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経営戦略から見たオフィス移転プロジェクト【EX Summit登壇者インタビュー】

株式会社おかんが主催する、エンプロイー・エクスペリエンスに着目した日本初の経営者と総務・労務・人事担当者が集う日本最大級のカンファレンスイベント<Employee Experience Summit>が3月7日(水)に行われます。当日はより深い内容をお届けできるようサミットの前段として、トークセッションに登壇されるゲストに、株式会社おかん代表取締役 CEOの沢木が、バックグラウンドや実践されている取り組みを伺ったシリーズを掲載します。

最初は、「テーマ1:攻めの管理部門!管理部門はコストセンターではなく、利益を生み出す部門である」に登壇されるヤフー株式会社 コーポレートグループ コーポレートPD本部働き方改革推進室長、古藤 遼氏にお話をお伺いしました。

古藤 遼氏 
ヤフー株式会社 コーポレートグループ コーポレートPD本部働き方改革推進室長

2005年ソフトバンク株式会社に入社。モバイルツール、テレワーク、フリーアドレスを活用する働き方を社内外に発信。 08年明豊ファシリティワークスへの転職を機に、ワークスタイル変革のコンサルタントとして、6年間50社の働き方改革のサポートを実施。 14年にヤフー株式会社へ入社。紀尾井町への本社移転PJを推進し、17年より働き方改革推進室 室長に就任。現在に至る。

参考

総務・労務・人事担当者必見!2018年注目ワード『Employee Experience(エンプロイーエクスペリエンス)』とは?

ヤフー株式会社 働き方改革推進室長 古藤 遼氏

古藤氏が移転プロジェクトに関わるまで

—(沢木)古藤さんは紀尾井町への本社移転プロジェクトを主導されていましたが、今までそういうこと携わられていたのかなどの経歴をまず伺いたいです。

(古藤氏)大学卒業の話まで遡るのですが、新卒でソフトバンクに就職が決まっていました。ですが社会人になることに、抵抗感がすごくあったんですね…。社会人というのはすごく単調な物事の繰り返しで、「毎朝同じ時間に起きて同じ服を着て、同じ場所に行き、指定されたところで何時間かの間拘束をされる。そして決まった仕事を、色々なことを言われながら、それに耐えて仕事をして帰り、終わらなければ残ってやる」というイメージを持っていたからなんです。

—そんな社会人、絶対につまらなさそうですね。

そうですよね。これからはお金を稼ぐということのために、ちょっと言葉は悪いですけど、使役されるということまで考えていました。だからソフトバンクに決まった時も、期待はありましたが、行動が制限されてしまうかもと思うと、就職というのが本当に嫌でした。

—そんなに嫌だったんですね(笑) 

はい。(笑)ですが、子会社のソフトバンクBB株式会社に入社となり、ソフトバンクテレコムの法人営業部隊に出向となりました。その時ソフトバンクテレコムの代表は、孫さんではなく、現在のコンサルティング会社シグマクシス代表の倉重英樹さんだったんです。倉重さんは、PwCや、IBMと合併したIBCSでも、オフィス環境改善やペーパーレス化など多様な働き方を促進されていました。

ソフトバンクテレコム自体もいち早く働き方改革的な施策を打っていました。入社すると、固定席はなく、仕事だけ渡されてあとは「成果を残してください」というだけで。「こんなに自由にやっていいものなんだ」とものすごいショックを受けましたね。自由と同時に、自分が思い描いたことを実現することに対してサポートされることに感激したんですよ。

そこで「働き方や働く環境自体を考え直す」ということを社外にも提供したいと思い、デジタルオフィス事業部に在籍することになりました。ファシリティも大切ですが、そもそもセキュリティの観点やITのツールがないと自由な働き方はできないので、これらを提供する場に身を置きたかったんです。

—それが原体験となるわけですね。

はい。ですがいくら環境が整っていても、考え方・マインドが変わらないと、元のままで働いてしまうんですよ。そこを突き崩すにはチェンジマネジメントのトラックをしっかり走らせるべきだと思いました。そんな時に声をかけてくれたのが自分の師匠であり、PwC、IBCS、テレコムと倉重さんの側で長く働いていた鈴木信治さんという方なんです。鈴木さんはテレコムの後、明豊ファシリティワークスに移られていました。コンサルティングでマインドを変えることに挑戦したいと思っていた時期だったので、明豊ファシリティワークスに転職することを決めました。

