。他にも時間帯や集中するために必要な知識をインプットするとどうなるかというデータを測っています。

沢木 ちなみにテレワークは効果的なのでしょうか?

 数値的に見ても、テレワークは効果があります。ただそれよりも効果が大きいのは時間帯ですね。

沢木 時間帯とは?

 会場の皆さんの中にも9時〜18時勤務の方が多いと思います。そんな方の中にも朝よりも残業時間の方が集中上がると感じている方もいるのではないでしょうか。

人間の朝型夜型というのは生活習慣に影響を受けますが、もともと遺伝子レベルで決まっているとも、最近は言われています。ですので、本当は全員が同じ時間に働くより、その人が本当に働きやすい時間に集中して働くというのが理想です。ただこれは会社だと難しいですね。その点勤務時間を柔軟に調節できるフレックスタイム制はうまく運用すればとてもよい制度だと思っています。

健康経営の具体的取り組みのポイント

沢木 平井さんは健康経営に関する取り組みをする際に、意識していることはありますか?

平井 一番はできるだけお金使わないことです。健康への投資は福利厚生だと見られがちです。また会社の業績に応じて組織変革を行うDeNAでは、成果が見込めないならCHO室の予算を削減しようとなりかねません。どうやって社内に存在感を伝えていき、成果を出していくかということを日々考えています。

沢木 各社さまざまな施策を打たれていると思うのですが、失敗したケースや浸透しなかったケースはありますか?

平井 基本失敗ばかりです。たとえば去年1年間で健康研修を約100回実施したのですが、最初の3ヶ月間は健康意識が高い人しか来ませんでした。

健康意識が高い人たちに対して健康研修やることにも意味はありますが、会社として一番解決したいのは意識の低い人をどう巻き込むかだったので、社内浸透度という点で見ると効果は薄かったと思います。

沢木 JINSは失敗事例などありますか?

堀 個人的には、実施した施策で成功する確率は相当低いと思っています。会社で新しい施策をやろうとするとき、それに対して難色を示す人は一定数いますよね。黒の人を白にすることは難しいのですが、グレーの人は白になる可能性があります。いかに白の人たちを巻き込んで施策を実施し、グレーな人を巻き込んでいくかが重要です。会社の変革に前向きな人たちは、会社の中でも発言権が大きい人たちが多いということがあるので、そういった人たちを巻き込んでいくと浸透度が早いんですよ。

沢木 お二人ともターゲティングの話だと思うのですが、お話を聞いていて以前産業医の方から聞いた話を思い出しました。

産業医の方ってすでに鬱になった方を診療することがほとんどみたいです。それは先程のお話でいうと改善する見込みが薄い黒の部分ですよね。そこにリソースを割き続けても、効果は薄いので、重要なのは黒にも白にもなりかねない部分に投資することだと仰っていました。

これは施策を立てる際にも社内の誰に向けた施策を行うのか、誰を巻き込んで施策を進めていくのか考える上で重要な考え方だと思います。

Edit & Text:おかんの給湯室編集部

<働き方改革と健康経営の共通項! 注目ワード“プレゼンティーイズム”から考える労働損失と事例>レポート

#01 健康は福利厚生ではなく投資対象。そしてDeNAがプレゼンティーイズムにこだわる理由
#02 「会社を病院にはしない」社員のパフォーマンスに投資する真の健康経営とは