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女性の活躍させるための総務の課題
近年、総務・人事部では『女性の活躍』について積極的に取り組む企業が多くなっています。それは多くの企業が 「働き方改革」に力をいれている時代の流れでもあります。
女性の活躍と業績の関係性
日本経済新聞社が内閣府男女共同参画局の公開した全上場企業の女性役員比率を基に算出したところ、営業利益の成長が高い企業の傾向として、女性役員の比率が高い企業であることがわかりました。平均34%に対し、女性役員比率が10%以上の会社は、42%と高く、営業履歴の伸び率が高いことがわかった。
参考元:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO12387470R00C17A2TY5000
また、フィンランドの事例では、1万5,000件近くの企業に調査したところ、女性CEOがリードする企業の方が男性CEOより10%も利益率が高かったということです。
「働き方改革」と『女性の活躍』は関連するのか?
『働き方改革』に不可欠なものとして、社員・経営者の相互の”意識改革”である」という意見がある一方で、いくつかの取り組みを、様子を見ながら行っている企業が、Team Sprit主催の調査から多いことがわかりました。
なぜ「働き方対策」を実施するのか? 企業が抱える目的意識として、下記があげられています。
1位 「従業員満足度の向上」(63%)
2位 「優秀な人材の確保」(43%)
3位 「生産性の向上」(43%)
また、その中で具体的な施策としては「女性の活躍」の促進をしたい企業は多いですが、実際に取り組むにはまだまだ施策や体制が追いついていないのが現状のようです。
出典:TeamSpiritアンケート結果/2017年3月15日〜3月28日/700名サンプル
https://www.teamspirit.co.jp/lp/questionnaire2017/
女性が活躍する会社BEST10
「日経WOMAN」と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」は、「企業の女性活用度調査」を実施し、2017年版「女性が活躍する会社BEST100」をまとめています。「働きがい」と「働きやすさ」という2つの観点を考慮して、企業における女性社員活用の実態を以下の観点で分析して、偏差値化しました。また、回答は、過去最高の約560社からの回答がベースになっています。
1.管理職登用度
2.女性活躍推進度
3.ワークライフバランス度
4.ダイバーシティ浸透度
その調査で、「女性が活躍する会社BEST 10」に初の総合1位になったのは第一生命保険。2位は、住友生命保険です。3位、セブン&ホールディングズという結果となりました。
各企業が行った施策も様々でした。トップにあがる企業の傾向としては、女性社員が多いこと、経営者の女性の活躍に対する意識が高いことがあげられています。
1位:第一生命 (2016年は総合3位)
【主な行った施策】
社員の意識・風土改革
女性の能力開発
女性リーダー育成
1位の第一生命の社員数約5万6,000人のうち9割が女性比率となっている会社です。上記に書いてある、「社員の意識・風土改革」、「女性の能力開発」、「女性リーダー育成」、「ワークライフバランス」と多角的に施策を実施した結果、その努力が報われその結果、総合スコアで初のトップとなりました。
2位:住友生命保険 (2016年総合12位)
【主な行った施策】
両立支援制度
残業削減施策
2位の住友生命保険は、週1日の早帰りを徹底、パソコンが20時には強制的にシャットダウンされ、遅くまで残業できないという制度も導入しワークライフバランスのスコアが高くなる結果となりました。
3位のセブン&アイ・ホールディングス(2016年総合2位)
【主な行った施策】
トップの強いコミットメントのもと、ダイバーシティ推進を継続
女性管理職(課長級)は2012年の2%から23.0%に増加
TOP10の企業の傾向として、もともと多くの女性が活躍する業界であることに加え、各社が足並みをそろえて、両立支援や女性活躍推進の施策を進めてきた結果です。
他にも6位に明治安田生命保険、9位に日本生命保険と、上位10位中4社が生命保険会社となったのは、2013年以来4年ぶりの結果となりました。これは、生命保険会社は女性社員が多いという業界であることから、女性の活躍推進の活動を推し進めて来た功績だと言えそうです。
一方で、2014年から2016年まで3年連続1位だった資生堂は、今回は総合8位になりましたが、上位企業は、どの企業も、残業削減、育児・介護制度、女性の管理職登用など、さまざまな制度を試行錯誤しており、今回の結果がわずかな点差で順位が決まりました。
女性の活躍する環境が到来している!
福岡国際会議場(福岡・博多区)で10月8日(日)に開催された「WOMAN EXPO FUKUOKA 2017」にて日経BP社執行役員で元「日経WOMAN」編集長の麓幸子氏は、女性の活躍の到来について語っています。
このイベントでは、新時代をつくる女性のキャリア戦略~仕事も私生活もなぜかうまくいく女性の習慣とは」は、開場前から行列の超満員のイベントでした。
編集長として30年の中の取材からみた先見の目からのプレゼンテーションの中には、いろいろヒントが隠されていました。
活躍したい女性にチャンスを!
麓氏は、言います。
今の時代は、意欲のある女性にとって千載一遇のチャンスだ。この時代に生まれてきた働く女性たちは、ラッキーだといいます。優秀な女性たちを活躍させたいという企業経営層の意欲がこれほど高まったことはいまだかつてない
では、なぜ国や企業は女性を活躍させたいのでしょう。麓所長のポイントによると、
1 一つは少子高齢化の影響で働き手が足りなくなるという量的な背景
2 経営メンバーが「50代以上・日本人・男性」というようなモノカルチャーであると、イノベーティブなことが起こりにくく、リスク管理能力や変化適応力も高まらない
以上の理由により、女性の活躍が期待されているとのことでした。
また、以下のようにも語っております。
女性が昇進して、意思決定の場にいること、多様な意見があることが、皆さんのキャリアはもちろん所属している組織にとっても、とても重要なのです。これまでの日本には、「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割に基づく社会システムが根強くありましたが、それはもはや時代遅れ。時代が大きく変革していく中で、私たち女性が男性と一緒になってシステムを打ち砕き、『CHANGE MAKER』となる環境を、企業側もサポートすることが求められています
また、麓所元編集長は、クランボルツの「計画された偶発性理論」を紹介
クランボルツ教授は以下のような行動指針を持つことが大事だと指摘しています。
(1)「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
(2)「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
(3)「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
(4)「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
(5)「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと
(参考:『その幸運は偶然ではないんです!』ジョン・D・クランボルツ、A.S.レヴィン著 花田光世ら訳 ダイヤモンド社 2005)
女性は、比較的、(1)好奇心、(2)持続性、(3)楽観性、(4)柔軟性を持ち合わせているが、一方で(5)冒険心はなかなか難しいそうです。企業側が女性にチャンスを与えることにより、よりいい人材が増えていく可能性はあります。
少子化傾向により、有能の人事が少なくなり、男性経営者の高齢化によるイノベーションのジレンマ。。これからは、女性が活躍する職場環境を、総務人事部は、積極的に取り組むことはこれからも変わりはなさそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか? これからは雇用できる人口が減っていく中で、女性の活躍への施策は、企業は必須になってくることと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。