そこではオフィス構築だけでなく、その際に変化する行動様式とともに、マインドも変えていってもらう基本構想策定のビジョンを持っていました。それらのノウハウを学びつつ、社会に広く提供することに尽力していました。6年ほど在籍したのですが、コンサルという立場だと1社に対してずっとやり続けられないというのが壁になってしまったんです。その先に行きたいという想いが高まっている時に、Yahoo! JAPANの移転PJの担当者の募集を見て、「これじゃないかな」と思い応募しました。

—そこでYahoo! JAPANに入られて、ずっと移転PJの担当者に?

入社後から2年ほど移転に関する業務を担当していました。今回の移転は副社長だった川邊がオーナーとなり、トップダウンですべて決定されるプロジェクトだったんです。毎週1時間川邊にずっと提案し続ける生活をしながらこの移転を完了させたんですが、単なるオフィス移転ではなくて 「働き方を変える」という考え方も踏まえていました。前職ではファシリティがメインだったので、「この部分を変えたら完了」という事例が多くありましたが、今回は自分の思うようにいくらでも自分のリソースをかけられました。オフィス移転が完了した現在では、働き方に関するマインドの部分を変化させたり、その変化をどう数値化するかに手をつけていたりする段階です。

もともと社会人になり働くことが嫌だったのに、自分の中でこんなにも楽しくなれたという変革が大きく、Yahoo! JAPANのみならず世の中みんなが毎朝会社に行く時に、「あれをしなければならない」ではなく「あれをしよう!」と思って欲しいんです。そんな風にみなさんが思えればよいなと思い続けてずっと仕事をしているって感じですね。こういった背景があって今ここに立っています。

移転プロジェクトは経営戦略の一つ

—現在は働き方改革推進室にいらっしゃいますが、そもそもYahoo! JAPANという会社が働き方改革推進室という部署を設置したり、移転時に働き方を変えなければならないと思われている理由などあるのでしょうか。また、働き方改革自体の位置づけってYahoo! JAPANとしてはどのように考えているのか気になります。

まず2012年にYahoo! JAPANの経営陣は現社長である宮坂を中心に若返りを図りました。iPhoneが2007年に登場し、そこからYahoo! JAPAN自体がスマホへの移行に少しだけ遅れてしまった。そこで2012年を皮切りに攻めの姿勢の『爆速経営』にシフトしていきました。メンバーの行動様式を変えるという働き方改革の一つですよね。そしてオフィスが手狭になり、移転をするという決定が14年にありました。

アプリで0から何か革新的なものを生み出すとなった場合、思考様式や行動様式を全部変えなければならない側面を移転と組み合わせたんです。PCからスマホへのシフト、アプリでナンバーワンになるという課題を解決するための移転でした。現在、スマホへのシフトはかなり進んでおり、これからもアプリで事業の柱になるものが生み出されるべく、社員みんながイノベーションを生むために、行動様式や考え方を変えて欲しいという考えがあります。

また。働き方改革のゴールは、会社としても利益を上げ続けて100年続く会社になりたいというのもあるのですが、そのためには働いてくれている社員が健康で、成長や幸せを感じられる環境をつくる必要があります。その両輪をまわしたい気持ちでYahoo! JAPANの働き方改革を推進しています。

—お話を伺って、働き方改革をすごく経営的な位置づけで取り組まれているのがYahoo! JAPANさんという印象です。

はい、それはもちろん強いと思います。

—働き方改革推進室としても非常に視座が高い活動をされておられますが、古藤さん自身やチームのメンバーは、どういうマインドセットで活動されているんでしょうか。

2年間の移転準備期間は、みんなの視座を高める準備期間でもあった気がしますね。通常なら人員の配置やレイアウトを決めるのが最初に決まってくるかと思いますが、今回の移転は、経営戦略上非常に重要で、「アプリで勝ち抜いていくためのもの」と、ずっと言われてきていました。

それを体現するファシリティや社員が働くシーンを考えて、幾度となく資料を作り、施策を練り続けたことで、移転PJのメンバーの視座が上がったと思います。

また以前は、ファシリティ部門が「施設管理」という部署でした。今は「オフィス最適化推進部」という名前に変わり人事部門に入っています。つまり「働く場所が人に与える影響」を人事として捉えている組織構造から見ても、ただの管理部ではない、経営に影響しているという考え方が浸透し、根付いると思っています。

—ちなみに働き方改革推進室は何名在籍されているんですか?

私含めて主務は4名、兼務が9名の体制です。13名中6名が移転の主要メンバーですね。私自身は16年度まではオフィス最適化推進部に所属していて、その時のリーダーや部長も働き方改革推進室のメンバーに入っています。ですので私もまだファシリティも兼務しています。

また私たちはカンパニーPDと言っていますが、たとえばヤフオク!カンパニーであればその中に人事担当者がおり、そのメンバーにも参画してもらっているんです。室にも人事制度を考えているメンバーもいて、ファシリティのみで動かず人事もクロスさせて働き方改革推進室は動いています。

働き方改革を推進する上でのコミュニケーションの重要性

—移転が終わったあと、室自体の目標は何か設定されているのでしょうか?

室のミッションに「社員の幸せ120%しよう」というのを掲げています。働き方改革を推進していった先って、結構辛いものがあります。これからAIなどの自動化によってどんどん激化するこの労働市場の中で、自分の本当の価値をしっかりと理解し、伸ばしていかないといけない。それだけでなく、この先自分が楽しいと思うものや働きがいを見つけて、”働く”だけでなく、ライフ全体の中にこそ自分の幸せがあるということにしっかり気づいて、今から準備して欲しいと思います。

そういう意味で今から社員の幸せを引き上げられている状態にしておかないと、この先本当に目の前に急に様々な問題が降ってきたら大変なことになる。みんなにはプロとしての自覚をもって、いろんなバランスを取りながら、多様な選択をしていくことで、「この状態が幸せなんです」っていうのを作れるように、選択する力や自分を見つめ直すところに至って欲しいなと思い、このミッションを掲げています。

—Yahoo! JAPANでは上段の目的がメンバー間でしっかりすり合わせられていると感じていますが、Yahoo! JAPAN全体のコミュニケーションはどのように取られていますか?

こういったことがあるからこそ、働くことも楽しくあるべきだし、そんな風に働いて欲しいことは普段から伝えています。ただ、こういったプロジェクトを推進すること自体、時には批判も受けたりします。なぜかというと、成果を残すためには今までのやり方を積み重ねることでしかさらなる利益を手に入れられないという考え方があるからなんです。

ですが、ある一定の速度での成長でしかなかったり、サービスがなくなったりすれば、そもそもの努力が無駄になってしまう。そうならないように、一旦立ち止まって本当はどこに向かうべきなのかっていうのを考えて、何かの変革を加えながら、この先のことを選択するということに至って欲しいです。

そこをうまく理解してもらいながら推進する役割は辛いものです。イノベーションが生まれて欲しいのですが、「どうやって生むんですか?」って聞かれたら、「人と人とが同じ空間でコミュニケーションをとったら何か生まれるかもしれないので交わってください」とお伝えします。ですが、「それでは生まれない」と言い続ける人は言い続けてしまうんですよ。

それをどうにか前向きな想いで捉えてもらい楽しんでもらうまで、推進役としては辛いことも多いのですが、私たち自身も楽しまなければ信じてもらえないと思っています。

—それってすごく難しいチャレンジをされているってことですよね。ビジョナリーに将来の働き方を作るというマインドをお持ちではない方に接する際に、意識されていることは何かあるのでしょうか。

さまざまなコメントをいただくなかで、「でも会社としては進めようと思うので一緒に頑張っていきませんか?」というすごくフラットな対話を続けています。また提案型のような結構前向きな考えを持っている方々も多いので、この部分はうまく連携しようとしています。

こういった方々と協力して、文化が変わるみたいなところまで至りたいなと思っているので、対話はし続けようと思います。あとは、「まずは方針に乗ってみて欲しい」という話もよくしますね。川邊からもとにかくやってみて、何か違うと感じたら元に戻るんではなく、「こうするともっとよい」と変化を起こしてみるって目線で常に考えて欲しいというメッセージをもらっています。

—今あったようなハレーションが起こったとしてもYahoo! JAPANではうまく推進ができていらっしゃると思いますが、何かコツなどあるのでしょうか。

うまく推進ができているかどうかは、まだ道半ばなんでよく分かってないところもあります。ただやり続けているっていうところは、トップの強い意志というのが一番大きい気がします。それがないと現場だけで変化を起こし続けるのは辛いと思うんですよね。

「チェンジ・リーダー」という働き方改革を推進するメンバーが各カンパニーに在籍しているのですが、その方々からも事業部のトップからの支援がないと改革を推進するのが辛いと言われます。私自身も全社で推進する上では、トップからの提言によって続けられているという構造が作れていると思います。また上からサポートしてもらえているという状態が、各カンパニー単位での施策も続けられてるってことにつながっているかなと思います。

—今お聞きしたトップダウンもあると思いますが、古藤さん、または室として逆にトップに対して提案する際に意識していることなどありますか?

その点でいえば、Yahoo! JAPANでは上司と部下が1対1で定期的に話す「1on1ミーティング(以下1on1)」がものすごく浸透しているからか、対話が多く、かつうまいんです。だから、室としての意見を持っていくと、色々な視点でリアクションをもらえます。だからこそ、意図して何か提案していくということがあまりないですね。

—Yahoo! JAPANの1on1は弊社でも参考にさせてもらっていますが、やはりすごい効果を出していますね。

私も初めての時は驚きました。入社してすぐにあんなに上長としゃべらないですよね。6ヶ月前に立てた目標は結構忘れがちになるのですが、定期的に振り返って、残りの期間で何ができるかとまた再構築していくだけでも全然違います。やはり1on1という文化が根付いているからこそ、対話が成り立ち、改革をすすめる上でも良かったと思っています。

—働き方改革推進やオフィス・ファシリティの目標の設定って難しい部分が多いと思っています。そこに関して意識されていることってありますか?

そもそもファシリティも働き方改革も、捉え所がないですよね、最初にインプットされた私たちが持つべき軸である川邊からのメッセージが最後までぶれませんでした。それがあったからこそ、目標もぶれずに答えが見つけやすかったのかもしれません。この軸に関しては、他の役員や人事のトップ、社長に関して、目線は違えど、想いが同じだったので、助かりました。

—EX Summitでは「目標を可視化・定量化・計測する」の面を別のセッションで取り上げるのですが、その部分は室として何か施策をうっていますか?

全社的に理解してもらいたい話は、様々なメディアを通してコミュニケーションに関する部門から知らせています。Yahoo! JAPANならではと思いますが、エンジニアが多いため一番効くのは”数字”なんです。「○○が○%上がりました」だったり「○○をすることでこれに対して○%寄与しますので変えてください」というと、しっかりと伝わります。

今まで行動の可視化については、なかなか提示できる部分がなかったのですが、この2017年度からは、ウェアラブル端末や眼鏡で集中度が測れるJINS MEME、Apple Watchで睡眠を計測するなど、実際のデータも実験的に取り始めました。まだ全社ではなくてミニマムでスタートしていますが、出てきた数値に対し仮説を立てて、また規模を広げて測ってみたいと思っています。

結果はまだ出せない状態ではあるんですけど、いつか「何が何に効く」ということはしっかり可視化できると思います。最終的には、Yahoo! JAPAN全体に、「皆さんの行動がこういうところに出ています」みたいなこと知らせて、次の施策に繋げたり、それが何に効くかを明確にしていきたいです。

—ありがとうございました。EX Summit当日はまたさまざまなお話を聞かせていただきたいです。

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【開催概要】
・日時:2018年3月7日(水)14:00〜20:00
・場所:東京都千代田区平河町2-5-3 Nagatacho GRID 6F
・主催:株式会社おかん

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